関西テレビ放送株式会社

 

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  • 4.「企画」が「番組」として一歩を踏み出す前に…

(1)実現の可能性を精査する

第1章ではここまで、私たち「個人」から湧き上がるプロフェッショナルな「放送人」としての「企画意図」の重要性と、その土壌となる私たち自身の日常の心構え、そしてその「個人」を原点とした「企画意図」を「番組」として世の中に投じていくための情熱と切磋琢磨の必要性を論じてきましたが、さらにこの項では、「企画」が番組制作過程へ一歩を踏み出す前に必ず行っておくべき「実現の可能性の精査」について述べます。


(2)主なチェックポイント

企画者(もしくは制作者)は、ある種の「思い」あるいは「魂」ともいえる「企画意図」を、番組制作を取り巻く諸条件の中で「どのように具現化するのか」というプランを持っておく必要があります。
むろん番組制作は膨大な過程を伴う共同作業ですから、特に企画者と制作者が同一でない場合などは、すべての条件を精査することは困難かもしれません。また、演出の領域に直結する事柄が多数含まれるので、どこまでが企画者の領域で、どこからがプロデューサーやディレクターの領域かといった分かちがたい問題もありますが、実現性に乏しい企画を強行することはさまざまな意味で危険ですので、できる限り情報を収集し、想像力を駆使してしっかりとしたプランニングを行いましょう。
ここにその主なチェックポイントを列挙します。

1)番組内容そのものの実現性

インタビュー証言や特定のデータ、情報を根拠とするような企画の場合、それらを番組内の表現として確保できる可能性を十分に持っているのか、あるいはそれらの正確性を担保できるのか。
あるキャスティング、取材相手、あるいは取材先等の承諾を「核」とする企画の場合、それらが確実に取得できるのか、あるいは代替案が可能なのか。
番組制作工程に危険は伴わないのか。安全性は担保されるのか、など。
特定の原作や映像素材、図面、文献等の使用を必須とする企画の場合、その使用許諾、あるいは権利処理等が確実にできるのか、など。

2)編成枠・予算

想定される編成枠はどこか、想定編成枠の時間帯特性や視聴者構成特性と企画が乖離していないか、想定枠予算に見合う企画か、あるいは逆に企画に見合う予算が確保できるのか、など。

3)制作体制(人員)

社内の制作対応人員は確保できるのか、企画に適合した能力を持つスタッフ等は確保できるのか、適正な委託先は確保できるのか、必要に応じて番組監修者を確保できるのか、など。

4)制作期間(納期)

放送想定日までの制作期間に無理はないか、取り扱う内容・テーマが取材時期と合致するか、番組宣伝・広報に必要な期間が確保できるか、など。

5)制作環境(設備・技術)

必要なスタジオなどの収録場所・中継車、編集・MA設備等が確保できるのか、技術的に表現可能な内容なのか、など。


(3)番組企画書および制作報告書への
   「情報の正確性確保の方法」の記載

番組で取り扱う情報が正確であるべきことは論を待ちません。しかし、番組制作が、その制作体制や演出手法、制作期間、予算等の多様かつ複雑な条件下で行われる以上、そこに落とし穴がないとは言い切れません。
番組のジャンルや企画内容によって濃淡はありこそすれ、例えば科学的根拠を前提とする企画等の場合は、必要に応じて、番組監修者の配置、実験の方法、実験データの提出・保管、根拠となる論文等の提出・保管、インタビュー記録の保管など、科学的根拠の正確性を確保するための方法を講じる必要があります。
こういった企画の場合は、これらの「正確性確保の方法」を番組立ち上げ時の「番組企画書」や制作・放送終了後(もしくは半期ごと)の「番組制作報告書」に記載するなどして、チェックが行える体制を確保しましょう。


(4)番組監修者の充実と強化

番組の内容自体が科学的知識を取り上げている場合や、レギュラー番組内に科学的知識を取り上げるコーナーがある場合などには、内容に応じて、番組監修者として専門家に番組スタッフとして入ってもらう必要があります。
その上で、番組企画段階・構成段階・編集段階等の各段階において、必要に応じて監修者にチェックしてもらわなければなりません。番組独自で実験やシミュレーションを行う際には、当該事項の専門家や学者とともに、番組監修者にも協力を求めましょう。


(5)企画提供から着手申請へ……必要な社内手続きの確認

企画書を提出後、プロデューサーや上司、編成担当者などが吟味し、ゴーサインが出たらいよいよ番組制作プロセスに突入します。関西テレビのプロデューサーは社内規程に基づいて、まずは着手申請書に番組企画書を添付して提出し、制作着手承認を受けなければなりません。
関西テレビではこのほかに、実行予算決定のための稟議手続きや制作委託契約締結、タイアップ報告、広報・ホームページ等への対応、視聴者情報対応、JASRAC報告等の権利処理、そして制作・放送終了後(もしくは半期ごと)の番組制作報告書の提出などさまざまな手続きや対応業務があります。関西テレビの社内規程等に従って遅滞なく手続き・対応を行う必要があります。


(6)制作フローの確認、スタッフ担当者の役割と責任の確認

番組制作にはプロデューサーやディレクターのみならず、構成作家やブレーン、リサーチャー、ロケ・ディレクター、アシスタント・ディレクター、再委託先など多種多様なスタッフが関わります。それだけに、それぞれの担当者の役割と責任は何なのかを明確にし、かつ番組制作コンプライアンスの観点から、これを社内のしかるべき関係者が把握しておく必要があります。
そこで、番組制作体制が構成されたら、プロデューサーは番組制作フローの確認をし、番組制作フローの各段階において関わるスタッフの役割と、それぞれの責任について十分に確認しなければなりません。参考として挙げた「制作責任担当表」は一例ですが、このような表を作成してスタッフがどのように番組制作に関わっているかを把握することも可能です。
さらに上司、社内のコンプライアンス・放送倫理担当、コンプライアンス責任者等で制作体制について情報共有し、必要に応じてその妥当性について検討が行える体制をとりましょう。