インタビュー

ヒューマンドラマも情けない役も大好き。
僕も役所的なものが苦手だから阿久沢がわかります

お茶目で映画好きで几帳面な性格でもある遠藤憲一さん演じる阿久沢正男。えみる(吉岡里帆)のサポートで生活保護から卒業した第一号です。えみる行きつけの食堂で働き始めて距離感も縮まったようですが、まだまだ謎多き人物です。

撮影が始まっていかがですか?

クランクインが部屋のシーンでしたが、冷房がなくて暑かったですね。なかなかセットでは作れない木造アパートで、懐かしかったな。僕も29歳まで四畳半、風呂無し、共同便所に住んでいたんですよ。それよりはいい部屋でした。あのシーンからやってもらってよかった、この役に入るには。

阿久沢のキャラクターはどうつかんでいますか?

ヒューマンものも、こういう情けない役も大好きなんですが、ちょっと難しいのは、生活保護を受けているけど、阿久沢は決して堕落している人ではないんです。法テラスに行けばあっという間に解決するかもしれない、でも、なかなか行けない。僕自身もそういうのあるんです。役所のものがちょっと苦手というか、役所の人にも緊張するし、手続きも得意じゃなくてドキドキする。だから、阿久沢がわかりますね。演じる上では、あまりに生々しくやっても見る人が重苦しくなるから、生活保護という日本に本当にある制度を根っこに据えたリアリティと、ドラマの虚構のミックスの加減をつかみたいと思います。ドラマなんだし、楽しさもないと。吉岡ちゃんや徳永(えり)ちゃんと関りながら、見つけていきたいと思っています。

外見にも役づくりが?

ポロシャツっていうのかな、こういうのを1枚で着ると貧弱なものでガリガリなの(苦笑)。だから普段は着ないんです。でも、あえて今回は選ばせてもらいました。なかなかこれを着ていいキャラクターが僕にはそうはないんで。阿久沢にはぴったりだと思っています。

吉岡さんや井浦新さんとの共演はいかがですか?

1話の法テラスや公園のシーンは、台本で読んで想像していたより、もっとガッ!とえみると一つになれたシーンでした。吉岡ちゃんとやると予想だにしなかった展開があるです。お互いに微妙なニュアンスやアドリブがぽんぽんって芝居に入って、へえ、こんな感じになるんだ、と楽しくなりました。で、えみると二人でぶつかっている時に缶コーヒーもって現れる新くん。ホッコリしちゃった(笑)。新くんもあの役にピッタリ。あの二人はいいバランスですよ。

吉岡さんとえみるは重なりますか?

ぴったりなんですよね。吉岡ちゃんも根っこが真面目で、誠心誠意取り組んでいく人だから。えみるは新入社員で知らない世界に入り、失敗しながら一つひとつ自分の血肉にしていく、その感じが、吉岡ちゃんのあのまんまでいいんじゃないかと思います。この間、吉岡ちゃんに部活動は何だったの?と聞いたら、陸上と、その前は吹奏楽と言っていて、吹奏楽の時にどんな曲をやったか聞いたら「ジュピター」と言うんですね。それで、僕、ときどき作品と音楽がパッと結びつくんですが、このドラマのえみるは「ジュピター」の詞にぴったりだと直感しました。人とのつながりや想いが通じることを知る詞なんですよね。この詞を、人と人との深い部分をつかんで成長していくえみるの役づくりの一環にしてほしい、心の中に持ってくれたらいいなと思い、吉岡ちゃんに勧めました。

最後に、視聴者にメッセージをお願いします。

生活保護自体は重いテーマだけど、どう調理していくのか。新入社員たちの緊張感やおもしろさもあるし、僕も台本を読んでとても楽しみにしています。いろんな意見や批判もあるでしょうが、あえてそこに切り込んでいくカンテレらしい勇気。こういうものが作りたい、伝えたいと思ってみんなで作ります。

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