開催内容
前衛陶芸の誕生
走泥社とその時代—結成前夜から1973年まで—
1948年に八木一夫、叶哲夫、山田光、松井美介、鈴木治の5人で結成された走泥社は、その後、会員の入れ替わりを経ながら50年間にわたり、日本の陶芸界を牽引してきた。創立メンバーはいずれも京焼の中心地である五條坂周辺で製陶業にかかわる者たちである。やきものが生活のあり様を規定してきた環境にあって、走泥社は宣言文の最後に「我々の結合体は、“夢みる温床”ではなく、まさに白日の下の生活それ自体なのだ」と記したように、戦後という時代を自らの眼で真摯に見つめることで、土による新たな造形を模索するところからスタートした。走泥社という団体の功績について一言で述べるとすれば、長年の活動を通じていわゆる「オブジェ焼」を世間に認知させたということになろう。
本展は、日本の前衛陶芸が確立していくうえで中心的な役割を果たした走泥社の活動に焦点を当て、その意義や意味を再検証するものである。しかし、50年という走泥社の活動期間全体を見渡した時、日本陶芸界におけるその重要性は特に前半期にある。というのも、1960年代半ば以降、例えば1964年の国際現代陶芸展を皮切りに、1970年代にはいると様々な国際展が開催され、海外の動向が日本でも紹介されるようになり、走泥社が時代の中で有していた「前衛性」は次第に相対化されていくからである。それにより、走泥社としての活動はその後も継続するものの、比重は集団としての活動よりも個人の表現活動に移っていくことになる。本展では、走泥社結成25年となる1973年までを主な対象とし、走泥社と同時期に前衛陶芸運動を展開した四耕会や1964年の現代国際陶芸展出品作との比較も交えて、走泥社における「前衛陶芸」の展開を紹介する。




※すべて京都国立近代美術館蔵
開催スケジュール
日程
2023年7月19日(水)~9月24日(日)
会場
京都国立近代美術館
- 主催
- 京都国立近代美術館 / 京都新聞 / 関西テレビ放送
- 協賛
- 一般財団法人京都陶磁器協会