関西テレビ放送株式会社

 

  1. 第10章 コンプライアンスと法令遵守
  • 第10章 コンプライアンスと法令遵守

社会の要請に応えることが「コンプライアンス」

「コンプライアンス」というと、すぐに「法令遵守(順守)」という和訳を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。Complianceの英語の意味は「応諾」とか、「要求に応じること」です。決して法令や決まりを守ることだけを意味しているのではありません。
法令や決まりを一字一句厳密に読み込んで、金科玉条として守ることをただちに否定するものではありませんが、それよりもそういった法令・決まりができた背景や、社会的要請を想像・イメージすることの方が大事です。
例えば、外部調査委員会の調査報告書で、「発掘!あるある大事典Ⅱ」へのリニューアル時の法令・決まりの変化や社会状況が以下のように記述されています。(調査報告書114〜115ページ)


資料 「発掘!あるある大事典」調査委員会報告書より
このころの社会情勢として,健康志向の高まりに伴い,例えば平成14年に中国から輸入されたダイエット商品による健康被害が社会問題化するなどし,健康の保持・増進の効果が必ずしも実証されていない食品販売物につき著しく事実に相違又は著しく人を誤認させる広告が様々な媒体に数多く掲載されていることが問題視され,これを信じた国民の健康の保護の観点から重大な支障が生じるおそれがあるとの観点から,健康の保持増進の効果等に関する虚偽又は誇大な広告を禁止する健康増進法の一部改正が平成15年8月29日になされていた。
これを受け,民放連においても,健康関連番組の増加を踏まえ,番組における取り扱いの適正化を図るため,留意すべき事項を定めるとともにテレビショップ等に関する規定を新設し,視聴者保護に関する自律的取組が強化され,以下のとおり,放送基準57条に新たに健康情報が加えられることになり,平成16年1月30日,民放連放送基準審議会より各放送局宛放送基準の改正の通知がなされていたことは,前述したとおりである。
関西テレビは,同時期に上記のような番組を制作するのであれば,このような情報番組に対する環境の変化を敏感に受け止め,その趣旨に十分に配慮した番組作りを進めるべきであったといえよう。

「放送基準の改正」を「あー健康ね」となんとなく受け入れるのではなく、その背後には、直接番組を規制するものではないけれど健康食品広告の規制が始まっており、それは拡大する健康願望・痩身願望に付け込んだ中国製ダイエット食品による健康被害の社会問題化や、怪しい健康情報に対する国民や政府の深刻な危機感がある……。そういった想像力を働かせて、放送に求められている社会的要請をイメージし、それを番組づくりや規程・業務フローの検討に反映させる。そのことが「コンプライアンス」なのです。


「法令」は社会要請を映す鏡

法令や決まりは、「社会の要請を映し込んだ鏡」だといえます。ではこの鏡の全体像を見ていくのですが、法令のここ10年くらいの大きな潮流は「規制緩和」「権利保護」「重罰化」だと思います。特に企業法、経済法の分野で顕著です。国際化の潮流のなかで、護送船団方式で守られた日本企業に国際競争力がないことが明らかになったため、法規制を大幅に緩和して、企業の戦略に自由度をもたせる。ただこれによって個人・法人を問わず他の権利者の権利を侵害してはいけないので、複雑化した権利の所有者や一般市民をしっかり保護する。また、経営の自由度を拡大する一方で、違反者への罰則は重くして企業行動をけん制する。といった大きな流れがあります。
これらの法令が改正されるときは、規制の強化、もしくは厳罰化であることが比較的多いものです。民放連はメディア規制に反対する姿勢を鮮明にしており、関係する法案が話題になるたびに慎重な議論を求める声明や反対声明を出しています。とはいえ、当然ながら制定・施行された法令に従うのは当たり前のことです。