解説

【解説】SDGsライター伊藤緑の、こんなとこにも「ちょっとだけ」SDGs

第14回(5/26放送)

テーマ:パンのフードロス問題をちょい変え!

ディスカッション板書
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12.つくる責任 つかう責任12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
8.働きがいも経済成長も8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。

●パン
パンの消費期限は、3~5日といわれています。短い消費期限なので、食品ロスが起きやすいものです。少し硬くなった食パンをパン粉にする方はいらっしゃるかもしれません。また、カロリーメイトのようなものにするという発想。実現可能かはわかりませんが、消費期限を迎える前に、別のものに変えることは、新たな考えのひとつです。新たな発想を拝見すると、パンアートのようなものもあるかもしれません。生ものなので、どう加工するかが明確になれば無駄にしない、棄てないに繋がります。森から下りてきてしまう動物にあげることも、設置場所やルールを決め、人間と動物の安全を守ったうえであれば、可能性はあるのかもしれません。

●もやし
もやしの消費期限は、2~3日程度といわれています。パン同様に、消費期限が短いことで食品ロスになりやすいです。家庭での食品ロスを減らすためには、消費期限を迎える前に、保存できるものに調理しておくことは今日からでもできる方法です。また、もやしに含まれる栄養やもやしの形状から食べること以外に安全に使う方法を考えることは、ロスさせないことの方法のひとつです。

●両方に繋がること。
パンももやしも消費期限が短い食品です、食品ロスになったパンやもやしをどうするか?以前に、食べる分だけ作る、消費できる分だけ作ることが大切です。いつでも必ずあるのではなく、売り切れていることもある、という私たちの思考を変えていくことも大切です。

実際の取り組み事例(パンの缶詰/パンプシェード)



12.つくる責任 つかう責任12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
2.飢餓をゼロ2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
1.貧困をなくそう1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
8.働きがいも経済成長も8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。
14.海の豊かさを守ろう14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

●パンの缶詰(救缶鳥プロジェクト)
阪神淡路大震災の被災地へ届けたパンから始まった取り組みはとても多くのことを生んでいると感じます。1995年に震災が起きたとき、私たちは何をすれば良いか?何が必要なのか?どう支援すれば良いのか?正しく分かっていませんでした。すべてが未知でした。その中でも多くの人たちが自分たちで考え活動をしました。
「パンを届けたい」という気持ちが、混乱した現場で叶わなかったことから、3年経ってもふっくらしたパン「パンの缶詰」が生まれたことは、食品ロスにならない災害支援時の食料になることはもちろんです。それに加え、パンの缶詰を非常持ち出し袋などに入れていくこともできます。パンの保存食といえば「カンパン」のイメージですが、高齢者の方やお子さんには硬いかもしれません。そんなときふっくらしたパンはとてもありがたいものです。
また、3年経ってもふっくらした状態にあることをキープできるパンが生まれたことは、技術革新(イノベーション)です。そして、プラスチックを使っていないことで、海を守ることにも繋がります。
それだけでも十分素晴らしいことですが、保存食で起きることが多い、賞味期限切れ。それを起こさないために半年の賞味期限を残して回収し、災害地や飢餓を抱える国に送る「救缶鳥プロジェクト」は、「飢餓をゼロに」です。保存食の食品ロスは意外と起きてしまうことです。それをなくし、飢餓から守る。素晴らしい活動です。企業や自治体には「パンの缶詰」が一定数があると思いますし、購入した期限が違えば、定期的に2年半が過ぎた「パンの缶詰」があると思います。まさに持続可能な支援です。企業や自治体にとっても、SDGsの活動のひとつになるでしょう。
ひとつの悔しい経験が、新たな技術か商品を生み、最後まできちんと使い切るプロジェクトを立ち上げる。まさにサスティナブルな活動だと思います。



12.つくる責任 つかう責任12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
8.働きがいも経済成長も8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。

●パンプシェード
SDGsには、「環境に良いことをしているから多少問題があっても我慢して使ってください。多少おいしくなくても、見た目問題があっても許してください」という言葉が添えられることがあります。そして、作り手と消費者が歩み寄って、理解したうえで手に取る、ということも大切な気持ちです。しかし、本当に持続可能になっていくためには、我慢することや問題があることがまったくない、意識させないことが必要だと考えています。格好よかったから・可愛かったから・美味しかったから、という純粋に欲しいという気持ちで手にしたものが、環境に配慮した商品であった時代がくること、そういった商品が増えていくことです。
パンプシェードは、まさにその商品だと思います。インテリアとしてのレベルが高い。その一言です。自分で使いたい、プレゼントとして贈りたい、自然に手にとってしまう。そして、部屋にあることで温かい気持ちになる。これは人の心を優しくします。
SDGsの項目としては、食品ロスはもちろんですが、創造性やイノベーション。新たな発想で生まれた商品です。食品を作品に変える。パン以外でも可能かもしれません。環境のことを考えていない人でも手に取りたくなってしまう商品が、今後も生まれてくる。そのきっかけのひとつだと思います。