解説

【解説】SDGsライター伊藤緑の、こんなとこにも「ちょっとだけ」SDGs

第12回(3/31放送)

テーマ:空き家問題をなんとかしたい!

ディスカッション板書
ディスカッション板書

12.つくる責任 つかう責任12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
17.パートナーシップで目標を達成しよう17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。

(1)夫婦喧嘩の受け皿ホテル
昭和の時代は、当たり前にあった近所付き合い。いただき物のお裾分けや、作りすぎた料理をもらったりあげたり。Z世代にとっては、「サザエさん」の世界かもしれません。そんななかに、喧嘩の仲裁もあったかもしれません。少しお節介な(面倒見のいい)おばさんが、どっちの話も聞いて収めてくれる。喧嘩両成敗にてくれるような時代。しかし今は、近所付き合いも難しくなりました。隣にどんな人が住んでいるか分からない時代です。だからこそ、サービスとしての「夫婦喧嘩の受け皿ホテル」は良いかもしれません。そこにメンタルケアが付いている。昭和時代の面倒見のいいおばさんの現代版かもしれません。いっそビジネスにして占い師をお願いするのもありですね。近所付き合いが難しくなっている地域こそ、必要かもしれません。
ちなみに、私の実家(愛知県)では、昔からの付き合いが残っているので、畑を持っている方から野菜をいただくことも多いです。

(2)ギャルだけが住むシェアハウス
同じ趣味を持った方が一緒に住むことで、その家がそこに住む人の趣味に染まり、古ささえも価値になるという利益があれば、とても素晴らしいと思います。また、同じ趣味の人が集まる場所になり聖地になる。そんなこともあるかもしれません。これはギャルに限らず、どんな世代でもあることだと思います。
自宅は別にあり、集まれる場所として空き家を利用するのも良いと思います。管理する会社や人が必要になりますが、曜日ごとにテーマが違ったり、部屋ごとに違ったり。趣味のシェアオフィス版でしょうか?DIYやインテリアが趣味の方がいれば、家が修繕されていくかもしれません。
個人的には、高齢者の方の憩いの場や、学童のようなものが空き家で行われても良いと考えています。

(3)瞑想専用部屋
どこに住んでいても、一人になる時間は意識的に作らなければ難しいことだと感じています。空間的には独りであっても、スマホを持っていればそれはもう一人ではないということです。また地方に行けば一人になれそうですが、地方は近所付き合いがあり、一人になるのが難しい場合もあります。また、家族で暮らしていれば完全な一人は無理でしょう。
そんなときに、その場所に行けば、「完全なる一人」という空間が用意されている。持っていくものも決められている。情報過多になっている現代人には必要な場所かもしれません。スマホ依存・ネット依存の危機感も叫ばれています。デジタルデトックスをしましょう、とも言われています。しかし、「完全なる一人」は、仕事がある日に行うとかえってストレスになりますので、期間を決めたうえで、周りに伝えて(急に連絡が取れなくなると心配される恐れもあります)、その場所に行き、徹底的に自分と向き合うこと。それにより新たな世界が見えるかもしれません。その場所は、地理的に便利な場所である必要はありませんし、安全であれば古い建物でも良いのではないでしょうか?

実際の取り組み事例(鹿児島県霧島市)



12.つくる責任 つかう責任12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
11.住み続けられるまちづくりを11.7 2030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
15.陸の豊かさも守ろう15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
17.パートナーシップで目標を達成しよう17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。

家族で行う、空き家を利用したお化け屋敷
SDGsのターゲットにピッタリなのは、「12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」ですが、それ以外にも町の環境を守る、無理な開発をしなくても楽しめる場所にし、今のまま土地を守ることにも繋がると考えます。空き家が増えると治安が悪くなると言われています。今回のように不定期でもイベントが行われている場所は、人が集まる場。人の目がある場所。治安が守られることに繋がります。そして、映像の中でも語られている「地域を盛り上げる」ことに繋がります。

空き家問題・実家問題という言葉があります。空き家には、いくつかの種類があり、販売用や賃貸用に不動産会社が所有している物件のことも空き家と言います。しかし、ここで問題になっているのは、所有者が管理し、日常的に使っておらず修理修繕もされていない物件です。
今回、紹介された建物も所有者の方から借りているということでしたので、まさに空き家の有効利用と言えます。利用前に、建物の安全性の調査が必要ですが、安全性が確認できれば、今回のように古いことを武器にして利用する発想は素晴らしいと思います。
古民家ブームがあり、昭和レトロ、平成レトロという言葉が流行っています。今の若い世代は、50代以上が古いと感じるものを、新しい・かわいいと感じるのです。その感性で、古さを活かした新たなエンターテインメント施設を作ったり、人が集まる場を作ったりすることができればと考えます。住む以外に今回の紹介されたようにイベント用の建物をとして使う。商売をする、レンタルスペースにするなど、利用方法はたくさんあるでしょう。そして、空き家が利用され人が入ることで、建物の劣化に気づきメンテナンスを行うこともできます。空き家は荒れるといわれますが、人が入れば放置されるより長い期間の有効に使われます。
また、お化け屋敷を家族で行うという家族のパートナーシップが素晴らしいと思いました。特に地方(今回は鹿児島県霧島市)では、子どもたちは進学で地元を離れる人が多いです。家族でひとつのことを行うのは、人生の思い出にもなり、今後の生き方にも良い影響があると感じます。また、お化けの声を工夫することは、学校では学ばない知識です。これからの子どもたちは、与えられる教育ではなく、自ら知識を得るための行動することが必要になります。お化け屋敷をいう場で、来てくれる人により楽しんでもらうための工夫する力(顧客満足度を上げる力)がついていくと考えられます。