解説

【解説】SDGsライター伊藤緑の、こんなとこにも「ちょっとだけ」SDGs

第13回(4/28放送)

テーマ:新たな教育科目を考えよう!

ディスカッション板書
ディスカッション板書

16.平和と公正をすべての人に16.6 あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。
16.7 あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。
17.パートナーシップで目標を達成しよう17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
5.ジェンダー平等を実現しよう5.1 あらゆる場所における全ての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。

ターゲットで選んでいくと、少し話が大きくなりますが、新たな教育科目は、インフラや設備の拡充ではなく、人があるべき状態にあることに繋がると考えられます。

(1)人に甘える学
人間関係が希薄になる現代、ちょっとしたことを頼むことがお互いに難しい。町で子育てをするという感覚はなくなり、ワンオペになる今、良い塩梅で甘える力を持つことで、自分を守ることができれば、素晴らしいと思います。他者とのコミュニケーションが苦手な方も多く、リアルな付き合いが減っているという面もありますが、少子化対策のためにも、一人抱えない、人は一人で生きているのではないことを知り、他者と関わることは必要だと考えます。

(2)推し学
一番のポイントはホワイトボードにもある“他者に興味をもつこと”ではないでしょうか。承認欲求について語られますが、誰もが自分のことを一番に考えてしまうのは当然のこと。しかし、自分のことだけを考えていても、自分の欲求が満たされることはありません。他者への興味と、他者への関わりで社会は成り立っています。好かれたい・愛されたいだけでは、関係性を作ることができません。「推す」ことが、他者への興味のきっかけにもなると考えます。

(3)SNS学
現代を生きるには必須アイテムになったSNS。しかし、私たちはSNSの使い方を学ぶことなく生きています。もちろん目的によって使い方は違うのですが、最低限のリテラシーは知っておいた方が安全と考えます。ホワイトボードにあるように、写真の取り方で売り上げが変わるように、SNSと経済の繋がりは明確です。自分自身を簡単に発信することできる分、そこには危険もあります。発信する方法や他者とのかかわり方、ルールを学ぶ機会があれば、SNSがきっかけで起きる問題は減るかもしれません。

(4)得する学
ネットを使って調べると、自治体にはいくつかの補助金や助成金があることが分かります。しかし、積極的に情報を取りにいかない限り、知らないまま生きていることが多いのが現代です。4月から自転車のヘルメット着用努力義務化されましたが、ヘルメットの購入金額の一部を補助する自治体もあります。インターネットで検索すれば自分が住んでいる自治体のことは分かるのですが、そもそも補助金が出る自治体があることを知らない方も多いようです。積極的に情報を取りに行く方法を学び、世の中の仕組みや補助金・助成金の対象になる人を知ることは、お金のことを考えるきっかけにもなると考えます。

(5)恋愛学
結婚・出産への考え方は、30年前と今では大きく変わっています。女性が働くことが当たり前になったこともひとつの要因と言えます。また子どもの教育費が高いことなど、理由はいくつもあります。Z世代への調査では、子どもがほしくないと考える人も多いようです。その理由には、「子どもを育てる自信がない」という回答もあるようです。少子化問題解消には、子どもを育てる環境を整えることとともに、この人と一緒に子どもを育てたいと思えるパートナーに出会えるかどうかも大きいと考えます。

実際の取り組み事例(ひより保育園)



8.働きがいも経済成長も8.6 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。
12.つくる責任 つかう責任12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
2.飢餓をゼロ2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

園児が給食を作る。
メインテーマは、「子どもの頃から自分の手を動かす経験を持つ」にあるのではないかと考えます。自分で作ったものには思いがあります。それによりこれまで食べられなかった食材を食べられるようになるという経験が、人を成長させます。情報過多の今、経験したことはないけれど、知っていることが多い時代です。しかし、知っているとやったことがあるは大きく違います。また生きていくことは「やったことがある=経験」を積み重ねていくことです。2歳半からの安全対策がされているとはいえ包丁を使うことや、揚げ物をすることを危ないと感じる保護者の方もいると思います。しかし、危なさは経験して分かることもあります。怪我をすることになってはいけないのですが。危険を知ることなく守られ過ぎてしまうと、危険を察知できないまま大人になる可能性もあります。また、これらを危ないと思う保護者は、この保育園を選ばないという選択肢もあります。
「インターネットで見ることができるから、海外に行かなくても分かる」は、実際に行ったこととは大きく違います。同様に、料理の作り方を知っていることと、実際に作ることは大きく違います。野菜の硬さや、魚の匂い、調理かかる時間を体験することで、用意されたものを受け身で食べることとは違う、食材に対する思いは変わります。生産者の思いも知ることができるかもしれません。また、レストランを開くことで、作ったものを食べてもらう喜びを感じることができれば、食に対する意識だけでなく、誰かのために何かをするという職への意識も芽生えるきっかけになります。