関西テレビ放送株式会社

 

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  • 2.被害者取材

(1)取材の基本

1)被害者取材の意味

事件を報道する上で、被害者がどのような人であるのかを伝えることは、その事件の悲惨さに思いをはせ、その事件の影響や社会的な広がりについて深く考えることにも繋がります。大きな事件・事故に際して死亡した人はただの「人数」などではなく、それぞれに名前を持つかけがえのない人格であることを想起しなければなりません。そのために、被害者や遺族、関係者に対する取材を行うのです。

2)基本姿勢

事件・事故で生命を奪われたり心身を傷つけられたりした被害者は、最も重大な人権侵害を受けた存在です。そうした被害者が報道によって二重三重の人権侵害をこうむることは避けなければなりません。一方で、私たちは事件・事故について正確に報道しなければなりません。被害者の人権の保護と正確な報道、この二つを両立させる努力が求められています。
また被害者や遺族の心情は一様ではないことも理解する必要があります。事故や事件に関する当事者としての考えを訴えたい被害者もいれば、報道には一切協力したくない被害者もいるのです。取材は被害者の心情をできる限り尊重して行わなくてはなりません。

3)留意点

被害者が取材の自粛を要請してきた場合、真摯に対応を検討し、被害者への心理的圧迫をなくすよう努めなくてはなりません。
被害者の遺体が自宅に戻る際の取材については、多くの場合、極度の疲労や悲しみのなかにある遺族が、自分に向けられる取材活動を初めて目の当たりにする場面であり、取材への拒否感が強い場合も多いのです。葬儀などと違って、近親者以外の立ち会いも普通は考えられないプライベートな時間であることを十分にわきまえ、判断をしなくてはなりません。


事例① 大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件
附属池田小事件(2001年6月)では被害児童の遺族が「マスコミが玄関に殺到していたため、子供を朝出て行った玄関から帰すことができなかったことが最も悔やまれる」と話しておられる。
これも踏まえ関西テレビとしては「無言の帰宅」の撮影の必要性について、より慎重な判断をしようとしている。
第3章−4「実名か匿名か」参照)


事例② 大阪タクシー運転手連続殺傷事件
大阪でタクシー運転手が相次いで襲われた強盗殺人・同未遂事件。重傷を負い、一時退院した運転手にテレビと新聞が代表インタビュー。本来は個別取材が原則だが、被害者の精神的・体力的な負担を考慮し、テレビ・新聞各1社が他社の質問を取りまとめる形で代表取材を行った。