関西テレビ放送株式会社

 

  1. 第4章 表 現 >
  2. 1.科学的知識の表現
  • 1.科学的知識の表現

関西テレビが犯した過ちは、科学的知識を取り上げた番組に対する認識の誤りでした。このような際には、特に注意が必要です。
スタッフの間で取り上げる内容を十分に吟味することはもちろん、ケースに応じて専門家の意見を求めるべき局面もあるでしょう。
科学的根拠について諸説があるようなテーマを取り上げる場合には、表現に細心の注意を払い、無限定に肯定したり、あるいは断定したりする表現は避けなければなりません。


(1)科学的に完全に実証されていない薬事効果、医療効果

科学的に完全に実証されていない、病気に対する治療の医療効果や医薬品の効能において、安易に一つの治療法や一つの薬剤を効くと断定して紹介することは、極めて危険です。あくまでも「一つの治療・一つの薬剤」として取り上げ、複数の専門家の意見(賛否両論あれば、両論を)も紹介しつつ、客観性を担保する必要があります。当然、番組のジャンルなど関係なく必要なことです。
エステやダイエット食品、健康食品については、直接に生命や健康に影響がありますので、法令によって、厳しく規制されています。医師法や医療法、薬事法などで表現が規制されるケースが多く、十分な注意が必要です。


事例① ゲルマニウムブレスレッドの効き目
情報番組で、ゲスト出演するタレントから、ゲルマニウムブレスレットで肩こりが治ったことを番組中でコメントしたいとお願いされた。
薬事法抵触の問題があり、見えるところに装着して出演したが、コメントはなしで、納得してもらった。


事例② ゲストがお気に入りアイテムを紹介
情報番組で、トークの中で、ゲストタレントが商品紹介。
自分が気に入っている化粧品や健康食品を奨めていたが、中にはCM考査でNGのものも見られたため、放送後、プロデューサーに注意。


事例③ ホームページへの過信
情報番組で、毛が生える天然水を扱っている会社のホームページを紹介したが、そのホームページには、他にどんな痛みにも効くと謳った水も紹介されていた。
安易にホームページのアドレスを掲載するべきではない。


事例④ 看護師が自宅で点滴
生放送の情報番組で、看護師を妻に持つタレントが、自宅でも点滴をしていると発言。注射は医師の指導のもとに行うものであり、医療施設外での行為は、緊急を要するケース以外は医療法に抵触する。

民間療法などの紹介には、さらに慎重な対応をするべきです。
医師法・第17条 医師でない者の医業禁止
医師でなければ、医業をなしてはならない。


事例⑤ ミツバチの針を利用した健康法
情報番組でミツバチの針を使用した健康法を紹介したところ、鍼治療の団体から文書による抗議があった。
厚労省に問い合わせたところ、「ミツバチの針を使用した行為は、医(療)行為であり、医師の資格が必要。無資格者が行うと医師法違反となります。今後は絶対に放送しないでください」との返事があった。確認の結果、番組の出演者は、医師の免許も鍼師の資格も取得していなかった。

柔道整復師、鍼灸師、あんま、マッサージ、指圧師は国家資格ですが、医師ではないため医療行為はできません。つまり、「加療」は良いが「治す」や「診断する」とはコメントできない。微妙なところですが、「腰痛や肩こりが治る」などの表現は避け、「楽になる」とかの程度にとどめるべきでしょう。なお、整体師は国家資格ではなく民間資格のため開業はできますが、医療行為は禁じられているので、表現には注意が必要です。
エステの脱毛行為などに医師法が適用されるケースもあるので注意を。
医師法・第18条 名称の使用制限
医療法・第3条 名称の使用制限
病院又は診療所でないものは、病院又は診療所に紛らわしい名称を用いてはならない。
美容整形なども要注意です


(2)迷信、予言、霊感、占い(血液型を含む)など

1)迷信

放送基準・第8章53
迷信は肯定的に取り扱わない。

2)予言

放送基準・第8章46
人心に動揺や不安を与えるおそれのある内容のものは慎重に取り扱う。


事例 占い師が地震を予言
トーク番組での録画段階チェックで、出演した著名な占い師が出演者の来年の運勢を占った後、司会者にうながされて「来年、○○の地震を上回る規模の地震が日本で発生する」と発言。さらに、発生する場所を暗にほのめかす。
上記放送基準に鑑み削除した。

3)霊感

放送基準・第3章20
催眠術、心霊術などを取り扱う場合は、児童および青少年に安易な模倣をさせないように特に注意する。


事例 心霊スポットが渋滞スポットに
情報番組で、心霊スポットとしてあるトンネルを紹介したところ、マニアが殺到して周辺が交通渋滞となった。
その地区の会長から厳重な抗議があり、次の週の放送で地域に迷惑をかけないように呼びかけた。

4)占い

放送基準・第8章54
占い、運勢判断およびこれに類するものは、断定したり、無理に信じさせたりするような取り扱いはしない。


5)血液型による性格分類

これは科学的根拠が確立されていません。「因果関係が立証されていないので問題ではない」という主張も意味がありません。性格分類にとどまらず、特定の能力に関わる優劣判断の材料に用いている場合や特定の血液型をもつ人々に対する差別に繋がっているケースも見られるので注意してください。
第7章−3「関西テレビ放送 番組審議会 議事録」参照)



資料 BPOからの要望

2004年12月8日

血液型を扱う番組への要望

BPO(放送倫理・番組向上機構)
放送と青少年に関する委員会

「血液型を扱う番組」が相次ぎ放送されている。それらの番組はいずれも、血液型と本人の性格や病気などとの関係があたかも実証済みであるかのごとく取り上げている。放送と青少年に関する委員会(以下、青少年委員会)にも、この種の番組に対する批判的意見および番組がもたらす深刻な状況が多数寄せられている。
それらの意見に共通するのは、「血液型と性格は本来、関係がないにもかかわらず、番組の中であたかもこの関係に科学的根拠があるかのように装うのはおかしい」というものである。意見の中には、「これまで娯楽番組として見過ごしてきたが、最近の血液型番組はますますエスカレートしており、学校や就職で血液型による差別意識が生じている」と指摘するものもあった。
放送局が血液型をテーマとした番組を作る背景には、血液型に対する一種の固定観念とでもいうべき考え方や見方が広く流布していることがあげられる。
しかし、血液型をめぐるこれらの「考え方や見方」を支える根拠は証明されておらず、本人の意思ではどうしようもない血液型で人を分類、価値づけするような考え方は社会的差別に通じる危険がある。血液型判断に対し、大人は“遊び”と一笑に付すこともできるが、判断能力に長けていない子どもたちの間では必ずしもそういうわけにはいかない。こうした番組に接した子どもたちが、血液型は性格を規定するという固定観念を持ってしまうおそれがある。
また、番組内で血液型実験と称して、児童が被験者として駆り出されるケースが多く、この種の“実験”には人道的に問題があると考えざるを得ない。
実験内で、子どもたちは、ある血液型の保有者の一人として出演、顔もはっきり映し出され、見せ物にされるような作り方になっている。中には子どもたちをだますような実験も含まれており、社会的にみて好ましいとは考えられない。
青少年委員会では、本年6月以降、番組内での“非科学的事柄の扱い”全般について検討してきたが、ことに夏以降、血液型による性格分類などを扱った番組に対する視聴者意見が多く寄せられるようになった。そこで委員会では集中的に「血液型を扱う番組」を取り上げ、いくつかの番組については放送局の見解を求め、公表してきた。その過程で、放送局は「○○と言われています」「個人差があります」「血液型ですべてが決まるわけではありません」「血液型による偏見や相性の決めつけはやめましょう」など、注意を喚起するテロップを流すようになった。しかし、これは弁解の域を出ず、血液型が個々人の特徴を規定するメッセージとして理解されやすい実態は否定できない。
民放連は、放送基準の「第8章 表現上の配慮」54条で、次のように定めている。


(54) 占い、運勢判断およびこれに類するものは、断定したり、無理に信じさせたりするような取り扱いはしない。
〔解説〕 現代人の良識から見て非科学的な迷信や、これに類する人相、手相、骨相、印相、家相、墓相、風水、運命・運勢鑑定、霊感、霊能等を取り上げる場合は、これを肯定的に取り扱わない。

これらを踏まえ、青少年委員会としては、「血液型を扱う番組」の現状は、この放送基準に抵触するおそれがあると判断する。青少年委員会は、放送各局に対し、自局の番組基準を遵守し、血液型によって人間の性格が規定されるという見方を助長することのないよう要望する。
同時に、放送各局は、視聴者から寄せられた意見に真摯に対応し、占い番組や霊感・霊能番組などの非科学的内容の取り扱いについて、青少年への配慮を一段と強められるよう要請したい。