関西テレビ放送株式会社

 

  1. 第5章 著作権 >
  2. 1.著作権をめぐって
  • 1.著作権をめぐって

(1)基本となる考え方

番組はさまざまな人の著作物を利用しているため、権利処理を確実に行うことが必要です。最近は、著作権以外の知的財産権(商標権、意匠権など)も含め、意識が高まっているため、権利処理を怠ると他人の権利を侵害した上に、トラブルの発生に繋がる恐れがあります。
「他人のもの(著作物)は無断で使えない」ことを忘れてはいけません。


事例 CDジャケット、写真集、etc.
バラエティ番組で、CDジャケットや写真集、書籍の表紙を映していた。
書籍を手に持って広げる撮影手法も以前はあまり問われなかったが、本来、著作権者の許諾が必要。

(2)権利処理(権利者に許諾を取ること)について

1)著作物とは何か?

著作権法・第2条
1.著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

例えば、絵画なら、有名な画家が描いたものでも、幼児のものでも著作物となり、著作権が発生します。また、学術論文でいうと、学者のものでも学生のものでも、同じく著作権が発生することに変わりはありません。

2)どんな人に権利があるか?

原作者(作家)、脚本家、出演者(俳優、歌手、タレント)、音楽家(作詞、作曲、演奏)、美術家など多くの人に著作権があります。
俳句、川柳、詩等も著作物です。一部を使う場合も権利処理が必要です。

3)権利処理の方法

使用する事前に、文書により許諾を得ておくことが、のちのちのトラブルの発生防止に繋がります。
しかし、一般の人から写真を借りる場合のように、相手が慣れていないときや、ニュースでの利用のため緊急を要し、時間がない場合など、文書化が困難な場合があります。
文書化が無理であっても、「どこで」「どのように」利用するかをきちんと説明し、承諾を得る必要があります。


事例 JASRACが管理していない楽曲を番組で使用
生放送バラエティで、出演者が自ら準備した楽曲を使用。JASRAC(日本音楽著作権協会)管理曲ではなかったことが放送後、発覚。
JASRACと放送局は地上波放送に関して包括契約をしているため個別の許諾や支払いは不要だが、JASRAC管理曲以外は事前申請と使用料の支払いが必要になる。
楽曲の著作権管理者に事後ながら許諾を求め、追加料金も支払うことで収束。二次利用の許諾もおりる。
今後は、出演者にも自前で楽曲を用意するときは事前に申請するよう要請することとした。


日本における作詩や作曲の著作権の多くを管理しているJASRACと放送局は、地上波放送に関し、その許諾と使用料について包括契約をしています。これによって番組制作で音楽を利用するとき、いちいち事前に許諾を求める必要はなく、使用料は放送局が一括で支払っているため番組ごとに支払うこともありません。このことを知っていないと、実務上タダで許諾を得ず音楽を利用している錯覚にとらわれます。
JASRAC管理曲以外は事前に許諾を求め、番組制作費から使用料を払わなければなりません。著作権担当者や音効担当者と確認をしながら、権利処理をしてください。また、JASRACには利用楽曲報告が必要で、この楽曲データは番組を二次利用するためにも必須のメタデータとなります。


(3)許諾の必要がない場合 〜例外はどんな場合か

著作物であっても許諾不要な使い方の代表的なものを挙げておきます。
「引用」と「時事の事件の報道のための利用」です。これらは著作権者に無許諾で利用できるとされています。しかし、それにはいくつかの要件を満たさなければなりません。

1)引用

著作権法・第32条1
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

引用のための要件

ただ、あくまで伝えたい「主」のテーマがあった場合に、その説明や補強材料として「従」で引用できることに注意しなければなりません。引用する場合は次のことが必要となります。
 @公表された著作物であること。
 A「引用」を行う必然性。
 B「主」のテーマより長くならず、引用部分を短くする。(主従関係)
 C「主」のテーマと差別化を図るため「引用」とわかるように画面に枠を付けるなどの工夫。
 D文字ないしアナウンスで「出処」を明らかにする。


事例 「引用」の許容範囲とは?
県知事のスキャンダルニュース(女性記者宿泊事件)で、ニュース番組が週刊誌の記事と写真を無断利用し、ニュースとして伝えた。中身のほとんどが週刊誌の記事だった。当該局としては「引用」という位置づけだったが、週刊誌から「営業妨害」だと強く抗議。
スクープ写真なのに、テレビでやられては週刊誌の売れ行きに大きな影響を与えるというもの。当該局もローカルニュース枠で謝罪した。
週刊誌を引用することも可能だが、ニュースのほとんどが週刊誌というのは「主従関係」という引用の範囲を越えている。さらにスクープ写真はダメだろう。

2)時事の事件の報道のための利用

著作権法・第41条
写真、映画、放送その他の方法によって時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴って利用することができる。

時事の事件の報道のための利用の要件

著作権法文中の「時事の事件」とは、現時または近時に起こった事件をいい、「当該事件を構成」とは、その著作物を利用しないと報道にならない場合(例えば、絵画が盗まれたニュースでその絵画を映像で見せるなど)を指します。「正当な範囲内」とは、著作物の利用を必要最小限にすることなどです。。


事例@ 押収された海賊版映像の利用
映画館で隠し撮りした映像を使った海賊版DVDを販売した人間が逮捕されたことを伝えるニュース(関西テレビ含む)で、海賊版の映像は「当該事件を構成」するものとして、許諾は不要。しかし、正規版の映像を比較として利用するには許諾が必要となる。


事例A 尖閣諸島沖中国漁船の衝突映像
中国漁船が沖縄の尖閣諸島付近で違法操業し、日本の巡視船に衝突し破損させた際の録画映像がYou Tubeにアップロードされ翌日のワイドショーやニュースでこの映像が放送されたが、「報道利用」の要件を満たすと考え関西テレビでも利用した。


事例B スピード違反のスピードメーターを放送
スピード違反をしているバイクのスピードメーターの映像が動画サイトにアップロードされ、スピード違反者の逮捕につながった。
関西テレビも含め各局は「この映像がきっかけで違反者が逮捕となった」と伝えたが、この場合は映像自体が「事件を構成」しているので「報道利用」として許諾なく利用できる。

(4)番組著作権の帰属と利用範囲

番組の制作を制作会社に委託する場合、実態に則して著作権の帰属について十分に協議し、帰属を決定します。制作会社に著作権が帰属する場合は、関西テレビは放送権の譲渡を受けることになるため、放送できる範囲(地域)、期間、放送回数、について決定する必要があります。

関西テレビ ページトップへ戻る