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「頭痛予防は耳を温めて」専門医が解説 寒波で“気象病”襲来「1日は24時間・体内時計は25時間」で体に生じる“ズレ”にどう対処11月19日 05:00

今季も寒波が襲来した。気温が急降下し、空気も乾燥している。 体の不調を感じている人も多いのではないか。 冬を迎えるこの時期、気温や気圧の変化で頭痛や倦怠感を感じる人が増えるという。 俗に「気象病(天気病)」とよばれるこの症状。「体質かな」「少し我慢すれば治るかな」などとそのままにしてしまう人も多いが、慢性化すると体に大きな影響を与え、他の病気を引き起こすリスクもあるという。 不調を感じたらどうすればよいのか?予防法はあるのか? 「気象病・天気病外来」「寒暖差疲労外来」などの専門外来で数多くの患者と向き合う『せたがや内科・神経内科クリニック』の久手堅司院長に詳しく聞いた。 ■痛みでつらいのに検査しても原因がわからない…

【せたがや内科・神経内科クリニック 久手堅司院長】 『気象病(天気病)』は、気象の変化によって起こる心身の不調の総称で、主な要因は「気圧」「温度」「湿度」です。 気象病は大きく2つのパターンに分かれます。 ・「気圧の変化によるもの」最も多い症状は「頭痛」。次に「だるさ(倦怠感)」。 ・「温度の変化によるもの」最も多い症状は「だるさ(倦怠感)」。次に「頭痛」。 今の時期は両方出やすいのが特徴です。 最も多い症状が「頭痛」で、ズキズキと脈打つような「片頭痛」や、頭を締め付けられるような「緊張型頭痛」、両方を併発する方もいます。 他にも共通して出やすい症状として、「首こり、肩こり」「だるさ」「めまい」「動悸」などがみられ、多くの方が複数の症状に悩んでいます。 検査をしても異常が見つかりにくく、例えば頭痛で脳のMRIを撮っても、だるさから貧血やホルモンの数値を調べても異常がなく、めまいで耳鼻科を受診しても原因がわからない。 そのため、本人にしてみれば、曇りの日に頭痛が起きたり、寒暖差で冷えやのぼせがきつく出たりと明らかに不調が出ているのに、周囲の理解を得られにくいケースが少なくありません。 ■天候による不調を感じたら「気象病」の疑いアリ

私が作成した「気象病のチェックリスト」があります。詳細は後述しますが、 *天候が変わる時に体調が悪い。 *雨が降る前や天候が変わる前に、何となく予測が出来る。 のいずれかに該当したら、『気象病』の可能性80%。 その次に「気圧」なのか「気温差(寒暖差)」なのか、となります。 「気圧」は内耳が敏感な人に多くみられます。 耳で気圧を感じて、それが信号として脳に伝わり、自律神経のバランスが乱れて症状が出やすくなります。 「気温差(寒暖差)」は、暑い・寒いを皮膚で感じ、その信号が脳に伝わります。 寒暖差が大きいと体温調整を担う自律神経が過剰に働き、様々な不調を引き起こします。 メカニズムの違いはありますが、どちらも脳や自律神経が深く関係しています。 自律神経は、心臓を自分で止められないのと同じで、自分では調整がしにくい。 そして、一度感じてしまうと気象の変化がある度に不調が出やすくなってしまうのです。 ■頭痛予防は「耳」を温める

「気圧」の変化の影響を受けやすい“内耳が敏感な人”は、「耳」「首」「肩」のこりに気を付けて下さい。 特に「耳の血行を良くする」ことは、予防策として非常に大事です。 ホットタオルで温めたり、耳のストレッチをして血流を促して下さい。 外出時は帽子やマフラーで防御することも大事なポイントです。 〈耳ストレッチ〉 ・水平伸ばし:耳たぶの少し上をつかんで水平方向に引っ張り、5~10秒キープ。これを数回繰り返す ・斜め引っ張り:耳たぶの後ろの骨のへこみ(顎関節)を斜め上にぐっと押し、30秒キープ ・耳たぶまわし:耳をつかんで前後に大きく回し、耳周りの筋肉をほぐす。10回ほどが目安 耳は自分で触っていて不調になることは少ないので、痛みがでないように注意しながら、ぜひやってみて下さい。 また、気圧による不調が起きやすい人は「「むくみ」が出ることも多くあります。 全身のストレッチや、利尿作用が期待できる「カリウム」が豊富な食材を積極的に食事に取り入れて下さい。 具体的には、ホウレンソウや長芋、バナナなどの野菜や果物、ほかにもアーモンドやピスタチオなどのナッツ類も手軽に摂取できるのでおススメです。 こういったことは、天気に関係なく、毎日の習慣にすることが大切です。 ■「首」を冷やさず寒暖差対策

それから、首元が冷えると不調が出やすくなります。 外出時はマフラーを使うなどし、寝ているときも首元を冷やさないように気を付けて下さい。 気温差は暑い・寒いの話なので、簡単な対策として「着るもので調整」しましょう。 体温調整がしやすいよう、はおるものを持ち歩くとか、当たり前のようですが有効な方法です。 湿度も大切です。高くても低くても自律神経に負担がかかり、さまざまな不調につながります。 目やのどの風邪っぽい症状は乾燥が原因のことも多いのです。 寒くなって湿度が低下し、暖房器具によってさらに乾燥します。 室内での湿度管理に注意して下さい。 ■朝日を浴びて時差を調節 夜寝て、朝起きる。基本が最も大事

繰り返しになりますが、気象病は自律神経が大きく関係しています。 そして自律神経は「体内時計」と密接に連動していて、体内時計の乱れは自律神経のバランスを崩す原因になります。 体内時計は25時間ぐらいでリズムを刻んでいて、1日の24時間とは1時間ずれていま す。 そのズレを調整するのが「太陽の光」。陽ざしを浴びることで体内時計が調整されているのです。 ですから、「夜寝て朝起きて午前中に太陽の光を浴びる」という行動は、とても重要なことなのです。 通勤・通学で日差しを浴びるのも良いですし、窓際で光を浴びるのでも良いです。 この数年、気象病で不調を訴える人は全年代で増加傾向にあります。 規則正しい生活をして、バランスの良い食事をとり、適度な運動をする。 とても基本的なことですが、これが最も重要であることを、改めて意識して頂ければと思います。 (せたがや内科・神経内科クリニック 久手堅司院長) ■猫背、姿勢が悪い、乗り物酔いしやすい…それ、気象病かも?〈気象病・チェックリスト〉 1.天候が変わる時に体調が悪い。 2.雨が降る前や天候が変わる前に、何となく予測が出来る。 ※1か2に該当する方は、8割程度の確率で気象病の可能性が高いです。 3.耳鳴りやめまいが起こりやすい。 4.肩こり、首こりがある。首の外傷歴がある。 5.猫背、そり腰がある。姿勢が悪い。 6.乗り物酔いをしやすい。 7.PC作業やスマートフォンの使用時間が長い。平均4時間/日以上 8.ストレッチや柔軟体操をすることが少ない。 9.歯のくいしばりや、歯ぎしり、歯の治療が多い。顎関節症と言われたことがある。 10.エアコンが効いている環境にいることが多い。夏冬ともに。 11.日常的にストレスを感じている。特に精神的なストレス。 12.男女ともに更年期障害ではないかと思うことがある。 ※3~12は、3つ以上あると気象病の可能性が高くなります。 また気象病の症状の強い方は、該当するものが多くなる傾向にあります。

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