インタビュー

ドラマ版の半田さんは“ゆるキャラ”でいきます。
土手のシーンは毎回ほしいくらい大好きです

ベテランのケースワーカーで、えみる(吉岡里帆)の指導係でもある半田明伸役の井浦新さん。インタビュー中で自らの役を「半田さん」と呼ぶほど敬愛しながら演じています。

このドラマに参加されての意気込みはいかがですか?

生活保護にはさまざまなケースがあり、こんなにも悲しみや苦しみや危険をはらんでいるのかと知ったと同時に、僕らが演じるケースワーカーにも苦悩があると知りました。これを夜9時から放送するのは制作側にとってもチャレンジ。ドラマとして視聴者を楽しませ、元気や活力を届けながらも、現実にはもっと過酷な状況に身を置いておられる方もあることしっかり理解したうえで表現していく。やると決めたからは恐れることなくやり切りたい、ふわーっと終わらせたくないと思います。素晴らしいドラマにしようという心意気が現場全体にあります。

一番に感じられるテーマは?

軸になるテーマは、人と人との関わり合いです。吉岡さん演じる義経えみるの目線を通した生活保護の利用者の苦しみと、そこに関わる役所の福祉課の人たちの苦悩の物語でもあるんです。受け止め方は見る方によって違うから、それぞれの人生や生活の中にある人との関わり合いに当てはめて感じ取っていただけたらいいなと思います。

半田のキャラクターにはどのような役づくりを?

えみるの指導係の役目もあるので、明確な言葉によって背中を押したり、時には引っ張り上げたりする半田さんのセリフはとても大事です。最初は、原作の半田さんにいかに忠実にやるかを意識し、無精ひげを生やしもしました(笑)。でも、撮影が進んでいくうちに、縛られすぎると半田さんが豊かに描けないんじゃないかと思うようになって、監督に相談したんです。そこで監督に、「半田さんのキャリアは描かない、描かないぶん豊かに発想して自由にやっていきましょう、やっちゃってください!」と言っていただいたので、現場で生まれるものを信じることにしました。共演者との関わりで生まれてくるそのままの自分の気持ちで演じてみよう。原作を大事にしつつ、自分の中では「ドラマ版の半田さん」としていよう。この作品の“ゆるキャラ”になっていこうと思います。ほげ~っとした顔から突然キリッと真面目なことを言うのは1割で、あとの9割は後輩たちに面倒がられるような、そんな在り方ができればと。苦悩するのは利用者だけでなくケースワーカーもなので、だから役所の中にゆるキャラの半田さんがいるのだとも思うんです。

ケースワーカー監修の方ともよくお話されていますね。

監修の衛藤晃さんは半田さんのモデルになった方で、ケースワーカーとして30年近いキャリアです。衛藤さんに聞く実際のケースは壮絶です。そうした話を聞いて、ケースワーカーがどんな気持ちになって、どんな風に寄り添おうとしているのかを知ることが大事ですね。それから、ときどき現場に来てくださる衛藤さんのお姿や素振りを参考にしています。職業病なのか、才能なのか、究極の関わり方をしている方々だから、コミュニケーション能力がすごいんです。

吉岡さん演じるえみるとの掛け合いで生まれるものも大きそうです。

職員全員で職場のシーンを撮影する前に、吉岡さんと2人の土手のシーンを撮ったことで気づけたものが多かったですね。えみるが抱える悩みや失敗を半田さんに話す場面なのですが、そこで半田さんはえみるの問いに明確に答えない。「まずは行きましょう」と、答えの言葉より行動を促したりします。なぜなんだろう?と不思議に思い、気づいたのが、えみるの抱える苦悩を半田さんは基本的にすべて経験してきている、あるいはもっと過酷だったかもしれない、ということでした。描かれない半田さんの過去のキャリアには乗り越えて来た蓄積があり、えみるに新人の頃の自分を見て、いま答えを伝えたらなお迷わせてしまう、と判断したんじゃないかな、と。

土手のシーンは吉岡さんもお気に入りのようです。

撮影のロケーションとして素晴らしいんですよ。ここで定期的に芝居ができたらいいなと思いました。ドラマには張り詰めたテーマもあるけど、土手のシーンで止まっていた風が流れだしそうなんです。半田さんとえみるの土手のシーンは毎回ほしい(笑)。僕自身も深呼吸できますから。

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