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18時台の特集/バックナンバー

2017年3月7日

再生可能エネルギー なぜ日本では普及しない?

東日本大震災からまもなく6年。

福島の原発事故後、一時期関心が高まりながらも、日本では広がらない再生可能エネルギーについてどうすれば普及するのかを考えます。


 

 

【太陽光パネル販売会社の元社長】

「私のように純粋な気持ちで環境問題から入った人じゃなしに、利益を目的にした人に流れてしまう。非常に利益が取りづらくなった」

 

「環境に貢献したい」と大手建材メーカーを早期退職し、15年前、兵庫県内で、いち早く太陽光パネル販売の会社を設立した男性。

一時は年商2億円を超えたこともありましたが環境意識の高まりなどから企業の参入が相次ぎ、インターネットなどを通じた価格競争が激化。

経営は立ち行かなくなり、去年、会社は倒産しました。

 

【太陽光パネル販売会社の元社長】

「安ければいいという。なんとか踏みとどまらないかんという努力をしたつもりなんですが、結局はそれがあだになった。過当な競争で負けたというか」

 

いま、太陽光関連事業で倒産する企業が増えています。

去年は過去最多の67件となりました。

大きな原因は、「固定買い取り価格」の値下げです。

再生可能エネルギーで発電された電気は、電力会社が、一定価格で買い取ることになっています。

福島第一原子力発電所の事故直後は、普及させる目的もあって、1キロワットアワー40円を超えていた事業用買い取り価格は、現在約20円にまで引き下げられました。

2030年までに再生可能エネルギーの割合を24%にする、という国の目標に対し、現在は、まだ10%程度。

ヨーロッパと比べ、かなり遅れをとっています。

その理由とは…?

 

【在ドイツ日本大使館 川又孝太郎参事官】

「一番必要だなと思うのがまず“意識づけ”ですね。地域の資源を地域のために使うという意識が、ドイツでは非常に一般的で、普通のおじさんでも“なぜ再生可能エネルギーに自分がお金を出すかとというと、地域の経済の活性化になるから”だという認識がすごく強いんですよね」

 

エネルギー先進国と言われるドイツでは、電力消費量の30%以上を再生可能エネルギーで賄っています。

 

ドイツ西部、人口7200人の街、ザーベック。

住民が消費する電力量の実に3.5倍の電力の生産に成功しています。

街の中にも太陽光パネルが目立ちます。

 

【ザーベック市民】

「他の大都市にもモデルになりますよね、小さい街ですけど、自分たちで自給自足しているんです」

 

ナチスドイツの軍事施設跡地を利用したエネルギーパーク。

広大な敷地に2万枚を超えるソーラーパネルが設置され、太陽光発電と、大規模な風力発電、そして生活から出た生ゴミなどを再利用するバイオガス発電が行われています。

 

ドイツでは、日本で起きた原発事故を機に、脱原発と再生可能エネルギーへの意識が高まりました。

太陽光などで生みだした電力のうち、余った分は、原発大国のフランスなど海外にも輸出しています。

 

このエネルギーパークには自治体や民間企業だけなく、ザーベックに住むおよそ400人の住民も出資しています。

根底にあるのは、「再生可能エネルギーにお金を出すことが地域の活性化につながる」という共通した認識です。

 

【ザーベック市民】

「大きな投資家に任せるのが簡単だったと思いますが、そうではなく、住民一人一人が関わることが大事だったのです」

 

【在ドイツ日本大使館 川又孝太郎参事官】

「(市民は)企業よりも利回りについてはそれほどシビアではないというところがありますので、低い利回りでも持続的に回っていくというところでですね、ドイツの方がそういう形では上手くいっている」

 

一方、関西でも、再生可能エネルギーを「地域の活性化」につなげようという市民レベルでの取り組みが始まっています。

 

兵庫県宝塚市の畑の中に立つ、大きなパイプの骨組み。

上には太陽光パネルが取り付けられています。

 

【記者】

「ここはもともと耕作放棄地だったんですが、

下を市民農園として貸出し、上を高床式の太陽光発電にして売電収入。

上と下とで収入を得る仕組みになっているんです」

 

これは、使われなくなった畑を利用して、太陽光発電をする「ソーラーシェアリング」です。

発電しながら、農業を続けることが目的で、この地域だけで6カ所、稼働しています。

出資するのは、主に地元の市民です。

元農家の古家さんも、賛同したメンバーの一人。

持っている休耕田に、1700万円を投じて太陽光パネルを設置しました。

年間およそ6万キロワットアワーの電力を売ることで、150万円ほどの収入が見込まれるため、

ただ畑を使わず放っておくより、有益なんだそうです。

 

古家さんの畑を借りて、本格的に農業を始めた柴田さん。

太陽光パネルが上にあることは、実は農業にもたらすメリットも大きいといいます。

 

【農家・柴田邦雄さん】

「太陽は固定ではないので時間ごとに動くので(パネルの)影も動くんですよ。日差しが遮られるので、夏場は乾きにくくて水やりの頻度も減らせる」

 

柴田さんが、ソーラーシェアリングの畑で育てた有機栽培の野菜は、地元でも「おいしい」と評判です。

 

【顧客】

「あまり野菜が好きじゃないけど、ここのはすごく食べやすい。葉っぱも新鮮だから口の中で咀嚼しやすい」

「素敵やなと思って、ちょっとでも応援してあげようと思って」

 

畑には、農業再生のモデルにしたいと、毎月のように見学者が訪れます。

 

【見学した人】

「パネルやったら農業するのが前提、必須条件なんやね」

【柴田さん】

「遊休農地にこれだけを建てることはできないんで、これを建てたら下をやり続けないといけないので」

【見学した人】

「なるほど、それがポイントやね」

【柴田さん】

「この辺でも高齢化進んできてるので、年配の人たちにはこれを建てて上で稼いでもらって、農業やりたい若い人もたくさんいるので、下は若い人にただで貸してもえたら、農地の保全にもつながるし、若い人も参入しやすいちゃうんかなと」

【見学した人】

「なるほど、一石二鳥やな」

【見学した人】

「農業を維持して発電できるというのは素晴らしいコンセプトやと思います」

【古家さん】

「みなさん農家は後継者がいなくてこまっているわけ。実際うちもそう、彼がちょうど来てくれたからお任せしてます」

 

自然のエネルギーを利用して発電し、利益を得ながら、地域の農業も守る。

こうした市民が自ら実践する「市民発電」が広がれば、太陽光発電は、日本の農業をも救う有効な手立ての一つになるのかもしれません。

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