番組審議会 議事録概要
『DIVER-特殊潜入班-(第1話)』について審議
- 放送日時
- 2020年9月22日(火)21:00~22:09
関西テレビ発28局ネット - 視聴率
- (個人全体)
[関西]7.8% 占拠率 20.1%
[関東]5.5% 占拠率 15.5% - オブザーバー
- 制作局制作部 プロデューサー
萩原 崇
参加者
委員 |
委員長上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行難波功士(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順) |
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関西テレビ |
羽牟正一 代表取締役社長 |
議題
- 10月改編現況、放送番組種別等
- 局に寄せられた視聴者からの意見・苦情等の概要9月
- 審議 番組「DIVER-特殊潜入班-」第1話(全5話)
- その他 番組全般、放送に対するご意見、ご質問等
10月8日に開催された第618回番組審議会では、10月改編の現況と番組種別・CM量等について報告。番組審議は、ドラマ『「DIVER-特殊潜入班-」第1話』(9月22日放送)について審議されました。兵庫県警の捜査チームが悪の組織に“ダイバー”として潜入するこのドラマについて、委員からさまざまなご意見をいただきました。
ドラマ設定・キャストの演出について
- 3話まで視聴したが見続けるのがつらいということなく楽しんで見ることができた。テンポよく話が進み、最後まで見ないと物語の結末が分からないという点も、緊張感というか引きつけられたポイントかと思う。
- 映像にリアル感がなかった。以前のドラマ「CRISIS」は、すごくリアル感があり、「次はどうなるのか」とドラマの世界観に引き込まれた。今回の作品は作り物感が強い、という印象を受けた。
- 関西でつくっているのに、なぜ関西弁の下手な人が出てくるのかというのが素朴な疑問。お笑い的に登場する警察の偉い人が、お笑いにもなっていないし、どうしてこの人がこういう役をしているのか疑問に思った。
- 潜入捜査班の相関関係が分かるまで30分ぐらい見ないと分からないところは結構疲れた。もっとテンポよく相関関係が分かったほうが見やすかった。
- シナリオライターとかチームでシナリオを書いたらもう少しリアリティのあるものをつくれたと思うが、その支離滅裂を漫画原作というところに責任転嫁しているのではないか。
- 福士蒼汰さんがこれまで演じたことがないようなキャラクター設定で、ワクワクした。野村さんもそうだし、カンテレは、全然違う役を当てはめてみようという試みをされることが今までも多かったと思う。
- テンポよく楽しめて最後まで一気に見た。登場人物の中では、杉本哲太さんはやっぱりうまいなと。彼だけでもこの番組を見た価値はあるかなと感じた。
- ホームページで情報を提供されているが、そうすると、テレビ番組本体との兼ね合いや位置づけというのはどうなるのか。下手すると主客転倒することも考えられるのでは。
- 兵庫県警がレトロ建築をつかうという設定に、すこしひかれた。でも、本部長の部屋にはモダンなコルビュジェの椅子がおいてあり、テイストがちぐはぐ。県警の中では異質な本部長像を、印象づける細工なのか。
- 福士さんは話題性はあったんだと思うが、同じ年代で関西弁ネイティブの役者さんももっといるはず。野村周平さんは神戸出身なので関西弁をしゃべったら何かが起こるのかなと思ったりもした。
- 私は荒唐無稽のドラマはどちらかといったら好きなほうだが、それなりのリアリティがないと駄目だと思う。そういう面から見た場合、このドラマは表面をなぞっていっただけのような印象を最後まで持ちつつ見終わってしまった。
関西ロケについて
- 舞台が関西、特に今回は神戸が中心で、なじみのある場所がたくさん出てきて、実際に自分の目で見る場所と、ドラマの中の風景として見る場所とでは受ける印象がこんなに違うんだと思った。
- この話を神戸で撮る必然性みたいなものがどこまであったのか。神戸といえばこれだというキーになるシーンとかビジュアルが毎回出てきて、全国の人が見ても神戸にあんなところがあるなら行ってみたいと思うだけの魅力のあるような何かがあればよかったのかもしれない。
- 神戸国際大のキャンパスは、東京の近郊の大学を撮影しても同じようにしか見えない。関西圏に特徴的な大学建築として神戸女学院とか関西学院とか独特の様式があるので、そういうところをロケ地にしたら、全国に向けて発したときに違和感を出せるのでは。
番組に望むこと
- テンポが速いのはよかったが、何かかっこよさを追いかけ過ぎて物足りなさを感じさせた。説明がところどころ飛んでしまっているようなところがあり、速いのはいいが、もう少しめり張りをいくつかのシーンでつけたほうがよかったのではないか。
- 1話目の特殊詐欺の話など、あり得ないよねと思いつつも、一般の方は特殊詐欺に引っかかる方も多い。希望としては、こういうことは絶対あり得ないんだということがわかるようなポップなリーガルドラマをつくっていただけると嬉しい。
- 関西らしいドラマを考えたときに、知っている場所が出るのは楽しいので場所を提供するだけでもいいのでは。関西弁についても、誰を視聴対象にするとか、どういった番組づくりをしたいかというところで変わってくるのではないか。
- 結局、『ミッション:インポッシブル』。要するにご都合主義がずっと最初から最後まで続いたドラマ。もう少しコメディの味でも入れなければ、こういうリアリティの欠如というのはどうにもできない。リアルに走るのか、コメディに走るのか、そこら辺のあんばいが非常に難しい。だから、漫画原作なら漫画原作で徹底的に荒唐無稽を追求したらもっと面白いものになると思うが、そこが中途半端だった。
- これは「DIVER」だけではなく、ドラマ全般に対してだが、コロナ禍で現実の世界はドラマ以上に異様なことが起こっているのに、なぜドラマの世界では代わり映えのしない警察モノや恋愛モノがいまだに作られているのか。コロナ禍の今だからこそ作ることができるドラマというのがあるのではないか。そうした今を映したドラマ制作をぜひカンテレには期待したい。
-
大阪、京都、神戸という三つの都市の違いのようなものを踏まえた上で、言葉遣いもそうですし、関西弁が崩れてきているように感じるので、そのあたりも含めて今の間違った言葉遣いや発音に乗らないようにしてほしい。これは関西テレビの一つの大きな財産になるような気がします。「大阪環状線」だけでなくもっとバラエティに富んだ新たな大阪ドラマ、関西エリアのドラマができたらいいように思う。
事業者側より
関西で初めて、火9の連続ネットドラマをうちの技術スタッフでさせていただきました。こちらのホームでやることで人員の入替えが可能になることで働き方改革に取り組め、ネットドラマ経験者も増えました。またコロナの事情にも気を遣いました。あと機材とか人員面の両方のバックアップ、本社が近い安心感、連帯感が生まれ、現場も違った形で取り組めました。撮影に関しては、地元を撮る喜びがありました。またシネマチックに撮れないかみたいなテーマがありましたが、それがどう伝わったのか、意見を聞いてまた次に活かしたいと思います。関西テレビのドラマ班というのは在阪でも珍しく美術も含めて編集、仕上げまで、最後まで局のスタッフで取り組めることで、力も蓄えてきており、ご指摘いただいた画づくりに関してもいいドラマがつくれるように目指したいと思います。
制作技術統括局長 松田 茂
事業者側より
関西で撮る話になったときに、本社制作部の萩原Pが中心になって一つずつクリアしていきながらつくることができたというのが大きく、また制作のみならず技術、美術も含めて局のスタッフが大勢で関西を舞台に連続ドラマを撮れたというのは、すばらしかった。ご指摘いただいた、潜入捜査官というのはどんな仕事か最初よく分からなかったとか、漫画原作でご都合主義な部分があるんじゃないかとかいろいろいただきましたが、受け止めて今後の作品づくりに生かしていきたい。大阪、神戸でやれたことで若手スタッフも配属できて、現場で頑張っていたと聞いている。こういった事を重ねて、ドラマを最初から編集の段階までつくれる局として、財産になればと思っている。
制作局制作部次長 近藤 兵衛
番組審議会に出席して
- 制作局制作部 プロデューサー
萩原 崇 - 2020年の夏、コロナ禍でこれまでに前例のない環境のなか、火9ドラマではあまり前例のなかったオール関西ロケの作品として、このDIVERを世の中にお届けできたことは、協力をしてくださったすべての方たちのおかげであり、感謝の思いがあふれるばかりです。そんなドラマの今回である、「正義と悪とは一体なんなのか」「福士蒼汰の新境地としてダークヒーローに挑戦」という部分に、さまざまなご意見を頂き、とても参考になりました。ドラマにおけるリアリティの重要さ、設定の伝わりやすさをどう練りこんでいくか、これからの番組作りに活かしていきたいと思います。