関西テレビ放送株式会社

 

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  • 2.企画者(制作者)にとっての視聴率

テレビはマスメディアのなかで大きな存在です。「マス」に向かって発信するわけですから、自分が作ったものをより多くの方に見ていただきたいと願うことは当然の摂理であり、どれだけ多くの人が見てくれたかを示す指標として存在する視聴率をより高く求めることは、決して非難されるべきものではありません。公共的使命をより有効に果たすという観点から見ても、視聴率は低くても構わないということにはならないでしょう。また民間放送である以上、視聴率は今のところ重要な営業指標です。しかし、だからといって数字の「量」だけを見つめていて果たして良いのでしょうか?
少し立ち止まってみましょう。そして、少し振り返ってみましょう。テレビ番組の制作現場を志した多くの人間は、子どものころテレビ番組を見てワクワクしたり、腹を抱えて笑ったり、あるいは涙したことがあるはずです。そして、今度は自分の手でそんな番組を作れたら……。私たちは、そのときの心を今も忘れず持っているでしょうか?
番組を誰に向けて作っているのか? あるいは、何のために作っているのか?
番組を見ているのは視聴者です。制作者はより多くの視聴者により深く伝えたいと思っていますが、テレビ放送は例えば舞台公演とは違い、お客様の反応が直接的には伝わってきません。端的にわかるように思えるのは、視聴率という目安です。とはいえそこには、文字通り数字だけがあり、視聴者の顔は見えません。笑っているのか、泣いているのか、怒っているのか。
しかしそれでも、視聴者に向かって番組を制作する限り、常に視聴者の顔を思い浮かべましょう。まずは、親兄弟など愛する人たちから、そして、見知らぬ人々の顔を想像しましょう。その人たちに番組を通して自分の思いが伝わっているのか。番組は数字だけで表せるものではないのです。
視聴率とは、テレビ番組がいかに見られているかということを示す指標の一つに過ぎないのですが、量的結果を明快に数値で示すために、とかく一人歩きしがちです。しかし、どのように見られたかという質的結果は直接的には示していません。世の中にどのように影響を与えたかということも数字だけでは読み取れません。
本来、拠り所とすべき指標は、決して視聴率だけではありません。視聴者の方々からの意見・感想はいうに及ばず、上司、同僚、仕事上のパートナー、家族、友人とのコミュニケーションや、世の中の動静を常に感じること、想像力を豊かにして考えること、そして最も大切な自分自身の良心に。
数字にならない指標はたくさん存在するはずです。


資料① 「発掘!あるある大事典」調査委員会報告書より
視聴率を回復するために、前述したとおり面白く、分かりやすく、スピード感があってかつお役立ち感がある番組として、「あるあるⅡ」が企画され成立した。そして、この企画が視聴者の関心を呼び、視聴率が上がったため、次第にこの視聴率を維持するために内容が断定的効果を謳うものへと過激化していった。このような経緯は、明らかに視聴率本位の制作態度の現れといわれても仕方あるまい。


資料② 「発掘!あるある大事典」調査委員会報告書より
インターネット等でたびたび番組内容の正確性につき批判され、さらに平成17年4月、あるあるを取り上げた「真に受けてはいけない——氾濫する健康・ダイエット商品の恐いウソ」が出版されるなど、「あるあるⅡ」の情報の正確性に対する批判本が出版されていた。このような現象は、そのような批判の内容の真偽や正確性は措くとして、健康番組に対する社会的関心が高まり、そして社会の監視が強まっていることの証であったと見られる。
したがって、健康番組とりわけ視聴率も高く視聴者の注目を浴びている健康番組を制作している担当プロデューサーや担当部局においては、批判されている箇所を検討するだけでなく番組制作全体のあり方を再チェックし、上述したような番組制作のチェック体制を設けることを新たに検討してもよかったと考えられるが、何ら特段の検討はなされなかった。