わかぎゑふ連載エッセイ「大阪のおばちゃん目線」

プロフィール

ハチプレ!版 第36回

「それぞれの生き方」

芝居の仕事をしていると昼も夜も関係なくなる。稽古をしてたらいつの間にか夜中ということもあれば、脚本を書いてると朝になっていたということもある。

ある朝、衣裳のデザイン画を描いていて、やっと終わったとベランダでビールを抜いて飲んでいたら、向かいに住んでいる実家の母が「これ、いつまで飲んでるのみっともない!」と叫んでいたことがあった。
「いやいや、こっちは今仕事終わったとこやねんから。今から寝るねんし」と言いたかったが、健全な生活をしている母には分からないことだと思って「すみませんでした」と謝った。もちろん心のこもってない謝罪だったが…。

先日も9時くらいだったろうか、朝まで仕事して今からお風呂に入ろうかと思って素っ裸になったらピンポーンと玄関のベルが鳴った。仕方なく急いで服を着て外に出てみると誰も居ない。
また並びの小学校の子供のいたずらかと思って家に入りかけると見知ぬオバサンが走って戻って来て「早起き会の者ですけど」と言い放った。
「は?」と私。すると彼女は早起きの得について語り始めたので「すみません、仕事中なんで」とお断りして家に戻ろうとしたら「では本だけでも貰って下さい」と小冊子を置いて行った。
よっぽど世の中には色んな仕事があって、あなたの主張をこの時間に聞いてられない人種も居るんですよ。本があるのなら勝手にポストに入れて行くだけでいいじゃないですか。と言いたかったが、急いで着たのが半そでのTシャツだったので、寒空に説教してて風邪ひくのもなぁと思って家に戻った。
申しわけないが本はまだ読んでいない。早起きの定義が違うので開く気になれない。

今は京都の造形大学というところで学生の芝居の演出中なので夜の10時くらいにそこを出ると帰りは12時前くらいになる。やっと晩ごはんにありつくのだが、もちろん開いてる店はほぼない。
仕方がないから帰りの京阪電車の中でとりあえず缶ビールを飲んで一息つく。終電も近いので周りはすでに飲んで帰路に着くサラリーマンばかりだ。
「なんやこのおばちゃん、まだ飲むんかいな」みたいな目で見られていることは百も承知だが「やかましい、こっちは今仕事終わりなんじゃ!」と心の中で叫んで乾杯している。
はぁ…皆様、演劇人に理解を!よろしくお願いします。