1月5日(火)

屋久島高校 演劇部顧問
上田 美和
鹿児島県出身48歳。出版社に2年間勤務後、鹿児島県公立高校の国語教師になる。初任時から演劇部の顧問として指導に当たる。初任校で書いた『トシドンの放課後』は、後に全国の高校で上演される代表作となった。2016年に屋久島高校に赴任。3年目に書いた作品『ジョン・デンバーへの手紙』で全国大会2位に導き、自身は創作脚本賞を受賞した。

番組情報

鹿児島本土からフェリーでおよそ4時間、樹齢数千年の屋久杉とこけむす森で知られる世界自然遺産の島「屋久島」。この離島にある唯一の県立高校、全校生徒およそ230人の屋久島高校演劇部顧問・上田美和が今回の主人公だ。
上田が屋久島高校に赴任した5年前、演劇部の部員はわずか1人だった。「残り1名の部員が、渡り廊下で“練習したいです”っていうから“じゃあ部員を集めないとね”と言って集めました」と当時を振り返る。これをきっかけに、赴任して3年目、屋久島の自然を国の伐採事業から守ろうとした人々の物語「ジョン・デンバーへの手紙」で廃部寸前だった演劇部を全国2位にまで導いた。

大学卒業後、出版社勤務を経て国語教師となった上田。鹿児島本土の高校で、演劇部の顧問に抜擢されたことで、高校演劇の世界に魅了された。18年間にわたり、様々な高校で演劇部の指導にあたったが、大会に出場するたびに、「もし離島に赴任したら本土に負けない舞台を作ってあげたい」と感じていた。5年前に夫と子どもを本土に残して屋久島へ赴任。大会が近づくと自宅に帰れないほど忙しいが、朝と夜にかける家族への電話を楽しみに、部員たちと向き合い作り続ける。

高校演劇の制限時間は1時間。時間内に収めるため、脚本の調整に苦戦する上田は、番組スタッフに「脚本を削ったら出られなくなる子がいる。一番大事にするのは生徒の心」と打ち明ける。高校演劇部の顧問として、舞台の演出と同じくらい大切にしているこだわりとは。

今回、カメラは「演劇の甲子園」と呼ばれる全国大会を目指す演劇部が、2週間後に迫った県大会に挑む日々に密着。大会後、上田はある生徒から「今回の大会で演じた演目を屋久島高校の伝統にしたい」と、思いがけない言葉をかけられた。「信じてやって『この劇が好きだ』って言ってくれることが救い」と語る上田。廃部寸前だった離島の演劇部を全国2位に導き、“演劇にかける青春”を演出する彼女のルールに迫る。

セブンルール

  • 1脚本の舞台は必ず屋久島
  • 2他の部からも役者を探す
  • 3授業に演劇を取り入れる
  • 4大会前に屋久島の人に舞台を見せる
  • 5朝晩 本土の家族と電話する
  • 6うまく演技出来ないときは現場へ連れていく
  • 7本番直前に生徒全員の眉毛を描く