解説

【解説】SDGsライター伊藤緑の、こんなとこにも「ちょっとだけ」SDGs

第8回(11/25放送)

テーマ:元気がない商店街をちょっとだけでも活性化したい!

ディスカッション板書
ディスカッション板書

商店街の衰退、シャッター街になっているという問題は、多くの地域で起きています。ですので、「ちょい変え」で町が息を吹き返すきっかけを作ることができれば、日本の何かが変わる可能性を感じます。実際、私の出身地もかなり深刻です。そのため他人事ではありません。

(1)特技のあるツッコミ芸人にきてもらう
ポイントは「特技のある」と「ツッコミ」だと考えます。ただ、面白いだけではエンターテインメントですが、「特技がある」ことで、その特技を町の人に披露し、興味をもってもらうことで、その町に住んでいる人に新たな視点が生まれます。また、町に対して第三者視点でツッコんでもらうことで、町に住む人には見えないことが見えるようになります。町が衰退していく原因のひとつには、その町でなければならないことがあります。その町でなければならない何かを生み出すことを生み出すことができれば、どんな不便な場所にあっても人は訪れますし、そこに住みたいという人が現れます。そのきっかけ作りになれば、と考えます。また、そこに住む人が、スキルを持つ人になれば町に話題が生まれます。

4.質の高い教育をみんなに4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
8.働きがいも経済成長も8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。

(2)ひとつの事に特化した
「ひとつの事に特化する=その分野で秀でる」ことに繋がります。その町に行けば、体験できる、情報が集まる、同じ趣味の人と出会える。世界中に中華街(チャイナタウン)があるように、何かに特化した場所はあります。今、東京では新大久保が、大阪では鶴橋が、コリアタウンと言われています。このように何かに特化することで街に人が集まりますし、雇用が生まれます。専門的な技術を持つ人も増えていきます。マルチは人材が求められる時代ではありますが、特価したスキルは人として生きる力を高めます。

4.質の高い教育をみんなに4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
8.働きがいも経済成長も8.9 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。

(3)昭和スポット
昭和生まれが、まだ35歳になっていないにも関わらず、「昭和レトロ」という言葉が生まれました。理由は、この35~40年で多くのことが急速に変わったからだと考えます。一番大きかったのは通信かもしれません。40年前、一人一台の電話を持つことなど想像しませんでした。そして、街の画一化です。ある程度の乗降者数のある駅前の景色がそっくりだといわれることがあります。駅前の風景を見て、駅名を当てるクイズがあるほどです。それは、失われた景色があるということ。失われた景色を作っていたモノは廃棄されたものもありますが、まだ残っているものもあります。廃棄物を減らすためにそれらを作って、別の場所に昭和スポットを作ることは再利用です。本当の昭和の資材で昭和スポットを作る。もちろん安全性には注意が必要です。そして、その場所が観光スポットになれば、人が集まります。昭和を知らない世代も、昭和を知っている世代も、今はもう見られない昭和の再現を求めているかもしれません。また、まだ残っている昭和スポットを生かすことも同様に考えていきたいことです。

11.住み続けられるまちづくりを11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
12.つくる責任 つかう責任12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。

(4)100円商店街
副業・複業が言われる時代です。これまでの仕事から次のステージへ向かうセカンドキャリアを探す人も増えています。始めるために必要な場所が安価で提供されることは、人の挑戦の背中を押します。誰もが一度で成功するとは限りません。また、やってみなければ実際にできるかどうかわかりません。そのために大きなお金を動かせない人もいます。100円で店舗を借りて経験する。空き店舗になっている店を、居抜きで使うことができれば、店の傷みの修繕になるかもしれません。店舗の持ち主と借り手の間で、きちんと話し合いをすれば、事業継承の可能性もあります。また、場所だけ借りて始めたことで新しいサービスがスタートする可能性もあります。

8.働きがいも経済成長も8.9 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
11.住み続けられるまちづくりを11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
12.つくる責任 つかう責任12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

(5)シャッターにエモいアート
「割れ窓理論」という言葉があります。
「窓割れ理論」とは、1枚の割られた窓ガラスをそのままにしていると、さらに割られる窓ガラスが増え、いずれ街全体が荒廃してしまうという、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング博士が提唱した理論。かつて、犯罪多発都市ニューヨーク市で、1994年以降、当時のジュリアーニ市長が、この「割れ窓理論」を実践。割れ窓の修理や落書きなど軽微な犯罪の取締りを強化した結果、犯罪が大幅に減少したと言われています。
というものです。シャッターには落書きをされることがあります。落書きがすぐに危険にすぐに結びつくとは言い切れませんが、落書きをされる前に、エモいアートで街を美術館にする。定期的にアートを変えても良いかもしれません。街を守ることにもなりますし、そこから芸術家が生まれる可能性があります。

16.平和と公正をすべての人に16.1 あらゆる場所において、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。
11.住み続けられるまちづくりを11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。

(6)S(衰退)-1GP
衰退することが悪いことではないというとらえ方は、PRポイントになり得ます。廃墟マニアもいますし、廃墟をノスタルジーと言い換えることもできます。物事は常に表と裏です。栄えるや映えることは、決して派手なこと・美しいことではないと気づいている人もいます。何に興味を持つかは、人それぞれ。多様性が謳われる今、興味を持つ対象は以前よりもニッチになりました。そして、それらはビジネスになります。大きなイベントとなっているコミケも、1975年12月21日に開催された第1回コミケは、参加者700名で虎の門の日本消防会館の会議室で行われました。コロナ禍前の2019年冬コミケは、 これまでの最大の75万人が集まっています。 何がビジネスになるかは、分からない時代です。衰退がビジネスになる可能性は十分に考えられます。そこにどんなスパイスをいれるか、スパイスを変えれば、各地で「S(衰退)-1GP」が、開催されるようになるかもしれません。

11.住み続けられるまちづくりを11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
12.つくる責任 つかう責任12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
17.パートナーシップで目標を達成しよう17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。

実際の取り組み事例

衰退する商店街をアイディアで盛り上げる
・こども商店街(福岡県北九州市)
・まちゼミ(愛知県岡崎市)(大阪府豊中市)

学びは学校という閉鎖された場所だけで行われるものではありません。町に出てこそ、仕事のリアルを見ることができます。どんな仕事は見たり聞いたりしただけでは分からないことが多いものです。自分が興味がある仕事の場合は、良いところだけが見えてしまう場合もあります。有名な職業体験施設もありますが、誰もが行けるわけではありませんし、どうしてもエンターテインメント的な受け取り方になってしまう可能性があります。自分が生活する町で、自分が受けたことのあるサービスを自らが提供することは、将来の仕事へのヒントになると考えます。これは子供だけでなく、大人にも言えるかもしれません。副業を始める前に体験してみる。転職する前に経験する機会があれば、自分に向いているか、自分にできるかどうかがわかります。仕事はイメージではなく現実ですから。
また、こども商店街では、子供の視点で仕事を見ることで、新たな街づくりが見えてくるかもしれません。どんな場所にも「起業、創造性及びイノベーション」は、存在します。
プログラミング教室とケーキ店のコラボは、どちらかにしか興味がない人に興味をもってもらうことに役立ちます。コラボは似た業種で行うよりも、縁がないように思われる業種で行うことで、学んだ人のなかに新たな可能性が生まれます。

4.質の高い教育をみんなに4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
8.働きがいも経済成長も8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。

・イス-1GP
・ポスター展
・ゾンビナイト

この2つの目標は、視点は違いますが、町の衰退を止めるために必要な目標です。イベントを行い継続することで町の認知を上げることは簡単に思えますが、とても難しいことです。多くの場合、一度行い、二度目が行われません。継続し知らせていくというPRの部分に注力する必要があります。継続することで人が集まり、その町が知られ盛り上がるとともに、魅力的なイベントであれば、他の場所へ飛び火させていき、全国的、世界的なイベントになります。発祥地である町にも注目が集まります。町が注目されれば、「雇用創出、地方の文化振興・産品販促」に繋がります。
魅力的な景色や世界的遺産がなくても、住む人たちが考え、工夫し、続けていくことで、町は活気を取り戻します。

8.働きがいも経済成長も8.9 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
12.つくる責任 つかう責任12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。