解説

【解説】SDGsライター伊藤緑の、こんなとこにも「ちょっとだけ」SDGs

第9回(12/23放送)

テーマ:ゆうちゃみ主催!世界をちょい変えするクリスマスフェス

実際の取り組み事例(クリスマスツリー)

海外のクリスマスツリー事情
海外での生のモミの木を伐採し、クリスマスツリーとして飾るという習慣から起きているゴミ問題。まさに「目標12.つくる責任 つかう責任」です。今回、根を付けたまま植木鉢でレンタルし、クリスマスシーズン後に森へ戻すことは、廃棄物を減らすだけでなく、再利用ができているとても分かりやすい例です。同時に、森で必要以上に木が切られているのであれば、森を守ることにも繋がります。森を守ることは、自然災害対する強靱性にも繋がりますので、人間の都合で短い期間だけのために伐採されていた木(壊されていた自然)を、守ることになります。
また、木に名前を付けて、翌年も同じ木を使うことは子供が自然の大切さを日常のなかで身に付けることにもなるでしょう。
そして、廃棄せざるを得ない木に関しては、動物の餌として有効利用されれば、こちらも「目標12」を達成することになります。
クリスマスは、イエス=キリストの誕生を祝うお祭り。そして、キリスト「Christ」とミサ「mass」とを合わせて「Christmas」という言葉です。神聖なるイベントであり時期だからこそ、人間のエゴが入らない方法を考えていきたいですね。このようないイベントであることを知ること、学ぶことは「目標4.質の高い教育をみんなに」の「文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、」に繋がるかもしれません。

12.つくる責任 つかう責任12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
15.陸の豊かさも守ろう15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
13.気候変動に具体的な対策を13.1 全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
4.質の高い教育をみんなに4.7 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。

実際の取り組み事例(ゴミンゾク)

海洋ゴミ×民族楽器
海洋ゴミから民族楽器を作り、グループで演奏し披露する。この中には多くのSDGsの要素が含まれています。
海洋ゴミを減らす努力は大切なことですが、すでにゴミとなってしまっているものをどうするかも大きな問題です。海岸でゴミを集める活動は多く行われていますが、そのゴミをどう処理するかということです。当然、すべてを民族楽器にすることは難しいですが、ゴミンゾクさんの活動を見ることで、海洋ゴミから何か新しいものを作ることを考える方もいらっしゃるかもしれません。そこに可能性があります。
ゴミだと思われているものから新たなものを創出することは、創造力を高める教育にもなります。単に「海洋ゴミから民族楽器を作って演奏しています」だけではなく、彼らの活動を知ることで自分なら何ができるか?を考えることが新たな一歩になると感じます。
そして、「2.飢餓をゼロ」を選ばせていただきましたが、貧困は金銭の問題はもちろんですが、心の貧困もあります。何かを生み出す思考や技術を身に付けることで、金銭的に潤沢な状態でなくても、心が満たされることがあれば幸せを感じることができるかもしれません。また、生み出すというイノベーションの意識を持つことで、明日への可能性を持てると考えられます。同じ事象でも、常に見え方は2つあります。コップには、もう水が半分しか入っていない、まだ半分も入っている。同じモノを見て、これはゴミだから棄てるしかないと考えるのか、新たなものを生み出す材料だと考えるのか、どちらの思考をするかで未来は変わります。これまでにない新たなことを生み出す材料と考えて生まれたモノが世界を変えるものになる可能性もあります。彼らの活動は、そのような発想を持つキッカケになる活動だと感じます。
また、ゴミンゾクの方が楽器の元にしているモノを知り、それらが海に流れてしまっている現実を知ること、一人ひとりが意識を持つことでしかゴミを減らすことはできません。こんな素敵なものになるんだ、と同時に、こんなものが流れてきてしまうんだ、ということを知るキッカケになればと思います。
40種類ある楽器が、何からできているのか知りたいです。

12.つくる責任 つかう責任12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
14.海の豊かさを守ろう14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
14.22020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
1.貧困をなくそう1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。
4.質の高い教育をみんなに4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
9.産業と技術革新の基盤をつくろう9.b 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。