岡安譲のSweetsのススメ

凱旋門賞実況について

2017.10.06

言いたい事が山程あるので今回はちと長いです。
先輩風を吹かせている様な物言いかも知れませんが、
「よくやった」と思います。
後輩・吉原君の凱旋門賞の実況です。

まあ細かい内容については
本人も納得のいく部分とそうでない部分が
あるでしょうからここでは触れません。

今回吉原君の何を評価しているかと言えば
実況者にとっては
決して良いとは言えない環境の中
普段通り落ち着いてしゃべりきった事です。

本人は決して「大変でした」とは言いませんが
話を聞く限りでは同業者として「ゾッ」とします。

というのも、実況席がありえない。
ちょっとご覧いただきましょうか

「なんだ、普通の実況席じゃないか」
と思うかもしれません。

問題なのはこの部屋の位置。
吉原君情報では、
ゴール板からなんと200mも手前にあるそうです。
これは地獄です。

たとえ双眼鏡があるにせよ
一番肝心なゴール前の状況を把握するのは至難の業。

馬のお尻の方向から、しかも斜めの角度で
着順を判断することなどまず不可能です。

結局モニターに頼らざるを得ないのですが、
もしモニター映像にトラブルがあったら
どうすることもできません。これは怖い…。

また
実況の仕掛け所が分かりにくいのも難儀です。

大抵のアナウンサーは、
ゴールの瞬間にボルテージがMAXになるよう
逆算して実況します。

トップギアに入れるのが早すぎると
声が持ちませんし
反対に仕掛けが遅れると
不完全燃焼で終わります。
(このあたりまさに競馬と一緒です。)

ゴールと実況席が近ければ
馬達がどれだけフィニッシュ地点に近づいているか
目視できるので、逆算して実況を作れます。

しかしこの実況席のように
200mも離れて、しかも馬の後ろ姿しか
見えない場合、逆算はまず無理。
これまたモニターと勘に頼るしかありません。

その頼みの綱のモニター中継映像は
現地メディアのものを「受けて」いる状態。

つまり
どんな映像が撮られ、
どんなスイッチングがなされるか
その時になってみないとわからないのです。

海外映像は不可解なカット割りが
ままあるので、これまた怖いのです…。

肉眼では見えない。
モニターはどんな画がくるか分からない。
これは相当大変です。

そもそも色々なプレッシャーがある中、
あんな環境で普通に実況できたことは
立派だったと私は思います。

「プロなんだから当たり前」
と感じる方もいるかもしれませんが
なかなか簡単な事ではありません。

凱旋門賞から3日後に出社した彼は
レースで全てを出し切ったためか
アナウンス部に買ってきたお土産を
全て関空に忘れ、平謝りしておりました。

それだけ大変だったということでしょう。
お疲れさまでした。

そんな凱旋門賞の実況について書いているうちに
自分が担当した5年前の事を
鮮烈に想い出しました。

続きは次回に。

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