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京都府の川から基準以上の“有機フッ素化合物” 原因は? 水道水は問題ないが井戸水は飲むの控えて09月21日 15:37

京都府綾部市の川で、国の基準値を大幅に超える“有機フッ素化合物”が検出された問題で、検査が始まった2年前から、基準値を上回っていたことが分かりました。 有機フッ素化合物は、人体に悪影響を及ぼす恐れがあるとされていますが、国の明確な規制はなく、全国各地で問題となっています。 ■犀川から基準値の50以上の“有機フッ素化合物”が検出 原因は?

京都府綾部市の山中にある産業廃棄物の最終処理場では、作業員とみられる人たちが、青い容器を台車に乗せ奥へと運んでいました。 9月17日、京都府は、産業廃棄物の最終処理場の近くを流れる犀川で、有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFOS」と「PFOA」が、国が定める基準値の50倍以上の濃度で検出されたことを発表しました。

推測される原因は、犀川の近くにある産業廃棄物の埋め立て処理場です。処理場の関係者によると、産業廃棄物に含まれていたものが流出した可能性が高いというのです。

今、にわかにその悪影響が注目されつつある「PFOS」と「PFOA」。人工的につくられた化学物質で、水や油をはじき熱に強い性質を持つことから、かつては業務用の泡消火剤やフライパンのコーティングとして使われていました。 極めて分解されにくいことから「永遠の化学物質」と呼ばれていますが、近年、人体に悪影響を及ぼすことが指摘されています。

【京都大学・原田浩二准教授】 「腎臓のがんや精巣がんになる確率がやや上昇するということが報告されています。また、子供の生まれた時の体重が低下するというようなことが複数報告されていることから、ある程度リスクはあるんじゃないかということですね」

分解されず長く体内にとどまり、発がんなどの健康被害が懸念されることから世界的にも廃絶する流れとなり、現在、国内での製造や使用が禁止されています。 ■有機フッ素化合物「PFOS」と「PFOA」全国で相次ぐ 人体への影響も指摘

国は3年前の、「健康に悪影響が生じないと考えられる基準値」を1リットルあたり50ナノグラムまでと定め、全国の自治体に水質調査をするよう通知を出しています。しかし、禁止となった今でも分解されないこの物質は、全国18都府県で「PFOS」と「PFOA」が検出されています。(2021年度以降)

米軍横田基地からPFOSを含む泡消火剤が井戸水に漏れ出していることが発覚し、2019年以降多摩地区の井戸水からの取水を停止しています。 また、愛知県・豊山町でも2021年に町内の配水場から高濃度「PFOS」と「PFOA」が検出され、今も配水が停止されています。 近隣に住む住民の一人は、血液に含まれるこれらの化学物質の濃度が高く、腎機能の定期検診を続けています。 定期検診を続けている清水隆さんは「しょうがないよね、飲んでたまっちゃったものは減らないから」と話します。

ただ、今現在飲料水を原因とした「PFOS」と「PFOA」による健康被害についてはまだ明確な知見はなく、国は規制強化を見送ったままです。 ■犀川では当初から基準値を超える有機フッ素化合物が なぜ対応しなかったのか?

京都府も、2年前から検査を行っていますが、犀川では、当初から基準値を超える有機フッ素化合物が検出されていたことが分かりました。 いったいなぜ、京都府は対応をとらなかったのか? 【京都府】 「結果の変動が大きく、誤差の可能性もあるので経過を見ていた」 2023年も高い数値が出たため、上流や支流を検査したところ、1リットルあたり「2800ナノグラム」という基準値の50倍以上の濃度が検出されました。

京都府によると、今回、「PFOS」と「PFOA」を流出させたとみられる廃棄物処理業者は、産業廃棄物を埋めた地面から染み出る水について、法律に従い、ろ過装置を通して川に排出していました。 しかし、その「ろ過フィルター」が劣化していたために取り除ききれなかった「PFOS」と「PFOA」が流れ出てしまった可能性があるということです。 これについて、京都府は… 【京都府】 「排水については、規制がないため何もできない。事業所も法令違反をしているわけではないし、責められない」

京都府庁京都府は、「水道水」については飲んでも問題ないとしています。一方、「井戸水」については、今後行う水質調査が終わるまで、飲むのを控えるように呼びかけています。 ■井戸水の水質調査へ 井戸水使用の農家「早く説明してほしい」

この状況に翻弄されているのが周辺で、「井戸水」を使っている農家です。 【「井戸水」を使う農家】 「川がこの道をはさんで向こう側なんで、どういう影響があるか心配しているところではあります」

ハウス栽培で1日100キロのキュウリを出荷しています。直接、川の水を引いてはいませんが、「井戸水」がどこまで影響があるのか分からないため、現在、出荷を自粛しています。 【「井戸水」を使う農家】 「これもあした収穫ですね。(Q:出荷はできない?)そうですね、収穫したやつをそのまま捨てる感じになると思う」

今後、「井戸水」を使う農家は自主的に「井戸水」の水質検査を行うそうです。 【「井戸水」を使う農家】 「植物体を通して人体に影響がないというのが分かったら、安心できるのでそこを早めに説明していただきたい」地元自治体は9月20日、住民説明会を実施するとしています。 (関西テレビ「newsランナー」2023年9月19日放送)

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