山上被告「無期懲役」求刑に 「すべての事実のもとで判断できるか未知数」旧統一教会を長年取材の鈴木エイト氏12月18日 20:41
2022年に奈良市で応援演説中だった安倍元総理を手製の銃で殺害した罪に問われている山上徹也被告（45）に検察側は「無期懲役」を求刑しました。
旧統一教会の問題を長年取材し、山上被告の裁判を傍聴・取材しているジャーナリストの鈴木エイトさんは、18日の山上被告について、「淡々とした表情が印象的だった」と語り、山上被告の口から全て語られたとは言えないため、裁判員が判断できる材料がそろったかは「未知数」だと述べました。
【鈴木エイトさん】「基本的に表情を変えることは一度もなかったです。粛々と自分への求刑を受けとめて、自分への最終弁論を聞いていた。最終的に最終意見陳述を行うかと聞かれて、『ありません』と述べて一礼をした。その淡々とした表情が印象的でした」
■安倍昭恵さんの書面からは山上被告にかける「思いが垣間見えた」
18日の裁判の冒頭では、安倍元総理の妻、昭恵さんが記した書面を代理人の弁護士が代読しました。その代読した書面から、鈴木エイトさんは「山上被告にかける思いが垣間見えた」と話します。
【鈴木エイトさん】「昭恵さんが出廷されたときに謝罪がなかったということが引っかかってるような印象を受けましたね。
昭恵さんが刑務所の訪問などをしていることにご本人が触れた上で、決して死刑とか極刑を望んでいないこと、立ち直ってほしいこと、被告人にかけるそういう思いも少し垣間見えた気はします」
■山上被告は、最終陳述で「述べることはありません」と語らず
山上被告は、最終陳述で「述べることはありません」と意見陳述をしませんでした。
【鈴木エイトさん】「先日弁護人の1人と閉廷後に話した際に、連日の被告人質問の連続の疲れで、なかなかすべて言いたいことを言いきれてないんじゃないかって話があった。
最終陳述で何か彼の口から、（狙ったのは）なぜ安倍元総理だったのか、（安倍元総理）本人に対する気持ちが語られるんじゃないかと思っていたんですが、それがなかったところは少し気になりました」
■山上被告が「この事件に向き合ったのは公判2日目からだったんじゃないか」
鈴木エイトさんは、山上被告が「本当にこの事件に向き合ったのは公判2日目からだったんじゃないか」と話しました。
【鈴木エイトさん】「自分の一連の銃撃の模様を監視カメラで見た。そこで初めてリアリティが感じられた。
（今月3日に）安倍昭恵さんが出廷されて、ご遺族の気持ちに触れた。その時には謝罪がなく、翌日に謝罪はしていて、最終的に被告人質問の一番最後で謝罪をするってことを決めていた。
自分の決めたことを破ることはできない彼の実直さというか、そういう愚直さも感じられるんですよね」
■安倍元総理のビデオメッセージ「動機と直結しているのでは」
鈴木エイトさんは、この裁判を通じて被告の『動機と絶望』がどれだけ明らかになるかがポイントとして挙げていました。
【鈴木エイトさん】「安倍元総理のビデオメッセージがいかに教団の二世たちに絶望を与えたか。そこは十分今回の審理でも尽くされてたと思う」
一方で、山上被告が「この映像見たときに『絶望と危機感』という感情を抱いたと言ってる。その『危機感』が『切迫感』に繋がり、『自分で何とかしなきゃ』って思い込んでしまった。そこが実は動機と直結してるんじゃないか」と分析。
そして経済的な理由が犯行に繋がったという点については、「経済的なひっ迫をどうとらえるかも裁判員の判断になる」と述べました。
【鈴木エイトさん】「幼少期からの宗教的な虐待、安倍元総理への教団への協力関係が一連の流れとして動機として繋がっていると言っていた。この経済的なひっ迫をどうとらえるかも裁判員の判断になると思う」
■「裁判員がすべての事実のもとで判断できるのか未知数」
来年1月に判決を迎えますが、「すべての事実のもとで判断できるところまでいったのか未知数だ」と述べました。
【鈴木エイトさん】「安倍元総理が最終的なターゲットになったところが裁判員にしっかり提示をできているのか、どういう思いだったのかが最終的なところを語れなかった。
裁判員に証拠として理解してもらえるレベルまで立証できたかというと検察側が言うように、安倍元総理を道具として単に使ったんじゃないかってところを超えられてない気もするんですね。
裁判員・裁判官にどこまで（山上被告の）絶望感とか危機感が伝わり、すべての事実のもとで判断できるのか未知数」。
そして、山上被告から「聞きたかったところがある」とし、「そこがなかったところも含めて、本当にすべての事実が裁判のもとに提示できているのかっていう点に関しては少し足りないんじゃないかなって気はしています」と裁判を振り返りました。
判決は来年1月21日に言い渡される予定です。
（関西テレビ「newsランナー」 2025年12月18日放送）
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