関西テレビ放送株式会社

 

  1. 序章 〜はじめに〜
  • 序章 〜はじめに〜

忘れてはいけないこと

人間は、苦しいことや辛いことを忘れてしまいたいときがあります。確かに忘れたほうが、気持ちが楽になるかもしれません。しかし、すべてを忘れ去ってしまって良いのでしょうか? 苦しいことや辛いこと、その経験のなかに、私たちへの大切な教訓やメッセージが込められているはずです。
私たちは、5年前(2007年)の「発掘!あるある大事典Ⅱ」問題で大きな責任を負いました。「過ちを二度と繰り返さない」との強い決意と誓いのもとに、「放送で失った信頼は放送で取り戻すしかない」ことを肝に銘じ、番組制作を通じて視聴者の皆さんに見える形で再生していく姿を示す努力を重ねてきました。この5年の間に、成果は少しずつ実り始めています。2011年度には番組でいくつかの大きな賞をいただきました。しかし、それで信頼を完全に取り戻せたのでしょうか? 贖(あがな)うことができたのでしょうか?
むしろ、「あるある」問題をいつまでも忘れないこと、忘れないための努力を重ねていくことこそが、視聴者の皆さんの信頼に応える放送局のあるべき姿であると考えます。

忘れていけないことは、他にもあります。調査委員会報告書によって指摘された「当事者意識」です。報告書では、「ひとつの番組の多くの関係者から、その番組、そのテーマ、その事実に対して強い関心を持ち、敢然と取り組むのだ、という明確な意欲や意気込みを感じ取れなかった」として、「当事者意識の欠如」を指摘されていました。番組制作における分業化は、今も変わりはありません。多くのスタッフが関わっています。番組制作に携わる、いわゆる現場にいる人たち、社員やパートナーとしてのスタッフはもちろん、管理職であろうが、放送に関わっている人たちまでが、同じように現場の一員であると認識することが「当事者意識」なのです。そして、一つひとつの番組をたくさんの社員が関心をもって視聴し、批評していくことが大切です。

2011年9月にBPO(放送倫理・番組向上機構)・放送倫理検証委員会は、「『ぴーかんテレビ』問題に関する提言」を公表しました。誤操作による放送事故ではあるものの、不適切な字幕テロップが放送されたことで与えた影響は無視できないうえ、背景にある制作現場の問題は、委員会が繰り返し指摘してきたことであることが考慮され、4項目の提言が盛り込まれました。

①全社レベルで放送の使命について話し合う機会の確保
②番組制作における人員や時間などにゆとりが確保されているかの点検
③スタッフ間でコミュニケーションができる職場環境の確保
④実効性のある研修

関西テレビは、以上の提言について自己点検を実施し、それぞれの項目を精査し、取り組みを維持・強化しつつ、改善していくことを確認しています。必要に応じて具体策も講じていきます。番組制作の現場は、人員、予算、時間の制約などにより、どうしても作業に追われてしまう現実はあります。しかし、目の前のことしか考えるのではなく、私たちは基本的な「放送の使命と役割」を忘れることなく、時あるごとに見つめていくべきです。
(BPO放送倫理・番組向上機構「東海テレビ放送『ぴーかんテレビ』問題に関する提言」参照)

※第1章以降の本文中表記について


1. 「外部調査委員会報告書」「調査委員会報告」は「発掘!あるある大事典」調査委員会(熊﨑勝彦委員長)より2007年3月23日付でいただいた「調査報告書」を指します。
2. 「放送基準」とは、「関西テレビ放送 放送基準」を指しますが、「関西テレビ放送 放送基準」は、日本民間放送連盟放送基準に完全準拠しています。
3. 「放送基準解説」「解説書」は日本民間放送連盟放送基準解説書を指します。