関西テレビ放送株式会社

 

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  • 5.BPO(放送倫理・番組向上機構)

BPO(放送倫理・番組向上機構)は、現在
・放送倫理検証委員会
・放送と人権等に関する委員会(放送人権委員会/旧BRC)
・放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)
の3委員会から構成されています。


(1)関西テレビとBPO(放送倫理・番組向上機構)

2007年第166通常国会において政府案として提出され審議されていた「放送法改正法案」には、以下の条項がありました。衆参両院において政府与党が多数を占め、成立が確実視される状況にあった「行政処分新設」=「メディア規制」条項といわれたものでした。


資料 放送法2007年改正法案 行政処分の新設条項
第五十三条の八の二 総務大臣は、放送事業者(受託放送事業者を除く。)が虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送であって、国民経済または国民生活に悪影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがあるものを行い、又は委託して行わせたと認めるときには、当該放送事業者に対し、期間を、定めて同様の放送の再発の防止を図るための計画の策定及びその提出を求めることができる。
2 総務大臣は、前項の計画を受理したときは、これを検討して意見を付し、公表するものとする。

戦後の放送法制は、戦前への反省から「表現・報道の自由」を重視し、放送法には公権力が直接的に放送機関を規制する条項はありませんでした。この改正案が政府提案どおり成立したとすれば、「戦後初めて」の行政処分条項=メディア規制法となる状況でした。
戦後初のメディア規制法成立の「キッカケ」の一つが「あるあるⅡ」になるかもしれないという、悪夢のような事態が目前まで迫っている、こうした情勢認識のもとで、日本民間放送連盟は2007年4月、関西テレビを除名し、BPOは2007年5月、「放送倫理検証委員会」をスタートさせました。

2007年7月の参議院選挙で、政府与党が大敗、衆参両院の多数党が逆転するいわゆる「ねじれ政局」のもとで、与野党対立法案となっていた2007年放送法改正法案は、12月与野党協議でこの「行政処分」条項の削除が合意され成立しました。その際、衆参両院で『放送の不偏不党、真実及び自律が十分確保されるよう、BPOの効果的な活動など、関係者の不断の取り組みに期待する』とする付帯決議が採択されたのでした。放送人権委員会、青少年委員会に新たに放送倫理検証委員会を加え、強化されたBPOの存在を念頭に、「放送の自律」が強く意識されたのです。


(2)新たに設立されたBPO放送倫理検証委員会

「発掘!あるある大事典Ⅱ」における捏造が明らかになった直後から、BPOにも視聴者から多数の抗議が寄せられました。BPO理事長声明、放送番組委員会声明が相次いで発表されました。放送倫理の確立と放送不祥事の再発防止を担う機能を強化すべく放送番組委員会を解散し、新たにBPO「放送倫理検証委員会」が設立されたのです。(2007年5月)
放送の自主自律自浄のために放送業界をあげて取り組まれたこうした大きな動きのその端緒に、「発掘!あるある大事典Ⅱ」における捏造があったことを、私たちは瞬時も忘れることなく、深く脳裏に刻まなければなりません。



資料1 BPO理事長声明

2007年1月29日

BPO放送倫理・番組向上機構
理事長 清水 英夫

放送倫理・番組向上機構〔BPO〕は、自主的かつ独立した立場から、正確な放送と放送倫理の高揚に資することを目的に第三者機関として設立された。

このBPOの使命と役割に鑑みて、放送番組に関する一連の不祥事に対しては、深刻な憂慮の念を禁じえない。特に最近、関西テレビが制作しネット放送された番組『発掘!あるある大事典Ⅱ』の実験データなどが捏造とされる問題については、当該局のみならずBPOに対しても、視聴者からの抗議が相次いでいる。従前にも同様の事例があったが、いずれも放送局の姿勢や倫理が問われる内容であり、緊張感や責任感を著しく欠いたとの謗りを免れ難い。
近時、放送特にテレビの社会的影響力はますます増大している折から、関係者にはそれにふさわしい認識と対応が求められている。このような事態が繰り返されれば、放送に対する視聴者の信頼を失墜させ、ひいては放送の自由を危うくすることとなる。
今後放送界全体として、強く反省自戒し、公権力の介入を招くことなく、放送への信頼回復等に一層努めるよう切望する。

(注;この見解は外部調査委員会の報告書が発表される以前にリリースされたものです)



資料2 BPO放送番組委員会(有識者委員)声明

2007年2月7日

放送倫理・番組向上機構〔BPO〕
放送番組委員会(有識者委員会)

放送倫理・番組向上機構〔BPO〕の放送番組委員会(有識者委員)は、放送活動全般の質的向上を願って、放送の理念や倫理に関わる問題から取材・制作のあり方まで、第三者の立場から広く審議し、ときには具体的な事例に即して議論を重ねている。
そのような私たちにとって、関西テレビ制作の『発掘!あるある大事典Ⅱ』が起こしたデータ等の捏造問題は、ジャーナリズム産業の基本の放棄であり、視聴者の期待を裏切り、放送界全体の信頼性を損ない、ひいては言論・表現・報道の自由を危うくする出来事と言わざるを得ない。
これまでも放送界はしばしば深刻な不祥事を繰り返してきた。そのたびに放送局は陳謝し、再生や再発防止を誓ってきたが、不祥事はいっこうに収まらない。一つひとつの態様は異なるとはいえ、こうしたことが繰り返される背景には、放送界が全体として抱える構造的な問題がありはしないだろうか。
私たちは今回の問題についても、単に1テレビ局の、あるいは1制作会社や制作担当者の問題としてだけでなく、放送界全体が抱える構造的な問題としてとらえる視点が重要だと考えている。その観点に立って、さしあたって以下の3点を指摘し、放送事業者の自主・自律による、今後の全容解明と効果的な再発防止に向けた取り組みに期待したい。
1.番組制作システムの問題
現在の番組制作においては、分業化が進んでいる。一つの番組が制作会社をはじめとする外部協力によって制作されることが当たり前になり、何重もの下請け化によって、実際の番組制作へのコスト面のしわ寄せなども常態化している。
こうした分業構造は、広範囲にわたって、番組制作環境の悪化を招いている。外部の制作者は時間に追われて余裕もなく、ときには他の仕事とかけ持ちし、十分な取材や調査ができないまま、番組作りが進んでいく。
また、この分業構造は、発注側のテレビ局の番組制作力を削ぐだけでなく、製造業でいう「品質管理」能力の低下をもたらしている。制作経験の少ないテレビ局のプロデューサーやディレクターが、外部制作番組の管理を行ない、納品される番組の完成度や正確性を判断することには無理な面がある。
このような番組制作システムのもとでは、一貫した、きめの細かい品質管理を行うことが難しくなっているのではないかと私たちは危惧している。今回の事件についても、その原因を一部の関係者の不心得に帰すのではなく、すでに放送界に定着した番組制作システムの構造それ自体の問題としてとらえる視点が必要である。
2.放送従事者の教育システムの問題
言うまでもなく放送は、民主主義の根幹をなす言論・表現・報道の自由に立脚する事業の一つであり、これに従事する者は、その自由を享受すると同時に、それにふさわしい見識と責任意識を持たなければならない。
しかし、事業が大規模になり、技術が複雑化し、番組が多様化し、視聴率競争が激化する慌ただしさのなかでは、見識や責任意識はしばしば等閑視されがちである。また見識や責任意識といっても、組織統治や法令遵守から、番組の企画・取材・編集、さらに取材対象との接し方や距離の取り方まで、それぞれの仕事に応じた具体性と専門性を有しなければ、たんなるお題目に終わってしまう。
各局も社員研修等はしているが、番組制作が外部協力によって行われている現状では、外部制作者の末端までにも、真に実効性のある教育システムが必要である。
また、将来的には、一定の経験を積んだ放送従事者が更に見識を深めるため、放送界が、豊かで専門性の高い教育制度作りに取り組むことを、私たちは期待したい。
3.公権力が放送に介入することへの懸念
私たちは、ここ1、2年、政府・総務省による放送界への関与・介入が強まっているという印象を持っている。NHKの国際放送に対する「命令放送」、民放の報道番組やスポーツ中継の不手際に関する「厳重注意」等々、頻繁に関与・介入が行なわれている。
今回の関西テレビの不祥事に関しても、総務省は「報告」を求めている。

これらは、いずれも放送法や電波法に基づくとされるが、本来、民主主義社会の根幹をなす言論・表現・報道の自由の重要性に鑑みれば、慎重の上にも慎重を期すべき事柄であり、行政の役割は、直接に指示したり、懲罰的な行政指導を行うことではないと考える。
私たちは、健全で、魅力にあふれた放送が、民主主義社会をいきいきと成熟させるために欠かせないと考えている。今回の問題にせよ、これまでも相次いだ不祥事にせよ、その底流には、構造的な問題が横たわっていることを示しているが、その深部への切開が行なわれ、そこから再発防止のための具体的な手だてが講じられなければ、この国の民主主義の将来も危ういと、私たちは深く憂慮している。

(注;この見解は外部調査委員会の報告書が発表される以前にリリースされたものです)



資料3 BPO放送倫理検証委員会概要

2007年5月

1.目 的
委員会は、放送倫理を高め、放送番組の質を向上させるための審議を行う。万一、虚偽の内容により視聴者に著しい誤解を与えた疑いのある番組が放送された場合、放送倫理上問題があったか否かを調査・審理して「勧告」または「見解」を出す。また、必要に応じて再発防止策の提出を求め、その実効性を検証する。こうした一連の活動によって、放送界の自浄機能を確立し、視聴者の信頼を回復するとともに、表現の自由を守ることを目的とする。
2.特 徴
委員会の権限と、放送局の協力・遵守事項を明確にし、実効性を担保するために、BPOと各放送局が個別に合意書を取り交わす。

(委員会の権限)
委員会は、第三者委員で構成され、調査権限と、それに基づく判断権限、再発防止策の提出等を求める権限を持つ。
(放送局の協力・遵守事項)
委員会の調査に協力し、委員会の「要望」や「見解」を尊重し、「勧告」を遵守し実行する。
再発防止策の提出、履行。
審理結果を視聴者に周知させるために、相当な時間帯・内容の放送を行う。

3.活 動 内 容
委員会の具体的活動内容は次の通り。

(会議の開催)
委員会は、毎月1回開催するほか、事案に応じて臨時に開催する。
(審議と審理)
委員会は、通常の「審議」と、虚偽放送事案の「審理」を区別する。
「審議」:放送倫理を高め、放送番組の質を向上させるため、放送番組の取材・制作のあり方や、番組内容などに関する問題について審議する。必要に応じて意見を公表することができる。
「審理」:虚偽の疑いがある番組が放送されたことにより、視聴者に著しい誤解を与えた疑いがあると判断した場合に、その番組が放送倫理上問題があったか否か、また、再発防止策の提出を求めるかどうかを判断する。委員会の決定は当該放送局の番組審議会にも伝える。
(審理対象番組の決定)
対象番組は委員会が決定する。
ケースとしては
①放送事業者から自主的に委員会に報告があった番組。
②番組関係者や外部関係者、視聴者などから指摘された番組。
③その他、委員会が必要と判断した番組。
(調査)
委員会は、対象番組の審理のために必要な調査を行う。放送事業者および制作会社等関係者に対して関連資料や、放送済みテープ等の提出を求め、事情聴取を行うことができる。
★特別調査チーム
委員会は、事案に応じて、専門家からなる特別調査チームを設置して、集中的・機動的な調査を行うことができる。
★放送事業者に対する外部調査委員会の設置勧告等
委員会は、事案に応じ(調査が複雑で大規模になる場合等)当該放送事業者に対して、第三者委員による外部調査委員会の設置を勧告し、委員の人選、調査項目についても意見を述べ、途中経過を含めた調査内容の報告を求めることができる。
(委員会判断基準)
委員会は、各放送局が定めた番組基準やガイドラインも参考にして、放送倫理上問題があるかどうかを独自に判断する。

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