関西テレビ放送株式会社

 

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  2. 1.大規模災害時の行動指針
  • 1.大規模災害時の行動指針

(1)大地震の際

1)第1報の放送

政府、自治体または気象庁等の公共機関からの情報、さらにはさまざまなルートを通じて入手した情報は、確認の上で重要性を判断し可及的すみやかに速報などの方法で正確・簡潔に放送します。
ただし、あくまでパニックを避けるなど表現には注意を払います。重要な情報、緊急を要する情報、危険告知については繰り返し放送します。

2)緊急時の社内体制

放送エリア内で、震度6弱以上の地震かまたは津波警報が発令されるなど重大な被害が予想される場合は社長等を本部長とする災害対策本部を設置し、その下に「災害放送を行う担当」と「後方支援や社屋や設備の維持などを行う担当」を設置し、全社を挙げて取り組みます。(非常災害ハンドブック参照)

3)誰に向かって何を放送するのか

大地震を取材し放送するには全社的な応援体制が必要です。またフジテレビはじめ系列局の応援を得ることも想定されます。取材・放送における重要なポイントについて列挙します。
①被害の大きさばかりでなく被災者に信頼と安心を与える報道を心がけます。
②全国の人々に被害の状況を知らせるネット部分と、安否情報・生活情報など被害を受けたローカル向けの部分と放送内容を区別する配慮が必要です。また、障害者や高齢者、外国人など、災害時に情報や支援の手が届きにくい方々に対する配慮も必要です。


事例① 阪神・淡路大震災発生直後
阪神・淡路大震災発生当初の38時間は、すべてネット番組だったため、安否情報、生活情報、ライフライン情報など被災地向けの情報を伝える枠が少なかった。しかし、制作担当の「痛快!エブリデイ」は、生活情報とミニコミ安否情報を中心に、被災地、被災者向けに幅広く情報提供を行った。
「痛快!エブリデイ」では、1月17日以降、「何ができるのか」と、模索した。地域に密着するローカル生ワイド番組として、報道とは別のアプローチ・情報発信として取り組んだのが、ファックスによる被災地のための生活情報の掲示板であった。1995年当時、携帯電話は普及し始めたばかりで、情報ツールとしてファックスの占める役割は大きかった。被災地内外からは、「安否確認」「水」「入浴」「援助物資」その他の被災地向け情報が「痛快!エブリデイ」のファックス掲示版に多数寄せられた。

③大地震時の番組編成については、報道以外の番組やCM編成の内容にも十分注意して担当部署と協議して差し替えることを検討します。


事例② 大阪国際女子マラソン中止
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の翌々週に、’95大阪国際女子マラソンが予定されていた。被害の全体像が定かでない時点から、決行すべきか中止すべきか局内で真剣な論議が交わされた。「災害に屈せず、復興に向けて地域を鼓舞するためにも、決行すべき」との意見は、被害状況が明瞭になるにつれて少数となった。マラソンとはいえ、イベントのために交通規制が許容される環境にはない、という最終判断で’95大阪国際女子マラソンは中止された。


事例③ 代替番組にも配慮
1995大阪国際女子マラソンでも荒天時の代替プログラムは一応準備されていた。当時2時間余りをカバーするソフトとしてスタンバイしていたのは映画「首都消失」で、災害パニックのスペクタル巨編であった。協議の結果、被災地の現状、被災者の心情を考えた時、不適切な荒天プログラムであると判断し急遽、キー局の協力を得て、別番組を編成した。

④被災地の被害状況を全国に伝える映像の意味は大きい。しかし、そこに被災住民の暮らしがあり、被災住民の心情があることを片時も失念してはなりません。取材の時間、場所、方法、放送の内容等、被災者の気持ちを最大限に配慮する必要があります。


事例④ 絶叫リポートに反発
焼け崩れ落ちるアーケード。まさに崩れ落ちるその瞬間に居合わせたワイドショーのアナウンサーは、高揚感のままに絶叫リポートを重ねた。
そのリポートは視聴者の強い反感を招いた。


事例⑤ 見た目リポートに共感
避難所となった御影公会堂からの中継リポートが間断なく続けられた。「痛快!エブリデイ」のMC桂南光さんは避難所からの中継や報道に「少し考えるところがありますねん。疲れきって休んではるところに押しかけて、ご迷惑やないやろか」という思いを述べ、公会堂入り口からの南光さん自身の「見た目」をリポートで中継した。
視聴者から、共感の声が多数寄せられた。


事例⑥ 報道ヘリに批判
神戸では地震の日以降何機もの報道用ヘリコプター※の音が絶え間なく響き、それはその場にいる被災者には堪え難い音だった。
ヘリの音がどれほど人の心を乱すか、救助を求める声を掻き消したか、との批判が相次いだ。
※大災害時のヘリコプター運用について(民放連指針)…ヘリコプター取材は、災害、事件、事故発生時の被害規模等を把握する上で非常に有効な手段ではある。一方で地上への騒音や、ヘリ同士衝突する危険性なども指摘されており、民放連でも災害時のヘリコプター運用には細心の注意を払うように申し合わせを行っています。

⑤食料、水、着替えなどの必需品やバッテリー、医薬品などは自前で用意します。
⑥通信手段は必ず確保します。
⑦機動性のある服装を。
⑧津波の場合、2次、3次災害に注意します。
⑨大地震時には、多数の取材班が殺到することが予想されますので、系列局の連携と協力が必要です。系列局として取材団を編成し、取材情報や映像素材などは一元化して管理運用することが重要です。


事例⑦ 問われた取材姿勢
阪神・淡路大震災発生後、全国から多くの応援取材クルーが被災地域に入った。キー局ワイドショーのクルーが週末金曜日午後、4日目の被災者救出シーンを取材した。しかし、その取材情報を土・日秘匿し、月曜のワイドショー枠で、「スクープ」として放送した。
取材姿勢が問われる事案として議論され、その後FNNの一元化した統一取材体制が模索される端緒の一つとなった。

4)フジテレビが地震で被災した場合

フジテレビが被災した場合、当社がFNS・FNN系列の副局としてフジテレビに代わり緊急特番の編成制作放送等を行わなくてはいけません。主なものとしては、編成班はフジテレビ編成、ネットワークと協力しFNSの窓口となり緊急特番編成等を行います。報道班はフジテレビ報道センターと協力して報道素材を集約し緊急特番を制作します。また技術班はフジテレビのF・SATオペレーションの管理業務を代行するなど全社を挙げてフジテレビの業務を引き継ぎます。


(2)原発事故、感染症の発生、化学テロの可能性等
   被害の実態が不明である場合

「まず現場へ」という、取材の鉄則を捨ててください。
まず初めにどのような取材が可能か、前提となる情報収集が必須です。放射性物質や有害有毒物資が周辺地域に漏れたか、ウイルス等が周囲に感染している可能性があるか、付近に避難指示や勧告が出たか等を確認して取材体制を決めてください。取材に行く場合は、線量計などの測定器や防護服、必要な医薬品、消毒剤、食糧水などを携行してください。また取材デスク以外に安全管理担当デスクも設置してください。


(3)国民保護法、災害対策基本法に基づく報道について

関西テレビは、法律(武力攻撃事態対処法)により有事等、国の緊急事態に対して国民を保護するための措置を実施する「指定公共機関」としてすでに指定されています。その具体的な内容については、国民保護法により国から発令される警報の発令と解除の放送、都道府県から発令される避難指示の発令と解除の放送、緊急通報の放送を行うという義務を負っています。
また、災害対策基本法に基づき、放送エリア内の自治体との間で大災害時の放送協定を結んでいます。これらの責務を果たしていくとともに、いかなる事態であっても市民の基本的人権および知る権利を守り、自由で自律的な取材報道活動を貫くことが大事です。