解説

【解説】SDGsライター伊藤緑の、こんなとこにも「ちょっとだけ」SDGs

第19回(12/24放送)

テーマ:みんながちょっとだけでも幸せになれる働き方

解説 ディスカッション板書
解説 ディスカッション板書

4.質の高い教育をみんなに4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
5.ジェンダー平等を実現しよう5.1 あらゆる場所における全ての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
10.人や国の不平等をなくそう10.4 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
11.住み続けられるまちづくりを11.1 2030年までに、全ての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
17.パートナーシップで目標を達成しよう17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。

厚生労働省が行った「毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報」によると、一般労働者の正社員を含むフルタイムの平均出勤日数は、19.4日、総実労働時間の平均は162.3時間です。
1日の総実労働時間は、8.3時間となります。
この時間を少しでも幸せに働く時間に変えるかは、今後の経済にも大きく関係があると考えられます。
生成AIによって、仕事の在り方の過渡期にある今、将来を悩む若者も多いでしょう。自分がどんな働き方をしたいのか?を40代以上よりも真剣に考えていると思われます。
会社での出世を望まないが一定数いると言われ「出世拒否」という言葉もあります。
働き方が多様性になる時代ですが、企業という組織に所属して働く人が多いのが現実です。そんななか、企業ができること、企業が行うべきことは非常に多いと考えます。

では、ホワイトボードで書かれた例を見ていきます。

(1)ゆうちゃみさん:社長のため口・あだ名をつける
Y2K(2000年代のトレンドを取り入れたファッションが流行る)という言葉が、流行語大賞の候補になりましたが、2000年前後、1990年代くらいから、企業内で上司に対して役職を付けずに呼ぶ「さん付け運動」というのが流行りました。まだまだ男女の仕事や給与、待遇に大きな違いがあり、女性の役職者が少なかった時代ですが、このような動きはありました。理由は、大企業を中心に、経営幹部や管理職が現場の人たちとのフラットな繋がりと作り、ボトムアップでの意見を聞くため、企業内の風通しの良くしたい、という狙いです。
社長に対しての「ため口、あだ名」これが、社長との距離を近くし、働く人の声が直接届きく、隠れたパワハラ・セクハラなどのハラスメントが見える化できるのであれば、非常に良いことだと考えます。

(2)村瀬哲史さん:朝食タイム
最近のニュースで見かけるのが、会社の制服に着替える時間が就業時間に含まれるかどうか?というものです。それを考えた場合、朝食タイムが就業時間と認められるかどうかは、その時間を福利厚生と捉えるかどうかに繋がると思います。大手企業の一部や、ベンチャー企業では、コーヒーやお菓子などを自由に食べられるという制度が設けられているところもあります。また、大手商社は、6:30~7:59までの「朝食無料」を始めて2023年で10年です。これは、朝早く出勤し、残業を減らす目的ですが、続いているということは社員にとってありがたいことなのでしょう。朝食という時間が企業にとってどういう時間と考えるか、朝食という時間が家庭を持つ人にとってどういう時間と考えるか。これは、一人暮らしか、家族がいるかにも繋がります。朝食タイムをどうとらえるは、個人によって違い、また日によって違うので、制度があり好きな時に使えるのは、福利厚生のひとつになるかもしれません。

(3)柴田さん:デート早退
若者の結婚に対する意識が低くなっていると言われています。厚生労働省が公表した2021年の人口動態統計(概数)によると、婚姻した件数は前年より下がっています。婚姻数が減ることは、少子化にもつながる可能性があります。コロナが5類になり、コロナ禍よりも自由に動けるようになった今、デート早退は働き方改革の一環としてあっても良いのかもしれません。ただ、プライバシーの侵害にならないことは注意すべき点です。また、デート早退を取る人と取らない人の間での、不公平感が起きないことを企業側が考えるべきです。

(4)藤田志穂さん:女性限定社員旅行
ジェンダーが謳われるようになり“女性限定”という言葉を使いづらくなったと感じることがあります。まだまだ女性支援が必要な今、良い形で女性を優遇することは必要です。しかし、同時に男性限定の必要性も生まれています。2023年11月19日に、18日の国際男性デーの前に、都電荒川線で「男性専用車両」を運行させたことがニュースになりました。これは、男性が痴漢の冤罪を恐れていることと関係があります。DVに関しても、必ずしも女性が被害者とは限らないケースもあります。女性限定と同時に、男性限定も作ることが今後、必要かもしれません。

(5)岡野陽一さん:王様お休みゲーム(急な休み嬉しい)
週休3日制の導入する企業が増えてきているという記事が出ています。人が働く時間はどのくらいが適正なのか?もちろん人によって違いますが、人が行わなくても良い作業をAIやロボットが行うようになっていくなかで、労働という意味での働く時間を考えるときが来ています。40年前は、土曜日も出勤だった企業が多かったと思います。日本では1980後半から週休2日制が増えてきました。働くことを時間だけで区切ってよいかは、考える点もありますが、ここでの急な休みは、ちょっと嬉しいですね。休みという休暇だけでなく、“急な”というサプライズが、人の気持ちを高揚させる場合もあります。

(6)沢松奈生子さん:すごろく出世
終身雇用が終わっていく今、入社何年で○○という出世はなくなりました。すごろく出世は、実際の出世というよりも、その役職・職位を体験してみると意味だと考えます。経験したことがないことは、時に憧れになります。しかし、その立場(役職や職位)を経験したとき、こんなにも大変なんだ、と感じるかもしれません。それによって、その立場の人へのリスペクトが生まれるのであれば、出世に限らず、いろんな職位・職種を経験することは、企業内であっても良いのかもしれません。「隣の芝生は青い」と感じ、モチベーションが上がらないのであれば、体験し知ることは、働く意味を深めると考えられます。

企業の中で働く方は、その企業でのポジションに縛られる可能性があります。多様性の時代と言われ、副業を始める人もいる今、今居る場所だけが自分の場所ではない、という考え方を持つことが、生涯を楽しく有意義に生きていくために必要かもしれません。
別の何かを経験することで、隠れた才能が発揮するかもしれません。
「幸せになれる働き方」は、永遠のテーマかもしれません。