開催内容
オルセーで絶大な人気を誇る動物彫刻の代表作家フランソワ・ポンポン
待望の日本初回顧展!
フランソワ・ポンポンは、19世紀後半に彫刻家を志し、20世紀初頭に革新的なスタイルの動物彫刻を完成させました。彼の作品の特徴は、身近な動物から動物園で見ることのできる異国の動物まで、その形態と動きを観察し、彫刻に生命あるフォルムと美しいシルエットを与えていることです。私たちの良く知る動物たちが、抽象化されつつも愛らしさを残した作品となって、誰にでも親しみやすく、見る人を幸せな気持ちにさせてくれます。近年では、フランス・パリのオルセー美術館で展示されている名作《シロクマ》(1922年)によって、ポンポンの名は日本国内でも知られはじめ人気が高まっています。
本展はポンポンが彫刻家を志した初期の作品から、動物彫刻家となって名作《シロクマ》を生み出し、名声を確立するまでの作品を通して、彼の生涯と作品の魅力に迫ります。
作品はポンポンの出身地ソーリューのフランソワ・ポンポン美術館、ディジョン美術館、制作の拠点であったパリのオルセー美術館をはじめ、国内のポンポンコレクションで知られる群馬県立館林美術館からの出品による、約90点の作品で構成。彼の制作の全貌をたどる日本初の回顧展です。
見どころ
日本初のフランソワ・ポンポン回顧展

ポンポンが彫刻家として認められたのは、晩年の1922年、67歳の時です。サロン・ドートンヌにて長さ2.5mの大きな石膏の≪シロクマ≫を出品、しなやかで力強い生命感と、堂々とした安定感をもったこの作品は初めて高く評価されました。また、愛好者向けに作られた卓上サイズの≪シロクマ≫がアール・デコ様式の室内に調和する動物彫刻として、注文が舞い込むようになります。
本展では無名時代の初期作品から、評価された晩年に至るまでの作品を総合的に展示し、ポンポン作品の全貌を日本で初めて見ることのできる、必見の展覧会です。
《シロクマ》だけではない、ポンポンの動物彫刻の世界

群馬県立館林美術館蔵
ポンポンは、シロクマの彫刻だけを制作していたわけではありません。自ら飼っていたペットの猫や鳩、別荘のあったノルマンディー地方の田舎で見たアヒル、ガチョウ、牛や豚、またパリの動物園で観察したキリン、カバ、ペリカンや鹿などを多数彫刻にしています。ポンポンの観察眼、動物の特性を生かした美しいフォルムも見どころです。
ポンポンのアトリエから寄贈された作品を所蔵するディジョン美術館からの初出品

©Musée des Beaux-Arts de Dijon – F.Jay

©Musée des Beaux-Arts de Dijon – F.Jay
ポンポンゆかりの地、ディジョン。彼が通った美術学校が創設されたのは1766年。美術館はその付属施設として、1787年美術学生のために作られました。ディジョン美術館はルーヴル美術館開館よりも早い、フランス最古の美術館の一つです。本展覧会ではこの館が誇るコレクションの一つ、1948年にポンポンのアトリエから寄贈された貴重な作品の数々を出品、本邦初公開です。
展示構成
第1章 彫刻家をめざして
フランソワ・ポンポンは、1855年フランス中部ブルゴーニュ地方の町ソーリューに生まれました。近郊のディジョンで美術学校に通った後、1875年20歳でパリに出て、墓石を掘る仕事をしながら夜間学校に通います。1890年から約5年間、ポンポンはロダンのもとで大理石の下彫り職人として働き、動きと生命感の表現を学びます。

群馬県立館林美術館蔵

ディジョン美術館蔵(国立自然史博物館寄託)
©Dépôt du Muséum national d'histoire naturelle
第2章 動物彫刻への目覚め
(1)動物の観察
1896年からポンポンはロダンのもとを離れ、彫刻家ルネ・ド・サン=マルソーの仕事を手伝うようになります。ポンポンは、サン=マルソーと同じパリ北西ノルマンディー地方のキュイ=サン=フィアクルという小さな村に小さな家を買い、毎夏彼の手伝いをしながら、家禽や家畜の観察の時間を多く持つようになります。

ディジョン美術館蔵(国立自然史博物館寄託)
©Dépôt du Muséum national d'histoire naturelle
(2)モデルへのまなざし
ポンポンは、知人や富裕層の注文にもこたえ、彼らの愛するこどもたちやペットの犬や鳥をモデルとした作品も作り続けました。ポンポン自身が飼っていた猫や鳩の二コラもモデルとなっています。

群馬県立館林美術館蔵
(3)なめらかな彫刻
ポンポンが1906年、初めて展覧会に出品した動物彫刻は、細かな羽の表現を省略した鶏の彫刻でした。写実的な表現が主流であった従来の動物彫刻と一線を画すポンポンの作品は、最初、皮肉交じりの批評もされたものの、個人邸宅向けのブロンズが作られるようになります。

パリ、オルセー美術館蔵
Photo ©RMN-Grand Palais (musée d’Orsay) / A. Morin / Gallimard / distributed by AMF

第3章 ポンポンスタイルの完成
(1)≪シロクマ≫の誕生
ポンポンの名前を一躍広めたのが、1922年のサロン・ドートンヌです。この展覧会で長さ2.5メートルの大きな石膏の《シロクマ》を出品、この作品が高く評価されました。その後、愛好者向けに卓上サイズの《シロクマ》を作ると、アール・デコ様式の邸宅空間に調和したことで、作品注文が一気に増えていきました。


(2)エキゾチックな動物
ポンポンの制作の原点は観察にありました。動物を観察した中心的な場所は、別荘のあったノルマンディーに加え、生活の拠点であったパリの動物園でした。キリン、ペリカン、ライオンなど本国フランスでは見られないエキゾチックな動物たちをモデルとして観察し、制作に取り組みます。

ディジョン美術館蔵(国立自然史博物館寄託)
©Dépôt du Muséum national d'histoire naturelle

ディジョン美術館蔵(国立自然史博物館寄託)
©Dépôt du Muséum national d'histoire naturelle
(3)形の本質に向かって
ポンポンは20世紀初めの十数年で、革新的な動物彫刻を制作しました。特に≪水上の鴨≫≪ハゲコウ≫はかたちの単純化と様式化が際立っており、ポンポンの作品中でも20世紀の抽象彫刻に最も接近した作例と言えるでしょう。

ディジョン美術館蔵(国立自然史博物館寄託)
©Dépôt du Muséum national d'histoire naturelle
開催スケジュール
日程
2021年7月10日(土)~9月5日(日)
10:00~18:00 ※展示室への入場は閉館30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
会場
京都市京セラ美術館 本館北回廊2階
料金
会場内の過密防止のため、入場制限を行う場合があります。
土日祝など混雑が予想される日は事前予約をお勧めします。
一般 | 大高生 | 中小生 | |
---|---|---|---|
当日券 | 1,800円 | 1,200円 | 800円 |
前売券・団体料金 | 1,600円 | 1,000円 | 600円 |
※未就学児入場無料
※障がい者手帳を提示の方は本人および介護者1名無料。(確認できるものをご持参ください)
※団体は20名以上
チケット発売日
2021年5月17日(月)10:00~
プレイガイド

ローソンチケット
Lコード:59050
ローソン、ミニストップ店内Loppi
チケットぴあ
Pコード:685-580
セブン-イレブン、チケットぴあ各店舗
イープラス
ファミリーマート店内「Famiポート」
CNプレイガイド
ファミリーマート各店舗
セブンチケット
セブン-イレブン店内「マルチコピー」
チケットポート(梅田、なんば)
近鉄駅営業所
- 主催
- 京都市、関西テレビ放送、朝日新聞社
- 後援
- 京都府教育委員会、京都市教育委員会
- 企画協力
- 美術デザイン研究所
- 協力
- 群馬県立館林美術館
お問い合わせ
京都市京セラ美術館
075-771-4334