服部優陽「2×2=8っとり伝」

教科書の枠を超えて

2019.01.09

マリー・アントワネット、という名前を聞いて私は「パンがなければケーキを食べればいいじゃない、の世間知らずの王女様か」としか思っていませんでした。このミュージカルを見るまでは。

ミュージカル「マリー・アントワネット」

学生のころ読んだ教科書の上では革命のきっかけになっても仕方ない傲慢なお姫様だったはずが、気づけば教科書の枠を飛び越えていました。

歴史上の人物である前に、一人の女性であり、妻であり、母であり…。傲慢であるどころか気高き誇りに殉じた、歴史の奔流の被害者。

妻として生きること、母として生きること、一人の人間として自由に生きること。現代では当たり前の権利すら革命の旗印のもとに、圧倒的多数の力の前に否定された悲しい女性の姿がありました。

クライマックスにあたる処刑のシーンは見ていられないですね…。まるで自分もマリーと同じ時代に生きて、処刑の現場に居合わせてしまったような圧倒的な臨場感でした。

教科書にすればフランス革命というわずかな項目でしかなく、自由・平等・友愛を手に入れるために戦った市民、そして特権を守ろうとした貴族たち。その代表格であったマリー、そんなイメージで見ていた自分をひっぱたきたくなりますね。

教科書に「フランス革命」という文字が載ることになる、大きなうねりとなった歴史の流れに巻き込まれ、それでも生き抜こうとした人たちがこんなにたくさんいたこと。そして命を落としていったこと。

傑作です。大傑作です。歴史を学びたくなるし、今の自分の恵まれた境遇を見つめなおしたくなる、すでに亡くなった歴史上の人物にここまで思いを馳せたくなる物語を私は知りません。

本当に傑作、ぜひ一度見ていただきたい!
梅田芸術劇場で15日まで公演しています、ぜひ。

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