解説

【解説】SDGsライター伊藤緑の、こんなとこにも「ちょっとだけ」SDGs

第10回(1/27放送)

テーマ:希薄になりつつある人間関係 現代のコミュニケーション問題をなんとかしたい!

ディスカッション板書
ディスカッション板書

コミュニケーションの問題は、SDGsすべての目標の根幹になるものと考えます。目標1~17まですべてが、人と人の繋がり・協力・思いやり・譲り合いなど、さまざまな関係性があってこそ達成されるべきものだからです。今回は、特定のターゲットを入れず解説していきます。

(1)同じ生年月日の人が集まるイベントを作る
発想として面白いですね。自分と同じ生年月日の人に大人になってから会ってみたいと思う人は多いかもしれません。誕生日占いならいつも同じページを見ている人が、どんな生き方をしているか?は興味がありますね。以前、あるSNSのコミュニティに同じ誕生日(月日のみ)が集まるものがあり、参加し同じ生年月日が人にリアルでお会いしました。まったく違う人生を歩んできても、何か懐かしいような気持ちになりました。今も、誕生日には、お互いに祝い合います。また、私たちは、生まれたときかなりの確率で同じ誕生日(生年月日)の人と同じ病院にいます。大きな病院であれば、同じ日に生まれる子どもがいるでしょう。また多胎児として生まれれば同じ誕生日を持って成長していきます。誕生日という誰もがひとつずつオリジナルのものとして持ったものを共通項として生まれるコミュニケーションは、仕事や趣味とは違うものがあると思います。互いにどんな風に生きてきたか?語りあうことで深まる縁もあるのではないでしょうか?同姓同名(漢字も同じ)での出会いも年齢層がバラバラになり、また違う共通項を感じるかもしれません。どんなニックネームで呼ばれていたとか?
人口の問題ですが、少子高齢化で人口が減る日本ですが、世界的には人口は増えています。人口が増えることで起こる問題は、SDGsの目標の多くに繋がっています。

(2)ウーバーミーツ(レンタルおじさんなど)
コロナ禍で対面のイベントが減り、たまたま参加したリアルイベント出会ったという偶然性の出会いが減りました。オンラインでのコミュニケーションや出会いの場もありますが、リアルの偶然とは違うものがあると感じています。リアルだと気が合うと思った人と長い時間話すことができますが、オンラインではそれはできません。その代わりオンラインは距離を飛び、海外の方とも知り合うことができます。
しかしながら、今は多くのアプリがあり、自分を加工することも難しくありません。自分を加工することでコミュニケーションが取れるようになった人もいるかもしれませんが、加工の度合いによってはリアルで会うのは難しいでしょう。
また、レンタルおじさんではないですが、家族レンタルや家族代行という商売もあります。昭和の時代から急速に核家族化が進み、個が尊重される一方で、孤独に生きる人も増えました。孤独を楽しむ人もいますが、孤独が辛い人もいます。安心して時間を共有できる人がいれば、生きる上での問題が解決できる場合もあります。しかし、性善説ばかりではない時代、そこにはしっかりした保証があってこそです。まさに正しい評価機能です。

(3)地元で集まる祭り・フェスをする
祭りの起源は、「神様への感謝」で「祀り」という言葉が使われることもあります。春や秋に神社で行われることが多いですね。「神様への感謝」というきっかけで、同じ場所に人が集まることで、コミュニケーションが生まれます。地元も祭りの規模はそれぞれですが、人と人がつながるきっかけになる場です。家が隣でも声をかけたことがない、しかし、祭りの場で出会ったら自然に打ち解けたなど。神様が出会わせてくれたのかもしれません。
また、「神様への感謝」以外にも、雪まつり、梅まつり、桜まつりなどの季節のイベントや、その土地に伝わることで行われるお祭りもあります。東京都世田谷区で行われる「ボロ市」の起源は、安土桃山時代の楽市です。コロナ禍で開催が控えられていましたが、昨年の12月と今年の1月には多くの人が集まったようです。長年続くお祭りは、毎年この場所で会いましょう、という無言の約束になることもありますし、新たな出会いの場にもなります。
「ボロ市」は、食料品、漆器や陶器などの骨董品、着物や帯などの古着、アクセサリー、雑貨、おもちゃなどリサイクル品も販売され、違う意味でもSDGs的なイベントです。
祭り・フェスは、知らない人が同じ目的で集まる場。互いの心のハードルが低くなるともいえます。

(4)今、仲が良い人と疎遠にならないようにランダムで教えてくれるアプリ
SNSを介して多くの人と出会える一方、関係性の深めることが難しくなったのではないか、と感じています。「仲が良い人」の基準が難しくなったと言い換えてもよいかもしれません。しかし、仲良くなった人との縁を切らないようにしたいと思う気持ちは誰にでもあるでしょう。学生時代と違い、毎日会うから仲が良いというものではなく、数年に一度しか会わないけれど、なんでも話せる親友という関係も大人になると生まれます。大切に思う関係の人と、思い出を共有できる機能は素敵です。また、互いに気持ちが同じであれば大人になってから親友になることもあります。親友は作ろうと思って作るものではないので、その時の状況や気持ちにも左右されます。学生時代は、友達という言葉を簡単に使えましたが、大人になると、友達なのか?仕事関係者なのか?ということで悩むこともあります。ただ、「仲の良い人」という言葉は、とても温かいものに感じます。

(5)同じ会社で話さない人→レンタルギャル・MCギャル
会社や組織の規模にもよりますが、同じ空間にいても話す機会がない人というのは一定数いると考えます。そこには、実は同じ趣味や思考を持っていて、話す機会さえあれば、あっという間に良い関係になれる人がいるかもしれません。それを取り持ってくれる人がいれば、シャイな人同士でも縁が作りやすいかもしれません。気軽にギャルが繋いでくれるというのは、コミュニケーションが苦手な人にとっては、ありがたいことですね。人と人の出会いはきっかけです。きっかけ作りのプロとしてのギャルは素敵ですね。
また、他人の意見に対して、「その意見いいね」「よくな~い」といった反応が、なかなか出しづらい時代になっています。しかし、仕事を進めるにはジャッジが必要です。その役目を行ってくれるギャルがいる?ちょっと不思議ではありますが、これからの時代、必要になるのかもしれません。
互いをニックネームで呼ぶのは、距離感を縮めるきっかけです。役職名で呼ばず名前で呼ぶ企業もあります。互いをどう呼ぶかは、互いの距離を変える手段のひとつです。

(6)人を信頼(ミニマムイカゲーム)
まったく知らない人を信用することが難しくなった時代。詐欺まがいのメールが届き、高齢者を狙う巧妙な詐欺事件も起きています。しかし何らかの外的要因で、一緒になったことで、ひとつの目的を達するために力を合わせることで生まれる信頼はあると考えます。危険性のあるものは避けたいですが、仲間で何かを達成することに繋がります。スポーツには、チームで競うものが多いですし、個人種目でもチーム戦がある場合もあります。ダンスもチームで魅せるものがあります。チームが成功するのは、互いを信頼する気持ちがあるからこそ。刑事ドラマを見ると、刑事は2人一組で動き「互いに命を預けている」というセリフをよく聞きます。信用が難しい時代ですが、信頼できる人と出会えることで人生の宝です。

(7)友達ガチャ
良い意味として使われることがない、○○ガチャという言葉ですが、ガチャには、ランダム・無作為・抽選などの意味が含まれるように感じます。
こんな通説があります。
80年の人生、80億人の地球で、
人が一生に、
何らかの接点を持つ人:30,000人
同じ学校や職場、近所の人:3,000人
親しく会話を持つ人:300人
友人と呼べる人:30人
親友と呼べる人:3人
もちろん、人によってこの数字は違いますが、類は友を呼ぶという言葉があるように、自分と似た人と出会う確率が多いかもしれません。そんな中での敢えての友達ガチャ。絶対に出会わないような人と出会うチャンスかもしれません。友達になれるかどうかは、分かりませんが。多様性が謳われる時代、世の中にはいろんな人がいるということを知る機会になります。