わかぎゑふ連載エッセイ「大阪のおばちゃん目線」

プロフィール

ハチプレ!版 第49回

「言い回し」

人間は誰でも好きな言葉とか、嫌いな言葉がある。長年脚本を書いてると「あれ、また出てきた。私ってこの言葉好きなんやな」と思うこともある。ちなみによく出て来るのは「ええかいな」という大阪弁だ。
落語などによく出て来る言い回しだが、特に否定はしないけど、おいおい、それでもええんか?というツッコミの一種である。「ええかいな」と言っておかないと、自分が相手を肯定したことになると困るなぁという、ちょとした抵抗だ。最弱の抵抗と言ってもいいだろう。

最近流行ってる?「知らんけどな」も好きな言葉だ。大阪人が「あかん、あかん、絶対あいつはあかん!」などと滅茶苦茶言っておいて最後に「知らんけどな」を付ける。すると今言ったひどい言葉を少しだけ軽減するニュアンスが生まれる。実に展開が面白い。よくできたひとりコントのようだと思う。大阪人はやっぱり面白い。

嫌いな言葉もある。私が最近「なんでこれを付けるねん?」といちいちムカついてるのが「○○賞、最終候補作品」と書かれた小説の売り文句である。「それって、結局賞は取れなかったってことやん」とついツッコミを入れてしまう。
我々、劇作家にも岸田戯曲賞という大きな賞があるのだが、その最終候補に残ったことが謳い文句になって宣伝が組まれたりする。「私は岸田戯曲賞、最終候補作家よ」と実際は賞を取れなかったくせに自慢してる感じがしてムカムカするのである。中にはプロフィールにわざわざ書いてる作家まで居るからタチが悪い。
まぁそんなことを言ったら「アカデミー賞ノミネート作品」とか映画でも言ってるが…なんだかセコイ感じがするのだ。

最近はスポーツの世界でも、アスリートの紹介の時なんかに「○○オリンピックファイナリスト」とか言う。「だから!何位か言うたらええやん。スポーツには順位があるねんから、わざわざファイナリストってなんやねん」と言いたい。格好がいいからファイナリストって言うのだろうか?意味が分からない。
最終候補作品やらファイナリストなんて「負けましてん」という看板ではないか。潔さがない!と私は思う。第一、受賞者に失礼ではないか!謳い文句にしていいのは勝者だけでいい。そのために、切磋琢磨してるのだから。

と、この話をすると大抵の男友達が「まぁ売り文句がないと宣伝する方も大変なんだよ」と苦笑いし、たいていの女友達が「そう?」とキョトンとした顔つきになる。嫌いなのは私だけらしい…。
あなたの好き嫌いはいかがですか?