解説

【解説】SDGsライター伊藤緑の、こんなとこにも「ちょっとだけ」SDGs

第5回(8/30放送)

テーマ:ゴミ問題をなんとかしたい!

ディスカッション板書
ディスカッション板書

(1)あと20年でゴミが捨てられなくなる
日本は土地が狭いので埋め立てには限界があります。そして、焼却すれば温室効果ガスが排出されます。そこで考えなければならないのが、ゴミを減らすことです。作ったものを使い切る、使い切ったあとはリサイクルする。そこで、まずはできるだけゴミを減らすことを個人が考える時代です。しかし、ゴミを完全になくすことはできません、ですのでゴミを正しく分別しリサイクル率を上げることです。ゴミのリサイクル率が80%を超えている町があります。徳島県上勝町です。この町にはゴミ収集車は走っていません。すべての地域がそのレベルを目指すことは難しいですが、ゴミを減らすこと・分別をすることは、企業だけが行うことでなく、個人が今日からできることです。

12.つくる責任 つかう責任12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

(2)ペットボトル・レジ袋
2030年に、海には魚よりプラスチックが多くなるということがよく言われています。海に流れるプラスチックゴミは陸から川を流れていくものも多いです。これは海だけの問題でなく、生活圏での問題でもあります。レジ袋をクラゲと間違えて食べるウミガメがいるというニュースもあります。海だけでなく、陸や山でもゴミをポイ捨てする人が居ます。陸では、不法投棄があります。産業廃棄物と呼ばれるものが捨てられることもあり、有害な物資が含まれていれば土地やそこに住む人に影響を与えます。
ペットボトルについては、PETボトルリサイクル推進協議会によると、2019年度の日本のペットボトルの回収率は93.0%、リサイクル率(リサイクル量/ボトル販売量)は85.8%です。ペットボトルをゼロにすることは難しいことですが、リサイクル率が高いので、一人ひとりがリサイクルできる正しい方法で廃棄することを望みます。

14.海の豊かさを守ろう14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
15.陸の豊かさも守ろう15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
12.つくる責任 つかう責任12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

(3)生ごみをぎゅっと絞る
働き方改革とコロナ禍での働き方の多様性から、これまで見えなかった多くの職種の労働状況が明らかになりました。エッセンシャルワーカーという言葉が、一般的に使われるようもなり、毎日の生活を支える人たちが低賃金で働いていることも明らかになっています。
日本ではゴミの収集があることは当たり前ですが、収集する人がいるから収集されるという現実を改めて考える機会になりました。そして、ゴミの捨て方について語られるようにもなりました。正しく分別されないことで起こる事故。電池やスプレー缶などは捨て方のルールを特に守ってほしいものです。また、生ゴミの匂いや菌の繁殖など。これは感染症にも繋がります。ゴミの捨て方は個人に関わっています。一人ひとりが正しくゴミを捨てることが求められています。

8.働きがいも経済成長も8.5 2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。

(4)タバコをなくす
タバコは嗜好品であり、日本では20歳以上であれば喫煙は問題ありません。個人の楽しみとしてタバコを吸うことを禁じることはありませんが、健康に生きることを考えたときに、喫煙場所は制限される方向に進んでいます。それは、副流煙による他者への健康被害があるからです。SDGsのターゲットにも、タバコの規制に関する記載があります。

3.すべての人に健康と福祉を3.a 全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。

(5)ビニール傘多すぎ
ある鉄道会社の調査によると、2021年度の駅や車内の忘れ物で一番多いものは傘です。忘れ物全体の約22.5%を占めています。高価なものであれば取りに来る方もいますが、安価なものであれば持ち主に戻ることなく保管期間が過ぎます。この鉄道会社では、傘の忘れ物が多すぎ、保管期間を1か月から2週間に短縮しました。保管期間終了後は、売却しリユースまたはリサイクルされます。JR西日本でも傘の保管期間を保管場所のひっ迫から、“遺失物法により、お忘れ物は警察に提出後3カ月間保管されることになっていますが、当社のような「特例施設占有者」は、警察に提出せずに自社で保管することができ、一定の要件のもと「傘」などの物品は、警察に保管の届出をした翌日から2週間以内に落とし主が見つからない場合は、売却、廃棄などの処分ができると規定されています(遺失物法 第20条2項、第21条)。昨年4月には警察庁からも特例施設占有者はこの規定を積極的に活用するよう要請を受けました。(2017年11月 1日)”とされています。

また、気候問題により線状降水帯の発生が増え、突発的な雨で傘を購入することも増えました。ゲリラ豪雨のように短時間でやむこともあり、傘を置き忘れてしまうことも増えています。これらの問題をどう解決するかは今後考えていくべきことです。傘のシェアリングを行う企業も生まれています。雨傘だけでなく、日傘を持つ人も増えたことから、傘の問題はこれまで以上に高まっていくかもしれません。

12.つくる責任 つかう責任12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
11. 住み続けられるまちづくりを11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
13. 気候変動に具体的な対策を13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。

テーマ:捨てられるものの再利用アイデア

ディスカッション板書
ディスカッション板書

(1)スイカの皮白いところきんぴら
食べられないと思っていたものを食べるという発想から、最近話題のコオロギせんべいについて書かせていただきます。
コオロギのパウダー入りのせんべいやチョコが発売されています。これまで日本には一般的に昆虫を食べる文化はありませんでした。しかし今、昆虫食が注目されています。コオロギは育てやすく、食材としてタンパク量が多いと言われています。コオロギを全粉砕してパウダー化したエコロギーは、“エコロギーパウダーのたんぱく質含有率は65.6%で、ビーフジャーキーをしのぐ”とも言われています。また、後発開発途上国であるカンボジアでコオロギを育てているという事例もあり、SDGsに繋がります。

2.飢餓をゼロ2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。

(2)犬の毛・ペットの毛をクッションに
(3)使ったつけまアート

不要だと思ったものや一度使ったものをすぐ処分するのではなく、別の使い方をして楽しむという考え方は、創造性でありイノベーションです。イノベーションというと企業規模のものを考えがちですが、「革新」「一新」「技術革新」「大きな変化」「新しい活用法」などの意味を持ちます。新しい活用法と考えれば、身近に感じることができるかもしれません。つけまつげに限らず、自分が使ったものを新たな視点で別のものとして活用する。また、他の方に譲り新たな使い方で使ってもらう。DIYがブームになっている今、何もかもを購入するのではなく自分で作るということは、働きがい、生きがいにも繋がります。

8.働きがいも経済成長も8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。

実際の取り組み事例(群馬県前橋市:ナカダイ、モノ:ファクトリー、REMARKET)

島国の日本は狭い土地に多くの人が住んでいます。ゴミの廃棄方法のひとつに埋め立てがありますが、埋め立てには限界があります。環境省によると、2020年度のゴミの総排出量は、4,167万トン(東京ドーム約112杯分)です。一人当たりにすると901グラム。1kg近いです。そして、埋め立てでゴミを処理できる残り年数は、22.4年と言われています。埋め立て以外に焼却がありますが、排ガスの問題があります。環境省によると、2018年度の廃棄物分野の温室効果ガス排出量は3,782万トン(CO2換算)です。日本は、ゴミをゴミにしない取り組みをしなければなりません。
使い捨ての時代は終わりました。若い世代では、使い捨ては格好悪いと思う人たちも増えています。昭和レトロ、平成レトロという言葉も使われるようになっています。

12.つくる責任 つかう責任12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
8.働きがいも経済成長も8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう

今回紹介された、ナカダイ・モノ:ファクトリー・REMARKETは、これまでゴミとされ廃棄されたいたものに、手を加えることで新たな商品にしたり、次の商品の一部にしたりするリアルな現場です。
電化製品の分解を個人で行うことは難しいですが、プロの手で分解することで雇用が創出されます。また同じものを多数集めることで、個人だけではなく企業や組織が使うことも考えられます。廃棄することにお金がかかるようになり、不法投棄が増えています。自分にとって必要としないものも、他者にとっては必要なもの・欲しいと思うものは、世の中にたくさんあります。安易に廃棄するのではなく、次なる使い道はないか考えてみてはいかがでしょうか?
埋め立てることも、燃やすことも難しくなっていく未来に対し、作りすぎないことも大切です。食品ロスについてはよく語られますが、モノは消費期限や賞味期限がないものも多く、形を変えて楽しむ方法もあります。人の創造性を生かすという意味では、イノベーションを起こすことができるかもしれません。

そして、モノを廃棄しないことは、海や陸を守ることも繋がります。