- 第6章 パートナーシップ >
- 4.「発掘!あるある大事典」以外の問題事例
- 4.「発掘!あるある大事典」以外の問題事例
番組は、関西テレビの局員、制作会社のディレクター、技術会社のカメラマン、フリーランスの作家など、さまざまな所属、立場の人々が集まって制作します。一つの番組を制作し、視聴者に発信することは、所属、立場が違っていても、おのおのに責任が発生し、また責任の一番の担い手が、関西テレビにあるからこそ、それぞれの危機管理の局面にパートナーシップが重要であるという意識を培わなければなりません。
例えば制作会社のディレクターは、ロケ中のトラブルは関西テレビの責任になるという意識を持ってもらうこと。現場判断で、トラブル解決を図れたとしても、必ず、局の担当者に報告することを徹底してもらわないといけません。また、番組制作途中の取材や構成の整合性に不安がでてきたとき、各担当者だけの問題とせず、番組を統括している局の担当者に相談したり、放送に向けて対処できる、風通しのいい現場でなければなりません。
真のパートナーシップとは、より良い番組をつくっていくために必要不可欠なものなのです。
放送後、A社の広報担当者より、制作会社の担当ディレクターに電話があり、「商品の取り扱いについて遺憾に思う」旨の抗議を受けた。制作会社はお詫びをし、その時点で解決したと判断、関西テレビの担当者に報告しなかった。しかし、その後、A社開発事業部より、関西テレビ営業部宛に抗議がきたため、関西テレビは、詳細な経過報告とともに、謝罪文をA社に送付した。
局は、営業セクションのように、制作会社とは違うかたちで、取材先と関係をもつ場合があります。この事象の場合、制作会社独自の判断だけではなく、それを局と共有することによって、迅速で丁寧な対応が可能でした。
対応としては、関西テレビ取締役より、制作会社取締役宛に謝罪文を送付。また、6局ある番組販売局のうち、事前に編集が間に合った2局については、エンディングテロップを修正し放送した。
この場合の制作会社は、大手タレントプロダクションの一部門であったため、局側に、“制作協力”という意識が希薄であったと思われます。先の事象とは逆に、局の制作会社に対する認識不足が、トラブルを招くこととなりました。
関西テレビの内部でもコミュニケーションを図り、共通認識のもとに制作会社と協議した上で、最適な体制を構築することに努めるべきでしょう。
制作会社のプロデューサーからは、番組宣伝目的のホームページであり、金銭の授受等はまったくないとの説明は受けたが、著作権侵害であることを理解してもらい、ページを削除した。また、プロバイダーから、関西テレビ宛の謝罪文を受け取った。
この事象でも、関西テレビと制作会社が連絡を密にしていれば、番組宣伝のツールとして、ホームページが有効に使えた可能性もあったでしょう。ただし、ネット上では、放送とまったく違う権利処理が必要であることも、重ねて認識する必要があります。また、基本的に、番組宣伝に関しては、局の宣伝部と相談するという意識を、制作会社のプロデューサーに持ってもらってください。
(第5章−1「著作権をめぐって」参照)
それに対して関西テレビは制作会社と対応を協議し、編成局長名の謝罪文を送付してお詫びをした。
ローカル番組であっても、制作会社と取り交わす契約書によっては、広い範囲の権利を関西テレビが取得するものがあります。全国の系列局等への番組販売や海外番組販売、DVD・書籍といったライツビジネスなど、多様な露出の機会が増えているので、局と制作会社により密なコミュニケーションが、求められます。
また、番組販売したコンテンツの編成権は、購入局に委ねられるため、緊急特番編成などで休止した場合など、放送されないことによって、今回の例とは逆のトラブルを生じることもあります。