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維新と自民の連立は“解散総選挙で自民大勝し解消”の可能性?“連立の条件”議員定数削減法案巡り駆け引き 自民重鎮議員「維新のご機嫌も立てながら」“来年度予算成立”までは連立継続か ジャーナリスト鈴木氏12月15日 17:30

議員定数削減法案をめぐり、高市総理と日本維新の会・吉村代表の党首会談が16日に行われる見通しです。 10月に連立を組んだばかりの自民と維新ですが、早くも連立解消の可能性も取りざたされているということです。 関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演したジャーナリスト・鈴木哲夫さんが解説します。 ■自民党の本音は「議員定数削減は無理筋」

今国会での成立は見送られる公算が高まっている議員定数削減法案。連立に“ひびが入るのか”という局面です。 鈴木哲夫さんが自民党三役(幹事長、総務会長、政調会長)経験もある重鎮議員を独占取材したところ、その議員は「議員定数削減を臨時国会で決めるなんて、もともと無理筋。だから継続審議でとりあえず(来年度予算が決まる)3月までは、維新のご機嫌も立てながらやっていく」と本音を語ったといいます。 鈴木さんはまず、「定数削減については、与野党で激しくやり合っているが、実はその与党の中、自民と維新、もっと言うと自民の中にも反対に近いぐらい『いやこれは無理だろう』という人がいる」と指摘します。 では自民党内での議員定数削減に対する賛否の割合はどうなのか。鈴木さんが取材した15~6人の議員のうち、7〜8割は「これはそう簡単にはいかない」と否定的な見方をしているということです。 【鈴木哲夫さん】「取材に応じた重鎮議員は、過去にも定数削減をやっていて、『大変な苦労をした』と言っています。定数を減らすということは、それまで応援してきた支援者とか、選挙区が勝手に変わってしまうことになり、『勘弁してくれ』という声が出る。それを説き伏せながら、理論立ててやっていくのはものすごく時間がかかる」 法案に否定的な自民党議員の中には「いっそのこと今は多党制だから、中選挙区に戻すとか、根本的な議論をやるべきであって、ただ数を減らす減らさないという議論はどうなのか」という意見もあるといいます。 また、この法案には「1年で結論が出なければ自動的に削減される」という条件があり、自民党元三役は「自動的ではなくて、強制的だ」と指摘。 鈴木さんが取材した公明党の斎藤代表も同様の指摘をしており、「この法案の出し方、『議論してもダメならば強制的に』というのは、議論ではない」と不満を示したといいます。 ■予算成立まで維新と協力関係維持か

自民党が「維新のご機嫌も立てながらやっていく」というのは、どういう意味なのでしょうか。 鈴木さんは「今、自民党は単独で数が少ないので、どこかの協力を得なければいけない。これから重要なのは来年度の予算で、これは国会のメイン。国の形を1年間決めるわけだから」と説明します。 「予算が決まる3月までは維新に協力してもらいながら、そこまではやっていくしかない。うまく維新とも喧嘩しないで、維新の言うことも聞きながら、こちらも主張しながらバランスを取るような形でいくしかない」というのが、自民党の姿勢だと分析します。 一方、維新側は本来なら「連立離脱だ!改革やらないのか!」と怒ってもおかしくないはずですが、そこまで強い態度は見せていません。 「維新も連立を離れにくい事情がある。そういう中で微妙なバランスが今続いている」と鈴木さんは指摘します。 ■もう一つの焦点「早期解散」の可能性

自民・維新連立の行方を考える上で、もう1つのポイントとなるのが、解散総選挙の可能性です。 鈴木さんは「自民・維新の連立が駄目になる可能性があるのは、解散ではないか」と指摘します。 鈴木さん自身の取材では「解散はないと思っている」と前置きした上で、「高市さんの周辺や支持している人、それから自民党で落選している人たちの間では『今解散すべきだ』という声がすごく聞こえてくる」と現状を分析します。 【鈴木哲夫さん】「つい一昨日も電話がかかってきて、スケジュールまで言っていました。『通常国会が来年始まる、冒頭で解散して2月の上旬が投開票』というスケジュール説があると言った人もいる。『もう事務所を今から探す』と言っていた」 仮に解散して自民党が単独過半数を取れば、「もう維新は必要ない」状況になります。 一方で鈴木さんは「永田町を取材すると、選挙の空気はない」と説明しつつ、次のように解説しました。 【鈴木哲夫さん】「高市さんは本当に勝負するとき、“ばしゃっと”やる人だから、(解散総選挙の)可能性が全くゼロではない。 これから自民と維新の連立がどうなるかを考えたときには、まず来年の予算が仕上がる2月から3月に『もう維新の協力はいらない』という形になるのか。 あるいは選挙をやって、自民が大勝して連立が不要になるのか。この2つの山がポイントになってくる」 ■維新側の事情と今後の焦点

自民党と日本維新の会の連立合意では、「臨時国会中の成立を目指す」と明記されていた議員定数削減法案。 16日には高市総理と維新の吉村代表が会談し、その見送りを確認する方向となりました。 ある維新幹部は「今国会での成立はもう無理だ」とした上で、「来年が勝負になる」と述べ、早くも通常国会を見据えていると言います。 会談では吉村代表が高市総理に対し、来年の通常国会での成立を求めるものと見られます。 維新議員からは「自民党のやる気がない。議員定数の法案が審議入りしないのは野党のせいというよりも、自民党のせいだ」と怒りをにじませる声も上がっています。 鈴木さんは「維新の最大の看板は改革だった。『身を切る改革』を突きつけて、結果的には自民党がグダグダしているのなら、『解消だ!』ぐらいの強気の姿勢を見せるのが維新らしさだと思う」と指摘します。 【鈴木哲夫さん】「連立で政権に入っていないとなど、いろいろな現実的な事情はあるけれど、これを続けていると維新の支持が下がっていく可能性がある。 維新に期待していた人たちが『維新ってもっと戦ってくれるんじゃなかったのか』というところにもつながっていく。だから維新も今どう態度をとるかで試されている感じが非常にする」 ■「選挙制度そのものへの議論も必要」と鈴木さん

最後に鈴木さんは「議員定数削減」を巡って、「選挙制度そのものを見直す議論が必要だ」と持論を述べました。 【鈴木哲夫さん】「今の小選挙区制度は30年前に導入され、2大政党にしようということでやった。政権交代が起きやすいようにした。 選挙って有権者のものだ。政治家が投票するのではなく、私たちが投票するものだから、そういうところからしっかりと議論すべき。定数削減は一旦下げてでも、腰を据えた選挙制度、政治体制の議論をしてほしい」 (関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2025年12月15日放送)

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