山上被告に「無期懲役」求刑 表情は変わらず 安倍元総理を長年取材の岩田明子氏「社会に与える影響は切り離された上での求刑とみている」12月18日 17:01
2022年に安倍元総理を手製の銃で撃ち、殺害した罪などに問われている山上徹也被告の裁判員裁判で、検察側は18日、「無期懲役」を求刑しました。
安倍元総理を長年取材してきた政治ジャーナリストの岩田明子さんは、「社会に与える重大な影響は切り離された上での求刑だとみています」と述べました。
■「無期懲役」を求刑された時も手元の資料を見て淡々とした表情だったという被告
これまでの裁判を取材してきた大野記者の報告です。
【大野記者】
検察は論告で「山上被告の生い立ちについては不遇だったことは否定しないとしつつも、善悪の判断ができる社会人だったとして、不遇な生い立ちは安倍元総理とは無関係だ」と指摘しました。
そして、「戦後史において、前例を見ない極めて重大な犯行で、極めて重大な結果をもたらした」としました。
「無期懲役」を求刑された時、山上被告は手元の資料を見つめて淡々とした表情で、特に表情を変えることはなかったということです。
山上被告の表情は、これまでの裁判と特に変わりない表情でした。
母親や妹が裁判に出廷した際は、表情が苦々しい表情になったり、涙ぐむような表情を見せるときもありましたが、きょうは終始淡々としていた様子でした。
この後、弁護側の最終弁論、そして山上被告の最終陳述となり、結審を迎える予定です。
■「不遇な生い立ち」をどこまで考慮するか
関西テレビの神崎デスクは、「不遇な生い立ち」をどこまで考慮するかがポイントだったと解説します。
【関西テレビ神崎博解説デスク】「やはり不遇な生い立ちをどこまで考慮に入れるかというところですが、今回、検察側の判断としては安倍元総理とは無関係という形で、無期懲役という求刑をした。
今回、死刑求刑の可能性もあると言われていました。死刑に1つ基準(※1)があり、過去の事例でいうと、長崎市長が選挙期間中に暴力団の幹部に銃撃された事件では、被害者が1人でも死刑判決が出たケースもあった。(※2)
今回は選挙妨害であるとか、民主主義に対する否定とかそういうところまではなかなか言い切れないというところもあって、無期懲役という求刑になったということですね」
※1永山基準:最高裁が1983年に死刑判断基準を示したもの。殺害された被害者の数など9項目を総合的に考慮するとされている。
※2一審の長崎地裁は死刑判決、2審の福岡高裁は無期懲役判決でその後確定。
■「社会で与える重大な影響は切り離された上での求刑とみている」岩田明子さん
【青木源太キャスター】「岩田さんはどうこの求刑を受けとめますか?」
【岩田明子さん】「やはり山上被告の生い立ち等が、犯した結果、それから社会で与える重大な影響は切り離された上での求刑だと見ています。
ただ、長崎市長のときは(死亡した被害者が)1人であっても死刑求刑でしたので、捜査当局の雰囲気からしても、それも選択肢にはあったんではないかなというふうには見ています」
【関西テレビ 神崎博解説デスク】「あくまでも検察側は、生い立ちと安倍総理とは直接関係がないというところを述べてるんですけども、一方でこの長い裁判をずっと聞いてきて、それぞれ家族の話も聞いた上で、裁判員がこの不遇な生い立ちと犯行の関係をどう判断するかは、また別の話なので、そこは裁判員の判断に委ねられているということですね」
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年12月18日放送)