番組審議会 議事録概要

No.629 2021.11.11

『ドラマ「アバランチ」第1話』について審議

放送日時
2021年10月18日(月)22:00~23:09
(全国ネット)
視聴率
個人全体
関西5.6% 占拠率(21.22%)
関東5.7% 占拠率(24.2%)
オブザーバー
制作局 チーフプロデューサー
安藤 和久

参加者

委員

委員長

上村洋行※(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長)

委員長代行

難波功士(関西学院大学 社会学部 教授)

井上章一(国際日本文化研究センター 所長)
金山順子(適格消費者団体ひょうご消費者ネット 専務理事 消費生活アドバイザー)
黒川博行※(作家)
島田 耕(産経新聞社大阪本社 編集局長)
高江洲ひとみ(弁護士)
通崎睦美(音楽家 文筆家)
早嶋茂※(株式会社旭屋書店取締役会長)

(敬称略50音順)

関西テレビ

羽牟正一※ 代表取締役社長
宮川慶一※ 専務取締役
大澤徹也※ 取締役
岡 宏幸※ コンテンツデザイン局長
南 知宏※ 制作局東京制作部長
小杉太二 報道局長
西澤宏隆 スポーツ局長
松尾成泰※ コーポレート局長
横山和明 制作技術統括局長

※印…対面による出席、他はオンライン(zoom)出席

議題

  • 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(10月分)報告
  • 審議番組 ドラマ「アバランチ」第1話
    (10/18月22:00~23:09放送)
  • その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等

第629回番組審議会は、新型コロナウイルス感染防止のためオンラインと一部対面による開催とした。10月の視聴者対応報告のほか、ドラマ「アバランチ」の第1話の審議が行われた。

 アバランチ
番組概要

ドラマ『アバランチ』第1話
謎に包まれた集団“アバランチ” (Avalanche)が、権力をわがものにしようとする巨悪と闘う。人々の正義感に訴えかける劇場型ピカレスク・エンターテインメント。

全体の印象と内容について

  • 映像は重厚感があり、カメラワークもよく練られている。例えば、アバランチのメンバーが反社会勢力の事務所に行ったときのシーンで、電車が走り抜けていく中、その高架下に車が止まる、という一見何気ないカメラワークだが、とてもセンスを感じた。
  • 指摘することがあまりなく、逆にここがいいということもなかった。以前のドラマ「CRISIS」とか「DIVER」の流れなのか、どこか見たようなものだと感じた。
  • こういう1話完結型のドラマは、1話ごとに固有名詞がたくさん出てくると疲れてしまう。固有名詞がなくても説明できるところは、もっとシンプルなセリフにしてもらいたい。
  • 今後のドラマ展開についてどういう視聴者ターゲットを設定しているのか。これまでのドラマ「CRISIS」、「DIVER」、「シグナル」はポップな雰囲気とは距離を置いているが、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」では女性をターゲットにということで、今後月曜10時というドラマをどう定着させていくのか。

    上記のご意見への返答

    制作としては、幅広くいろんなことにチャレンジしていきたいと思っています。
    今回は「アバランチ」というドラマで、ピカレスクエンターテイメントと銘打ってやっていますが、視聴者は50代以上の女性の方にかなりの支持を得ています。こういうドラマも楽しんでいただけていると再確認しました。今後のラインアップも、主演俳優は幅広く起用し、また、内容も特定のジャンルに偏ることなく制作していきます。

    安藤チーフプロデューサー

  • 月曜日の「ラジエーションハウスII」から「アバランチ」に続く“月曜はドラマ〟と戦略は、基本的に成功しているのではないか。
  • (月曜夜9時放送の)「ラジエーションハウスII」から続くドラマの2時間枠という扱いをどう考えているか。視聴者としては、リアルタイムか録画、あるいは見逃し配信で見るというパターンだとすると、そのあたりの組立てやバランスをどう考えるのか。
  • 登場人物の役名、官房副長官という名称、地下室の仕事部屋の名称も、ちらっと出るだけなので、記憶にとどまらないところがドラマを希薄化するのではないか。謎を残すのはいいが、こういう骨格の部分というのは丁寧に描いたほうがいい。
  • 「アバランチ」の建て付けが、動画サイトにアップすることで一件落着するという「水戸黄門」ふうな終わらせ方は親しみやすいが、制作者側は視聴者の心にもっと揺さぶりをかけるような内容にしたかったのではないか。
  • 暴力シーンに関しては少し不安を覚える。こうしたドラマに暴力シーンはつきものだが、リアルな映像で圧倒的に強すぎるのは、暴力衝動を誘発するのではないかと心配になった。
  • 暴力シーンがそんなに気にならなかった。これだけタイムシフトしてみんながドラマを見るようになり、時間帯をどこまで考える必要があるか、意義があるのかと感じた。
  • タイトル「アバランチ」は“雪崩”という意味のようだが、(アバランチが)発信した動画サイトへのコメントが雪崩のように押し寄せてくる様子を表しているのか、映像を拡散することが雪崩のように裾野に広がり続けていくというイメージなのか、もし別の意味があるのなら教えてほしい。

    上記のご意見への返答

    「アバランチ」は、ほぼそのような意味ですが、このアバランチを支援する人が最初は少数でも、回を追うごとに支持する人が増えて、その人たちは強い権力もないし弱いんですが、最終回あたりで振り返ったら何百万、何千万の国民が後ろについているという意味も含めて“雪崩”の意味をもつ「アバランチ」をタイトルにしました。

    安藤チーフプロデューサー

キャストについて

  • ドラマはキャスティング。今回はキャストの配置がピタリとはまり、それが見ごたえのある作品に仕上がっている要因のひとつだと分析している。
  • 何より綾野剛さんの圧倒的な存在感で成立しているドラマではないか。言葉のひとつひとつが繊細で優しく、ユーモラスで、それでいて正論であり、よく考えられている。

ドラマのリアリティをどう考えるか

  • ドラマのリアリティを考えると、荒唐無稽ドラマであったとしても、骨格部分をしっかり描かないと、ドラマがつまらなくなりすごくぼやけたものになってしまう。
  • 見方によって評価が100%変わるドラマ。荒唐無稽を可として見るか不可として見るか、それでこのドラマは全く評価が変わるような気がする。

『アバランチ』という設定について

  • 悪行がネットを通して全てあばかれた。テレビが伝えたのではなく知らせたのはネット。結局、告知の訴求力が強いのはやはりネットでテレビの力はそれに及ばないという考え方の上に構成されていると受け止めた。
  • アバランチは、犯人の自供をネットで生配信して見ている人に判断を委ねる。テレビの報道ではなく、ネットでオンライン配信するというのは、ドラマとしては面白いがテレビとしてはなかなか怖い話。こういうテーマを取り上げたのはある意味英断だと感じた。

委員のご意見を受けて

制作局 チーフプロデューサー
安藤和久
委員の皆様、貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。今回の「アバランチ」はオリジナルドラマで、試行錯誤しながら制作しております。悩んだところをご指摘されたり、後押ししてもらえるようなアイデアをいただいたりして、とても参考になりました。
新枠の月10ドラマを、“月9”みたいに“月10”と言われるようなブランドにしたく、月10枠を盛り上げていくためのご意見を今後も頂戴したく存じます。