出前授業

出前授業@京都市立勧修中学校

2019年2月15日(金)

出前授業で希望が多いのは、アナウンサーや報道、制作のディレクターという職種なのですが、今回は、学校側から番組の技術スタッフの方を、という応募がありました。最近はYouTubeなどで動画に触れる機会が多いからこそ、技術のスタッフからその難しさや意味合いを伝える機会があればと思っていただけに、ありがたい申し出でした。そして、その任を担ったのが今回のベテラン編集マンです。「”伝えたいこと”を考える」と題して中学2年生190人に授業を行いました。

【学校からの要望】

3年生で実施する沖縄への修学旅行で写真や動画を撮影し、それを作品にしたいと考えています。テレビ番組の制作過程の話を聞かせていただいたり、中学生でもできるような番組の作り方(手順)などを教えていただきたく思います。

【講師】

制作技術センター(番組編集担当) 堀田秀治

入社以来、バラエティや情報番組からドラマ、ドキュメンタリーまで様々な番組編集に携わる。また、4k番組の編集にも携わっている。

【授業内容】

講師の堀田は、自己紹介を済ませると、おもむろに、「番組づくりは、料理に例えられます」と話し始めました。現場での撮影は食材の買い出し、編集は調理にあたります。撮影(=買い出し)の前に必要な映像(=食材)を考えて、現場(=店)では必要な映像をしっかり撮る(=買う)。用意された映像は同じでも、決して同じ作品(=料理)にはならない、というのです。わかりやすい例えは一気に生徒たちの気持ちを掴みました。

そして、その例として同じ写真を使って、2通りの作品が紹介されました。(1)橋を渡る女性の後ろ姿 (2)ラーメン店の入り口 (3)ラーメンのアップ (4)麺をすする女性 (5)レンゲですくったスープ (6)満足そうな女性の顔、の6枚に堀田自らナレーションをつけます。最初の作品は、「グルメおひとりさま」編、(1)ラーメン好きの女性がおいしいと評判の店に向かう→(2)店に到着→(3)ラーメンが出てきた→(4)麺をすする→(5)スープを飲む→(6)「おいしい」とにっこり、という構成。しかし、順番を変えると、(3)これが幻といわれるラーメンだ!→(2)それはこの店で出されている→(5)門外不出の黄金のスープ→(4)麺もうまい→(6)このラーメン通の舌をもうならせるおいしさ→(1)だが、まだ究極のラーメン探しの旅は続く…、題して「女ラーメン極め旅」。教室は大きな笑いに包まれました。

また、男性の笑顔の写真の前に「赤ちゃん」「水着の女性」「札束」の写真を並べ、男性は何と言うかを想像するという課題を出し、同じ映像でも、その直前の映像によって全く意味合いが変わることを生徒自ら体験しました。

続いて、「撮影」のための「作戦」として、 <1>「何を」撮るかではなく、「何のどんなところ」を撮るか、を考える。例えば「沖縄の海」の「透明さ」を撮るのか、「環境が破壊されている」ことを撮るのか、ということ。 <2>小さな情報が、本来撮りたいものを際立たせるので、しつこく取材する。 <3>撮りたい映像がどうしたら撮れるのか、を考える。 ことが大切と話しました。

更に、映像の種類としては、■状況を伝えるルーズ(俯瞰的・大きな)サイズの映像 ■状態を伝えるアップ(細微的・小さな)の映像 ■撮りたいものそのものではないけれど、作品全体の「句読点」をつけるのに重要な関係のある映像、そして■一番見せたい勝負の映像、があり、これらを組み合わせることで作品になると説明しました。

ワークショップでは、生徒たちは「”友達の○○なところ”を伝えるためにどんな映像を撮るか」という課題に取り組みました。中学2年くらいになると、友達と面と向かって話すことは照れ臭いのではないかと思いましたが、教室は和気あいあい。お互いを取材したりして、課題用紙を埋めていました。

いよいよ発表です。撮りたいのは「A君がサッカーをがんばっているところ」という作品では、■(ルーズ)校庭でサッカーの練習をしているところ ■(アップ)汗をかいているA君の顔 ■(句読点)サッカーボールやトレーニングシューズ ■(勝負の映像)ゴールを決めるA君、という映像が提案されました。堀田は、「このままA君のプロモーションビデオになりそう」と評価していました。「Bさんの元気なところ」という作品は、■(ルーズ)教室で友達と話しているBさん ■(アップ)笑顔のBさん ■(句読点)Bさんの持ち物 ■(勝負の映像)あいさつをするBさん、という映像が提案されました。堀田が「Bさんて、どの子?」と聞くと、すぐ近くで「キャー」と言いながら、手をあげる女子生徒。「仲良しなの?」という問いに2人はそろって笑顔でうなづいていました。

最後に堀田は、本当に伝えるべき、番組にするべきことは、”何”の”どんなところ”ではなく、それを伝えたいと思うにいたったみなさんの”心の持ちよう”である。それを伝えるためには、とことん対象に興味を持ってほしい。みなさんの沖縄修学旅行で撮影がうまくいき、楽しい思い出がたくさんできることを祈っています、としめくくりました。

【講師のコメント】

制作技術センター(番組編集担当) 堀田秀治

「友達の○○なところを伝えたい」という課題は、思春期の中学生にとっては正直恥ずかしい部分もあると思っていました。「あなたはこんな人だ!」と、その場にいる友達に自分の思いを伝えることになるからです。しかし勧修中学校の皆さんは、本当に真剣に課題に向き合い、考え、発表してくれました。その「勇気」は、私にとっても非常に刺激となるものでした。 きっと修学旅行でも、その勇気で見事な作品を作り上げることでしょう。楽しみにしています。

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