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18時台の特集/バックナンバー

2017年2月8日

働き方改革〜在宅ワークのメリットと課題

政府が「働き方改革」の柱のひとつに掲げる「在宅ワーク」。

育児や介護をしながら自宅で働けると、いいことづくめにも見える一方で、課題もあるようです。

 

ぐっすりと眠る女の子。

その横では母親がパソコンに向かい、プログラミングを入力しています。

 

【記者】

(これは、何をされているんですか?)

【女性】

「近年電気製品の高密度化、高集積化に伴って重要となってくる放熱のための設計・・・」

 

何やら複雑で高度な仕事を行っているようですが・・・仕事場所は、自宅の和室。

彼女は、「在宅ワーカー」です。


 

安倍政権が掲げる一億総活躍社会の実現に向け、政府で議論が始まった「働き方改革」。

目玉のひとつが、時間や場所を選ばずに働ける「テレワ−ク」や「在宅ワーク」の推進です。

子育てや介護などで家を長時間空けることのできない人が、会社に通勤することなく自宅で第一線の仕事ができると注目の在宅ワーク、そのメリットと課題とは…

 

愛知県豊田市に住む会社員、菅本葉子さん(34)。

大学院を卒業後、大阪府内の大手電機メーカーに就職し、研究開発を担っていました。

結婚後も仕事を続けるため単身赴任するほどのキャリアウーマンでしたが、在宅ワークで同じ研究開発ができる会社があると知り、転職を決めました。

 

 

【菅本葉子さん】

「子供のこと等を考えたいと思いまして。今の社長とちょっと知り合って、在宅勤務で、女性の方は子育てしながら数値解析業務というのを行っていると教えてもらって転職しました」

 

長女を出産した後、夫が今の豊田市に転勤することに。

「夫の転勤」は女性が仕事をする上で大きな壁となりますが、在宅ワークのおかげで働き続けることができています。

 

【菅本葉子さん】

「主人の転勤があって、こっちに引っ越してきたんですけれども、勤務地にとらわれなかったので躊躇することなく家族で移動できて…」

 

菅本さんの会社は、住んでいる豊田市から直線距離で150キロ以上離れた、大阪ビジネスパーク。

仕事の打ち合わせなどはテレビ電話で行います。

菅本さん、子どもをおぶっていますね…

 

 

電子機器開発のデータ解析などに携わる、「シム24(にじゅうよん)」。

大木滋社長(55)が会社の設立にあたり技術者を探している時、頭をよぎったのが、能力がありながら家庭の都合で仕事を断念した、かつて一緒に仕事をしていた、女性たちです。

 

【大木滋社長】

「子育て中で辞めていた同僚がおられまして、その方々に声をかけたら『私もそろそろ働きたかったのでいいですよ』っておっしゃったんですね」

 

在宅ワークは企業側にとっても「優秀な人材の確保」というメリットがあるのです。

 

従業員17人のうち14人が在宅ワーカー。

他社と共同のオフィスで、使用するのは4つのデスクと会議室だけです。

この会社では、菅本さんら在宅ワーカーが自宅のパソコンで行った解析の結果を、本社の大木さんの元に送信します。

パソコンの能力の向上やインターネットの通信速度の高速化によって大容量のデータを自宅から送れるようになったことも、在宅ワークが進化した背景にあるようです。

でもどうやって働いている時間を把握するのでしょう?

【大木滋社長】

「自己申告制です。基本的には、やっぱりきちっとアウトプットを出していただくと」

 

仕事をしない時期が長くなると、進歩に追いつけずやめてしまう人も多かった技術職の女性。

継続して続けることが、将来のキャリアにつながると菅本さんは考えています。

 

【菅本葉子さん】

「きちんとしたこういったプロジェクトでココの部分を担当してもらってというのが長くなると、子育てが落ち着いたあと、もうちょっと仕事を頑張りたいなと思った時にでも、前向きにキャリアを考えられるので」

(Q将来、もしかしたら考えられる可能性もある?)

「まだそんなに、わからない状態ですが」

 

いいことづくめに見える在宅ワーク。

アンケートによると就業者の5割以上が在宅ワークを含む「テレワークを利用したい」と考えていて、30代女性では「子育てと仕事の両立」というのが一番多い理由でした。

 

「食べなさい。全然食べてへんやん」

「まだ時間あるやん」

 

 

大阪府内に住む在宅ワーカー歴5年目の佐多愛美さん(36)。

小学2年生の長男と、保育園に通う長女を持つフリーランスのWEBデザイナーです。

1日の始まりは、子どもたちの朝の支度から。

 

「行ってきまーす」

「いってらっしゃーい。バイバイ」

 

お兄ちゃんの登校を見送り、妹を近くの保育園まで歩いて送り届け…自宅に戻って部屋を掃除と、あわただしい朝を送り、午前9時には、仕事用のデスクにつきます。

 

【佐多愛美さん】

「9時には絶対何が何でもココに座ると決めて、手洗いに行くことも忘れるぐらいめっちゃ集中してますね」

 

 

正午をすぎたあたりで簡単な昼食と、休憩をはさみ再びパソコンの前で集中!

その間、家事は一切なしです。

実は、佐多さんがきっちり時間を割って仕事するのには、ある「理由」があります。

夕方、娘を保育園に迎えに行き、家に戻ると…

 

【佐多さんの長女】

「あ・そ・び・た・い〜!」

(Qこれ以降は仕事は?)

【佐多愛美さん】

「はい。もう一切しないです」

 

家にいても、仕事と家事・育児の時間をしっかりわける…かつて直面した「在宅ワークの課題」から、学びしました。

 

【佐多愛美さん】

「(長男が)保育園の待機児童の時に、3歳のやんちゃな息子が近くでウロチョロする中でパソコンをやっていたんですけれども、やるしかなかったので。ある日、サッカーボールをバーンと後ろから投げられて『僕と遊んで』って叫ばれた時に、私は『うるさい!』って言ってしまって、その瞬間、もう『ダメだコレ』って」

 

子どもがいる前で仕事は出来ない。

家にはそれぞれの「事情」があります。

家ならば24時間いつでも仕事ができる、というわけではないのです。

それ以来、佐多さんは緊急時をのぞいて子どもの前では仕事をしません。

 

(Qお母さんが仕事しているのは見たことある?)

【佐多さんの長男】

「見たことない」

【佐多さん】

「昼間めちゃ仕事してるねんでー」

【長男】

「見てない見てない!その間、給食食べてるから」

 

また、佐多さんは在宅ワークについて「家でできる仕事」という特徴だけが目立ち、家事や育児の合間に「簡単で片手間にできる」と誤解されることに、問題があると感じています。

 

【佐多愛美さん】

「『簡単に稼げる』とか、ちょっとそれをうたい文句にして、家でどうしても働きたい人がそれに流れていくというのが、チラチラ広告を見ていたんですよね。まずは働き方を知ってもらって、自分に合うか、自分の性格・生活に合うか、わかった上で踏み出してほしいなって思いますね」

 

在宅ワーカーの良い点と、難しさの両面を多くの人に知ってもらうことが重要だと考えた佐多さん。

仲間とともに、在宅ワーカーに関心がある人向けの勉強会を定期的に開いています。

 

【在宅ワークに関心のある母親】

「家に親がいるっていう環境が、外に働きに出ているよりもいいのかなと思いがあって」

【在宅ワーカー歴1年半の母親】

「実際やってる方がいらっしゃるのを見て目の当たりにして、おっしゃる通り励みになると思います」

【佐多愛美さん】

「『こういう働き方、大変だよ』っていうことも伝えながら、ただ『自分の働き方にすると女性の大きな味方だよ』っていうところが、少しずつ、気持ちにね、響いてくれたらなっていうのもあってやっていますね」

 

家庭と仕事の両立のため…。

在宅ワークは、働く側の「覚悟」によって、新しい仕事の選択肢となるの
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