11月1日(金)

清の「言いたい放題」

「後期高齢者」。なんとも言えない嫌な、否、単に嫌というより、複雑な気分にさせる響きを持った言葉だ。
実際、この言葉が我が身にモロにふりかかってくる年齢になっていて、ま(仕方ないナ~)、最近は抵抗しても実際そうなんだから、とあきらめの心境だ。夫婦ともにその域になって家事全般、助け合ってやっている今日、この頃だ。
早朝から(6:00)いつものように洗濯物を干しに庭へ出ると、甘いというか何とも表現が難しい臭いに鼻がくすぐられた。周囲を見回すと、いつも目にしている“キンモクセイ”の木が黄色、というよりオレンジ色に染まっている。
もう20年近くもその場にあるのに、今年、初めてその臭いに気が付いた。そもそも、それが後期高齢者の表われなのか、と余計、複雑な心境にさせられた。
その日は天皇賞(秋)…。
我が本命、ドウデュースはどうなのか。直ぐに、なんでも競馬に直結するから、習慣とはいえ困ったもの。15時に、いよいよだ、とテレビの前に正座。まずパドック。ドキドキする。
63年も競馬をやってきた今も同じだ。馬が違っていた。堂々と、ノビノビして歩いていた。身体全体で…。後肢の踏み込みも力強く、しかも滑らか。ヨシッとひと安心。本馬場に入ってさらに気合いがのる。
スタート。悪くない!ヨシッ!東京の2000mは独特で毎年、ポジション争いでゴチャつく。ここもスムーズだ。4枠7番にもかかわらず、後方から進める、と決めていたのか。向正面に入ってホウオウビスケッツがハナに立ち、シルトホルンが2番手、ベラジオオペラが3番手と画面が先行集団をとらえている。
人気の面々はその直後といいところにいる。我がドウデュースは後方から2番目の14番手。うしろ過ぎないか?否、騎手(武 豊)はことの他、この馬に思い入れが強いレジェンドだ。
大丈夫、と自分で納得。GIにしてはペースが遅い。前半の1000m、59秒9。かつて、レジェンドはこのレースで苦い思いをしている。メジロマックイーンの時だった。それはもう良い。過去のこと。
3コーナー手前にかかって、外目へ進路を取るべく首を右に向けた時に「いけるゾ!」の確信を持った。直線へ向いても、まだポジションはかわらず、レジェンド自身、このレース展開で、と腹をくくっていた。
直線に向いて暫らくたってようやくGOサイン。見ていて不安はなかった。さあ、来い!見る方も気合が入っていた。
内の面々と脚色が明らかに違う。いったん先頭に立った前年のダービー馬タスティエーラ、やっぱりと思ったのも一瞬、馬体を合わせる間もなくゴールへ。着差1馬身1/4、完勝だった。人馬共に浮かれたところは一切なく、悠々とスタンドの大観衆の前へ、大歓声を浴びて地下馬道へと入って行った。
「流石、レジェンドです」友道調教師からの返信メール。ジャパンカップ、有馬記念のあと二冠。やっぱりあの馬は強かった、の強烈なインパクトを与えて、次のステップへ進んでもらいたい。これが競馬の醍醐味のひとつでもある。これがあるから止められない。
馬券の方は。
まぁ、それはいいじゃないですか…。