明治安田J1百年構想リーグを戦う京都サンガF.C.において、今季一際大きな注目を集めているのが、今月4日に19歳となったMF尹星俊(ユン・ソンジュン)だ。ユースから昇格したばかりのルーキーにとって、プロの壁は決して低くはなかった。開幕当初は出場機会がなく、メンバー外から試合を眺める日々。そこからいかにして定位置を勝ち取ったのか。新鋭が明かす「準備」の舞台裏に迫った。
「やっとチャンスが来た」 “大抜擢”を必然に変えた準備
今季プロとしての第一歩を踏み出した尹だが、開幕当初は苦境に立たされていた。本人も「今まで全然試合に絡めていなかった」と振り返る通り、ピッチに立つチャンスすら巡ってこない時期を過ごした。 転機が訪れたのは2月中旬。突然のスタメン指名に周囲は「大抜擢」とざわついたが、本人は驚くほど冷静だった。「やっとチャンスが来たというワクワク感の方が強かった。どうチャンスをつかんで次につなげるかだけを考えていた」不安をかき消したのは、試合に出られない間も怠らなかった徹底的な「準備」だった。
「生き残れない」という危機感から始まった“逆算”
19歳とは思えない尹の強心臓。その土台にあるのは、高校3年間で培われた強烈な危機感だ。 「このままトップに行っても絶対に生き残れない」 尹はプロ入りの瞬間から逆算し、自分に足りないものを冷徹に分析してきた。ノートに記録せずとも、体重、筋力、走行スピードといった自身のフィジカルデータを常に脳内でモニタリングし、自らを追い込んできたのだ。その地道な積み重ねが、現在のJ1の舞台で「フィジカル負けしていない」という確かな手応えへとつながっている。
攻守の生命線!奪って刺す19歳・尹星俊が放つ信頼のスルーパス
尹の真骨頂はJ1屈指の「ボール奪取」から即座に決定機を創出する推進力にある。象徴的なのは初アシストの場面。自らのミスによる失点直後という重圧下でも、「味方が走ると信じていた」と語る冷静な判断で絶妙な浮き球を出した。「対人の強さと運ぶ力がなければ自分じゃない」と断言する若武者は、泥臭い守備と鋭いチャンスメークを高い次元で両立させ、今や京都の攻守を支える存在となっている。
「オフはサッカーを忘れたい」ミスドを愛する等身大の素顔
ストイックなプロの顔を見せる一方で、オフの過ごし方は19歳の少年そのものだ。 「オフはマジでサッカーのことを考えたくない」と笑い、練習場を離れれば徹底的にリフレッシュすることを信条としている。 そんな彼の最大の楽しみは「甘いもの」の解禁だ。ミスタードーナツの「カスタード」や「ゴールデンチョコレート」が大好物で、オフの日には自分へのご褒美として味わう。しかし、オフが明ければ再び厳しい食事制限とトレーニングの日常に戻る。そのオンとオフの切り替えこそが、高いパフォーマンスを維持する秘けつだ。 「目標は優勝しかない。個人としては年間ヤングプレーヤー賞を取りたい」 出場なしの悔しさから始まった19歳のシーズン。尹星俊は自ら描いた「逆算のシナリオ」通りに、京都の未来を担う存在へと駆け上がろうとしている。 (2026年5月6日放送 関西テレビ「水曜はJ!」より)


