関西テレビ放送株式会社


番組審議会
No.571 2015.12.10
関西テレビ
「ゆうがたLIVE ワンダー」について審議
出席の委員

上村洋行・司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長(委員長) /
井口文彦・産経新聞社 大阪本社 編集局長 / 井上章一・国際日本文化研究センター教授 /
大久保育子・消費生活専門相談員 / 後藤正治・作家 / 高江洲ひとみ・弁護士 /
瀧藤尊照・四天王寺大学教授 / 通崎睦美・音楽家・文筆家 /
難波功士・関西学院大学社会学部教授(敬称略50音順)

関西テレビ

福井澄郎 代表取締役社長 / 堤田泰夫 専務取締役 / 大澤徹也 編成局長 / 森田拓治 制作局長 /
伊東亮 報道局長 / 安渕修 スポーツ局長 / 奥村肇 制作技術局長 /
永井靖 東京コンテンツセンター長

12月の番組審議会では冒頭、民放連「放送基準」一部改正に伴う関西テレビ「放送基準」第146条改正について諮問し、審議された。プライムタイムの広告時間量に関する条項で、「広告も『番組のひとつ』であるという認識の下、時間量のみならず、広告内容に関してもより慎重な運用を行うよう要望する」旨付記された上で、「改正承認」の答申を得た。
続いて、月曜~金曜、午後3:50~放送中の『ゆうがたLIVE ワンダー』(11月17日放送分)が審議された。『ワンダー』はスタート時、第564回審議会でも審議されており、半年の経過も踏まえての言及をいただいた。

番組開始から半年が経過したが、「異色のコメンテーター」がいなくなり、安定して落ちついてるとは感じた。しかしそのぶん、他局からこの番組にスイッチさせる決め手の「フック」があまり見えなかった。
スタート直後番組審議会で議論し、半年を経て非常にこなれてきた。構成、内容、いろんな要素を含めて、よくなってきてるというのが、総体的に感じたこと。ニュースにかかわる印象は、もの足りなさ感も残る。
全体的には内容が充実して、おもしろいなと思う。3時間の長い番組、意識して予告が、何時から何時にこの話題をやりますというのをつくるほうも意識して出し、見るほうも意識して、それでいい。
「織田信成のすべらないスポーツ」、「イマ知り!」の缶詰ブーム、など特集コンテンツは、興味深く見ることができた。紹介する選手も魅力的で、信成さんの体当たり体験も生きた。見た後、缶詰を実際買いに行ってつくってしまうほどだった。

3時間を超える長時間番組を週5日放送することの「労を多とする」とねぎらわれた上で…。

3時間を週5日。ニュース+バラエティ的な生活情報、で構成されているそれぞれのコンテンツは、いずれも一定の水準を満たしたレベルの内容だと感じたが、このボリュームのコンテンツを毎日というのは、相当大変。
3時間を超え、視聴者が頻繁に入れかわることも考慮に入れた複雑な構成だ。まずこれを、忙しいなかでぶっ通しに見る視聴者がいるだろうか、そもそもこれだけ長い枠で番組を一本化する意味があるのだろうか、などの疑問を感じた。
録画で見ると、3時間は早送り衝動と闘いながら見ることになる。昔ならAMラジオを流してるような感じ。家で家事や仕事をする人が見るから、それは仕方ない。番組としては悪くはないし、女性メーンキャスターも特色だが、他局の客を引きはがし限られたパイの奪い合いで勝てるか?と言われると、どうなんだろう…。
番組は「太巻きずし」の印象。お金も時間もかけて、中の「具」つまり「情報」はちゃんとしたものだが、一般的な高野豆腐とかカンピョウなどといった感じがする。きちきちすぎるほどの、ぎっしりした「太巻きずし」がおいしいかというと、新鮮味もほどほど…。

第564回審議会で焦点となった、「ニュースと情報ワイド」の異同・融合について、再論された。

「ニュースのさわり方」にスタンスが決め切れてない。情報ワイドだが「この時間にニュースが入りますよ」なら、別スタジオでニュースを伝える割り切り。一緒にやるなら、「ニュース解説」「わかりやすい説明」の深掘りコーナーは必須。「子供にたばこ」も「沖縄をめぐる訴訟」も難しいので解説がいる。
奈良ドリームランドについて、市と運営会社が民事裁判をして争っているというのはよくわかった。別の日の特集であったと聞くが「ドリームランドとは、一体何だ」と、ほかの視点で少し大きく見詰め直してみる、現状のトラブルだけじゃなしに少し掘り返してみる視点もあっていい。
インタビューで重大証言する社長の「金ぴかスーツ、バブリーな部屋・調度品」。「バブル紳士の筋の事件」を「データとしての映像」が想起させ、読者・視聴者のニュース理解を促す。映像を駆使した、うまい伝え方のレポートだった。
女児殺害事件、いわゆる性犯罪にかかわっての報道は難しい。「地域の防犯力」「性犯罪者の再犯性」「犯歴の情報公開」と、非常にデリケート。是か非かという前に、日本社会のこの問題に対する現状が少し前段にあれば、事件の意味するものがもうすこし「腑に落ちる」というか…。このレポートだけでは少しわかりにくさを感じた。
「幼児に喫煙させ、ネットに上げた」というニュース。これは単純な事件じゃなくて、かなり暗くて重い話題だと思う。だから、コメントも「普通の話じゃないんじゃないかな」という掘り下げを意識してほしい。インターネットレベルじゃなくて、もう一つ掘り下げた扱いが必要。
法律用語の説明があまり整理されていないようだ。「ドリームランド」報道の「地上権」、「子供に煙草」の件で「暴力行為等処罰法違反」。法概念には、ワタワタと短時間で説明するには難しいものが多いのも確かだが、司会者とゲスト弁護士とのQ&A(キューアンドエー)トークを一般視聴者目線でうまく構成しておくなど、演出面での準備が大切だ。
東京、大阪双方のスタジオからのニュースのダブり方、1回目と2回目のニュースの内容のダブりが非常に気になる。情報の質と量が生命線であるはずの情報ニュース番組のありようとして、懸念はある。ただ、これは(番組枠)編成上の問題に起因するという側面もあろう。

視聴率の動向に関連して、ターゲット論など番組編成にかかわる発言もいただいた。

同時間帯の他局も基本的にはニュース+バラエティ的なレポートを置いている。明らかな視聴率差というものがあるのであれば、やはりコンテンツ作成上の差があるのかなというふうに思わざるを得ない。
他局の視聴率もこの時間帯、低いということであれば、そもそもこの時間帯は難しいんだということになり、そもそも難しい時間帯であるのならニュース、情報番組を、無理して置く以外の選択、別のジャンルのコンテンツも置くこともあり得るのではないか。
「おばぁちゃんとお買いもの」はキラーコンテンツになるかと期待していた。孫とおばあちゃんが、疑似デートしてるみたいなワクワクドキドキ感がおもしろかった。特色を出すなら「シニアかなあ」と思うので、終了したのは寂しい。
女性から徐々に男性が流れ込んできて、家族全体でも…というターゲット視聴者の流れを想定して、とのことだが、この時間家族全員はそろわない。対象は「シニア層、あとは子育て中の主婦」狙いと思うが、高齢者が「相棒」や相撲中継が終わってからチャンネルを合わせる「すみ分け」を意識する。
10代のテレビ視聴時間が、10年前から「半減した」という。スマホでアプリを見て、インデックスを縦横に自在にスクロール・スワイプして、掌の上で関心あるテーマをどんどん深掘りする。この環境で育つ10代は、3時間番組で「好きな特集が来るまで待て」と言われても絶対待たない。
シニア世代も10代も、それぞれニュースに対する見方は変わってきている。オンエアとは別に、リモコンのdボタンを押すとニュースの深読みが文字情報のテロップで出てくる―などといった新しいニュースの見方の提案、そういう工夫をされてもいいのでは。

演出面やテレビ表現にかかわるご提言をいただいた。

「テレビはプロレスですよ」と言うテレビの関係者を知っている。でも、いわゆる「ウェルメイド」のプロレスは、様式的に過ぎて、あまり気持ちがあおられない。番組づくりでも、破綻の予感もただようガチンコをはさみこんだうえで、全体をまとめる工夫をした方がいい。「ガチのさじ加減」で、番組のプロレス的部分を活性化することがのぞまれる。
テレビは公共のマスメディアだ。テレビ言語が大きなゆがみを生じているではないかと危惧することもある。レポーターの片言隻句、オーバーアクションに違和感を持つことも少なくない。キャスター・コメンテーターやスタッフは留意してほしい。
再現ドラマがあってもいいが、過剰にならないように。ブラック老人ホームのシーンで、老人の表情を異様にゆがめさせたり苦痛感を演技させるという必要があるのか。レポーターはどこまで羽目を外したらいいのか、下品もどこまでならいいのか、視聴者も一定の基準を持っていることを忘れないように。
出演者の「発言の交通整理」に課題あり。振られたとき以外「しゃべってほしくない」という意味ではないが、流れができていないのにハラハラしてしまう発言。逆に、突っ込んで話してもらいたい場面では司会進行で積極的に出演者に話を振っていったほうがいい。
藤本景子キャスターはいいキャラクターだ。ふっくらと朗らかな個性におじさんたちも好感が持てるし、女性も共感できる。国際ニュースや難しい分野も、大阪的おばちゃんの庶民目線で切ってもらっていい。
「嫌な女性目線」になるかもしれないが、多分私より上のおばちゃんは、「頼りない男をしっかりものの女性が支えてる」ほうがしっくりくると思う。いまの構図が、おばちゃんに受けるかどうか…。

番組審議会に出席して

報道局報道センター チーフプロデューサー・中村隆郎
審議委員の皆様から貴重な意見をいただいたことを感謝します。
「具もご飯も詰まった太巻きだけど詰まりすぎている」との指摘。多くのニュースや情報を伝えたいはずなのに、本当に視聴者にわかりやすく伝わっているのかを改めて考えさせられました。ワンダーは、夕方の3時間という大きな枠です。この時間のテレビには、何が求められているのかを見る側の気持ちになって番組制作することをもっと意識していくことが必要だと痛感しました。
報道だからこそできる番組、他社には負けないものを見せる番組を目指したいですし、ワンダーが視聴者にやさしく、より信頼されるために力を結集したいと思います。

報道局報道センター 番組ディレクター・江南敦之
「ガチのさじ加減」、ご指摘いただきました。ニュースは常にガチ(事実)で作りますが、その裏に、伝えられないガチ(事実)がある場合が多々あります。「ガチのさじ加減」はとても高度な技です。加減が強すぎると、人を傷つけ取り返しのつかない事態になります。逆に弱すぎると、ニュースに厚味・深みが出ません。それが出来るかできないかが、「もう一歩踏み込んだニュース」になるかならないかの分かれ道なのだと思いました。委員の皆様からはこのほかにも多くの貴重な意見をいただきました。
最後に委員の皆様は多忙のなか3時間も「ワンダー」をご視聴頂き、厳しくも温かいご講評をいただきました。ありがとうございました。

〒530-8408 大阪市北区扇町2丁目1-7 関西テレビ放送 番組審議会事務局

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