わかぎゑふ連載エッセイ「大阪のおばちゃん目線」

プロフィール

ハチプレ!版 第47回

「猫の顛末」

先月、猫を保護してしまった話を書いた。隻眼でヒョウ柄、滅茶苦茶に人懐っこい猫で、片目だからジャックと名付けた、とも書いた。
ジャックは友人の手を転々としながら、猫を預かって飼い主を探してくれる団体に預かってもらうことになり、今後の幸せを祈りたいというところで、私の中では「。」を打った形だった。

ところが、それは「、」に過ぎなかった。最初に預かってもらったT子から「芝居の公演があったので連絡を控えていたが…」というメールが来て、風邪で入院しているジャックの映像が送られてきたのだ。吸入器に入れられ、目にはクマが出来、やせ細ってよだれをダラダラと垂らしている痛々しい姿だった。

うちの家に保護した時にはよく食べ、走り回って、先住猫を蹴散らしていたのに、なんという変わり果てた姿だろうか!
「なにこれ?どういうこと?」と目を疑ったが、どうすることも出来ない。
預け先で風邪をひいて悪化したらしく、T子の猫友達Eさんが見かねて引き取ってきて入院させてくれたらしい。

ジャックは治療の甲斐あって回復したが、治療費に12万ほどかかったと聞き、最初に保護してしまった責任も感じて全額支払いたいと連絡したら、まずT子に「何言うてるの、私も一時預かってんから、母の一人として払います!そういうもんです」と叱られた。

結局、Eさんが引き取って面倒を見てくれることになったのだが、彼女に至っては友達の友達でほぼ知らない人である。なのに「ジャックのような人懐こい猫が外に居たら、ある意味危険だったと思います。わかぎさんのおかげでジャックは助かりました。困ってる猫を助けていただいて、こちらこそ本当にありがとうございました」とお礼まで言われた。
猫好きの猫愛の深さと、大らかさに感動したというか、正直呆れた。なんだこの人たち?何言ってるんだ?と叫んでしまいそうだった。

ちなみにT子もEさんも2児の母である。子供を産んだ人達だから母性があるとは思わないが、小さな命の世話をする器が大きいぞ!と感動中である。
私も「関西小劇場界の母」なんて言われる時もあるが、彼女たちに比べたらちっぽけなものだ。まだまだ人に驚かされることの多い日々である。