開催内容
人類が誕生する遥か以前、中生代(約2億5000万年前~6600万年前)の地球を支配していた恐竜たち。絶滅して久しい彼らを実際に見ることは不可能ですが、その姿を再現しようという試みは、恐竜という存在が“発見”された19世紀の前半以来、現在に至るまで絶え間なく続けられてきました。今日では自然史系博物館の主要コンテンツとして化石標本や復元モデルが陳列され、時には漫画や映画などのエンターテイメントとなって子供から大人まで多くの人々を魅了しています。しかし、恐竜たちは、昔から現在の姿で知られていたわけではありません。この200年の間に、実に多様な姿で想像され、様々な表現のかたちが創造されてきたのです。
本展は、これまで美術館で取り上げられる機会があまりなかった恐竜に着目し、パレオアート(古生物美術)の名作や珍品を「恐竜誕生—黎明期の奇妙な怪物たち」、「古典的恐竜像の確立と大衆化」、「日本の恐竜受容史」、「科学的知見によるイメージの再構築」という4つの章で紹介します。想像力によって創造された太古の世界の住人たちとの不思議な出会いをお楽しみください。
展示構成と主な出品物
第1章:恐竜誕生—黎明期の奇妙な怪物たち
今から約200年前、イギリスでイグアノドンやメガロサウルスの化石が発掘され、中生代の巨大爬虫類の存在が明らかになりました。この発見を皮切りに、19世紀に次々と描かれた恐竜および翼竜、魚竜、首長竜などの古生物の復元図を通して、初期の古生物学者たちが創造したイマジネーションの世界を紹介します。
- ロバート・ファレン
《ジュラ紀の海の生き物—ドゥリア・アンティクィオル(太古のドーセット)》
1850年頃、ケンブリッジ大学セジウィック地球科学博物館 - ベンジャミン・ウォーターハウス・ホーキンズ
《ジュラ紀初期の海棲爬虫類》
1876年、プリンストン大学美術館


インターミッション 恐竜以前・以後の怪物たち
恐竜のイメージが形成される下地あるいは副産物として、近世から近代にかけて出版された博物誌の書籍や美術作品に登場する幻獣や怪物のイメージを紹介します。
- アタナシウス・キルヒャー『地下世界』(1665年)関西大学図書館
- ヘンドリック・ジェイコブ・ホート 《ペルセウスとアンドロメダ》(1720年)ボウズ美術館、バーナード・キャッスル
- マックス・クリンガー『手袋』(1881年)より《不安》《誘拐》兵庫県立美術館
第2章:古典的恐竜像の確立と大衆化
19世紀末~20世紀前半にアメリカで活躍したチャールズ・R・ナイトと20世紀中盤から後半にかけてチェコで活躍したズデニェク・ブリアン。二人の卓越した画家の作品を中心に、20世紀に大きな発展を遂げた古生物画の代表的な作例を紹介します。
- チャールズ・R・ナイト 絵画作品 アメリカ自然史博物館(ニューヨーク)、プリンストン大学美術館
- ズデニェク・ブリアン 絵画作品 モラヴィア博物館(ブルノ)、ドヴール・クラーロヴェー動物園
- ニーヴ・パーカー 絵画作品 ロンドン自然史博物館

© Trustees of Princeton University / image courtesy of The Princeton University Art Museum

© The Trustees of the Natural History Museum, London
第3章:日本の恐竜受容史
19世紀に欧米で成立した恐竜のイメージは、世紀末には日本にも移入されました。古生物学者・横山又次郎によって「恐竜」という訳語が作られて以来、科学雑誌や啓蒙書、子供向けの漫画や絵物語、ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』(1864年)やコナン・ドイルの『失われた世界』(1912年)といった古典SFの翻訳など、恐竜を主題にした出版物が広く刊行されることになりました。これと並行して、恐竜の姿を模した玩具模型が多数制作され、今日では恐竜人気を支える中心的アイテムのひとつとなっています。
本展では、国内有数の恐竜アイテムの収集家である田村博氏のコレクションによって、明治から昭和にかけて我が国の文化史に登場する様々な恐竜を紹介します。また、恐竜をテーマにした数々の漫画を手掛けた所十三の代表作『DINO²(ディノ・ディノ)』の貴重な原画も展示します。
恐竜はまた、一般的な美術、いわゆるファインアートの領域でもしばしば象徴的なモチーフとして登場します。美術における恐竜のシンボリズムについて、福沢一郎や立石紘一など、いくつかの作例で紹介します。
- 書籍、玩具類(田村博コレクション)
- 所十三『DINO²』漫画原画
- 福沢一郎《爬虫類はびこる》、《爬虫類滅びる》(1974年)富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館

第4章:科学的知見によるイメージの再構築
20世紀後半から今日にかけて、恐竜を始めとする古生物についての科学的知見の拡大に伴い、古生物美術も更なる進化を遂げました。本章では、インディアナポリス子供博物館のランツェンドルフ・コレクションや福井県立恐竜博物館のコレクションなど多彩なアーティストの作品を紹介します。
- インディアナポリス子供博物館ランツェンドルフ・コレクション(グレゴリー・ポール、ダグラス・ヘンダーソン、マイケル・ターシックほか)
- 小田隆 絵画作品 丹波市立丹波竜化石工房、豊橋市自然史博物館、群馬県立自然史博物館
- 徳川広和 立体造形作品 丹波市立丹波竜化石工房、徳島県立博物館


音声ガイド
本展覧会では展覧会ナビゲーター・南沙良さんによる音声ガイドを無料でお楽しみいただけます。
作品の背景に迫りながら、古生物学者とパレオアーティストたちによる200年の足跡を南沙良さんとともにたどります。
※ご自身のスマートフォンとイヤホンをご持参ください。イヤホンの貸し出しはありません。
南沙良さんのコメント

恐竜ファンとして、イグアノドンなど、200年で恐竜像が変わっていく様子がとても興味深く楽しみな展覧会です。精密なものから、現代のポップな作品まで、さまざまなタイプの恐竜絵画が揃っているので、ぜひ自分のお気に入りの一作を見つけてみてください。自分自身もワクワクした気持ちで収録した音声ガイド。みなさまも、ぜひワクワクしながら聞いていただければうれしいです。
展覧会ナビゲーター / 音声ガイドナレーション 女優・南沙良

南沙良(みなみ・さら)
生年月日:2002年6月11日
出身:東京都
プロフィール:
映画『幼な子われらに生まれ』(2017)で女優デビュー。初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018)で、報知映画賞、ブルーリボン賞ほか、数々の映画賞を受賞し、その演技力が高く評価される。その他、映画『居眠り磐音』、『もみの家』、ドラマ『うつ病九段』(BSプレミアム)、『六畳間のピアノマン』(NHK)、映画『太陽は動かない』、Netflix映画『彼女』、日曜劇場『ドラゴン桜』(TBSテレビ系)など、出演作多数。2022年は映画『女子高生に殺されたい』、山田孝之さんが監督を務め、南が主演を務める映画『沙良ちゃんの休日』、主演映画『この子は邪悪』、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)などに出演。
現在放送中の1月期連続ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』(フジテレビ系)へレギュラー出演中、その他、2023年3月30日よりNetflixで全世界独占配信予定の『君に届け』での主演、2023年3月31日公開の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』では初の吹き替えに挑戦。
※音声ガイドはご自身のスマートフォンから会場内のQRコードにアクセスしてお楽しみいただきます。最大30分ほどのガイドとなります。
※本サービスはダウンロード型アプリではございません。
※お手持ちのスマートフォンの世代や契約状況・通信、バッテリー残量などによってはご利用いただけない場合がございます。
※無料サービスにつき、ご利用いただけなかった場合の入場料の返金など、一切の責任を負いかねますので予めご了承ください。
展覧会オリジナルグッズ
リサガスグッズ
フランスの大人気絵本「リサとガスパール」とコラボした、本展限定のキュートなグッズを販売予定です。

各¥3,850(税込)

¥2,640(税込)

¥1,980(税込)
イグアノドン3きょうだい
最初期に発見された恐竜、「イグアノドン」の復元の過程をモチーフにした本展オリジナルのキャラクターグッズをご用意。

キッズ110・130サイズ / バナナ・アッシュグレー
各¥3,000(税込)
大人用S、M、Lサイズ / アッシュグレー
各¥3,500(税込)

¥1,080(税込)

¥990(税込)
※商品のデザインや価格は予告なく変更する場合があります。
※グッズは、品切れとなる場合があります。
写真撮影とSNS恐竜図鑑大賞
写真撮影OK作品が増加 恐竜画家2大巨匠の作品が撮影可能に!
本展では一部作品の撮影を可能としていましたが、「ナイトとブリアンの作品をカメラに収めたい」というご要望を受け、第1章と第2章の展示室内での写真撮影を3月25日(土)より可能にします(一部資料は撮影不可)。
恐竜画家2大巨匠の作品をお楽しみください。
第4章も一部作品で撮影が可能です。
※展示室の掲示や監視員の指示に従ってください。


写真撮影OK作品が増加 恐竜画家2大巨匠の作品が撮影可能に!
本展では一部作品の撮影を可能としていましたが、「ナイトとブリアンの作品をカメラに収めたい」というご要望を受け、第1章と第2章の展示室内での写真撮影を3月25日(土)より可能にします(一部資料は撮影不可)。
恐竜画家2大巨匠の作品をお楽しみください。
第4章も一部作品で撮影が可能です。
※展示室の掲示や監視員の指示に従ってください。
SNS恐竜図鑑大賞
恐竜図鑑展の感想をツイッター、インスタグラムで募集します。
#恐竜図鑑 を入れて 4月23日 (日)までに投稿してください。恐竜への熱い思いを感じた投稿者計10名様に恐竜図鑑展B2ポスターをプレゼントします。
下記アカウントをフォローしてください。
ツイッター:@kyoryu_zukan
インスタグラム:kyoryu_zukan
おやこ鑑賞ガイド
子どもたちが楽しみながら鑑賞できるように、おやこ鑑賞ガイドを用意しています。
※数に限りがあります。


開催スケジュール
日程
2023年3月4日(土)~5月14日(日)
午前10時~午後6時
※入場は閉館の30分前まで
※月曜休館
※諸般の事情により、上記内容は状況により予告なく変更になる場合があります。
会場
兵庫県立美術館
料金
当日券 | 前売券 | 団体 | |
---|---|---|---|
一般 | 2,000円 | 1,800円 | 1,600円 |
大学生 | 1,500円 | 1,300円 | 1,200円 |
高校生以下 | 無料 | - | - |
70歳以上 | 1,000円 | - | 800円 |
障がいのある方 (一般) |
500円 | - | 400円 |
障がいのある方 (大学生) |
350円 | - | 300円 |
※高校生以下無料
※前売券の販売は3月3日(金)まで
※団体は20名以上。団体鑑賞をご希望の場合は1か月前までにご連絡ください。
※障がい者手帳等をお持ちの方1名につき介助者1名は無料
※予約制ではありません。混雑時は人数制限を行いますのでお待ちいただく場合があります。
※一般以外の料金でご利用される方は証明書を当日ご提示ください。
※コレクション展は別途観覧料が必要です(本展とあわせて観覧される場合は割引があります)。
入場券提示によるお得な割引
恐竜図鑑の入場券(半券可)提示で下記が割引になります。
【ゴッホ・アライブ】
入場料金が100円引きとなります。
【ミント神戸】
対象飲食店舗が割引となります。対象店舗詳細は「ミント神戸」HPをご確認ください。
【TOOTH TOOTH MART FOOD HALL&NIGHT FES】
ご飲食料金から10%引きとなります。詳細は「TOOTH TOOTH MART FOOD HALL&NIGHT FES」HPをご確認ください。
チケット発売日
2023年1月20日(金)午前10:00~発売
関連イベント
ワークショップ「骨格に基づいて、科学的に恐竜を描く」

サイエンスコミュニケーターでありイラストレーターの「恐竜くん」による、骨格に基づいて、科学的な視点で恐竜の姿を描くイラスト制作ワークショップを開催します。絵を描くことは想像し、創造すること。その魅力を伝えます。
※定員に達しましたので募集を終了します。
日時:3月4日(土)11:00~/14:30~(各60分)
会場:レクチャールーム
定員:24人(中学生以下、先着順)
※保護者の同伴をお願いします。ただし同伴は1名のみでお願いします。
参加費:無料(ただし同伴保護者の本展観覧券の提示が必要です)
筆記具(鉛筆、色鉛筆、消しゴム)はご持参ください。
恐竜くんプロフィール
恐竜研究家。東京生まれ。高校生の時にカナダへ単身留学。子どものころからの夢だった、恐竜研究の本場であるカナダのアルバータ大学で古生物学を中心に、広くサイエンスを学ぶ。卒業後は、「恐竜」を通して、自然科学の面白さを伝えること、さらに、この世界中のさまざまな事柄に興味・関心を持ってもらうことを目的に、恐竜展やイベントの企画、トークショー、イラスト制作や執筆など幅広く活動中。著書に『知識ゼロからの恐竜入門』がある。
記念トークショー 描かれた恐竜たち(仮題)
出演:倉谷滋氏(理化学研究所生命機能科学研究センター・チームリーダー)
徳川広和氏(本展企画協力者、古生物造形作家)
日時:3月19日(日)14時~(約90分・13時30分開場)
会場:ミュージアムホール
定員:110名(先着順、要観覧券、芸術の館友の会優先席あり)
記念講演会「古生物の復元」(仮題)
講師:小田隆(パレオアート作家、京都精華大学教授)
内容:現代を代表するパレオアーティストが、古生物学者とのコラボレーションにより作品を完成させるまでの過程を詳しく解説します。
日時:4月8日(土)14:00~15:30(開場13:30)
場所:兵庫県立美術館ミュージアムホール
参加費:無料 ※ただし本展の観覧券が必要です(半券可)
定員:110名(先着順)
学芸員による解説会
日時:3月11日(土)、4月22日(土)各日午後3時~(約45分)
会場:レクチャールーム
定員:50名(先着順)
こどものイベント
兵庫県立美術館ホームページをご覧ください。
https://www.artm.pref.hyogo.jp/kids/index.html
お問い合わせ:こどものイベント係(TEL:078-262-0908)
プレイガイド
兵庫県立美術館ミュージアムショップ(前売のみ)
近鉄駅営業所
チケットポート なんば
- カンテレフレンズ会員はチケットが当日料金より100円割引で
- カンテレフレンズ会員の方は、会員サイト内の『特別展「恐竜図鑑—失われた世界の想像/創造」』ページを会場のチケット販売窓口で提示していただくと、 当日料金より100円割引でご入場いただけます。(対象:会員1名を含む2名まで)
- 主催
- 兵庫県立美術館 / 産経新聞社 / 関西テレビ放送
- 協賛
- DNP大日本印刷 / 公益財団法人伊藤文化財団
- 特別協力
- 公益財団法人日本教育公務員弘済会 兵庫支部
- 企画協力
- 小田隆(画家・京都精華大学教授) / 徳川広和(古生物造形作家・株式会社ACTOW代表) / 田村博(ジャズピアニスト・恐竜グッズ収集家) / エリック・ビュフトー(古生物学者・フランス国立科学研究センター研究部長)
- 制作協力
- ウィステリアート