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18時台の特集/バックナンバー

2017年1月9日

単なる疲れではない!慢性疲労症候群

大きな原因がないのに極度の疲労が続く方、慢性疲労症候群という病気かもしれません。

【患者】

「話すだけで息が大変」

日常生活をむしばむ”極度の疲労”に、突然襲われた人たち。

 

身近な人にも誤解されて、苦しむことも。

【患者の夫】

「『しんどい』と言われたら『俺も仕事帰ってきてしんどいねん』と返すようなことがありました」

【患者】「喧嘩絶えずって感じ」

全国に患者がおよそ30万人いるとされる病気、「慢性疲労症候群」とは?

 

疲れが慢性化している現代社会。

街で疲労回復法を聞いてみると―。

 

【女性】

「めっちゃ普通なんですけど、お風呂に入ってぬくもる」

【男性】「寝ることですかね。(寝たら疲れは)だいたいとれます。8時間くらい寝ます」

【男性】「半身浴。毎日やってます」

 

どんなにひどくても、数日で回復するのがふつうの疲れですが、寝ても覚めても疲れがとれないとしたら……。

それは「慢性疲労症候群」という病気かもしれません。

 

【医師】

「慢性疲労症候群、筋痛性脳脊髄炎とよばれている病態は、脳神経系の炎症が関係しているということがわかってきました」

 

慢性疲労症候群の主な症状は、常にある「疲労感」。

そのほか発熱や頭痛、体の痛み、睡眠障害、思考力や記憶力の低下などがみられます。

重い病気にも関わらず、はっきりした原因はわかっていません。

 

 

【患者】

「慢性疲労症候群の話を行政の相談窓口にしても『難病指定になっていないので何もしてあげられません、その病気がなんだかわからないので』(と言われる)……私、話すだけでこのように息が大変で……」

 

 

根本的な治療法も見つかっていません。

重症の場合、寝たきりに近い状態になります。

 

【患者(43)】

「疲れたり痛いのがあたりまえの毎日。切れるときがないです。一日も楽なときがない」

 

【患者(51)】
「だるいですね。朝起きた時点から何にこんなに疲れてるんだろうという感じで、動けない」

 

【重症から回復した患者(26)】

「(重症のときは)座っていられない。座位が保てないというか、前か後ろに倒れてしまう。ご飯は座椅子にもたれて食べさせてもらった」

 

大阪・淀屋橋にあるこのクリニックでは、疲労を専門に扱っています。

 

【笠井暁生記者】

「クリニックでは、こちらの疲労度計をつかって疲れを数値化しています。指を差し込み、目を閉じた状態で2分半待ちます」

 

 

疲労度が高まると自律神経のバランスが崩れます。

この機械に、指先をさしこむと心拍数の変動を測定し、自律神経のバランスや活動量を「疲労度」として示すしくみです。

 

【医師】
「なかなか良好な結果です。全然疲れてなくてすごい健康です」 

自律神経の活動量は3ケタを記録し、「良好」という結果になりました。

しかし、年をとって60歳代になると2ケタに下がるこの数字が、慢性疲労症候群の重症の患者だと、年齢にかかわらず2ケタに下がる傾向があるといいます。

大学で疲労を研究していた中富康仁院長は、疲労を訴える患者が何ヵ月も待つことになる大学病院より気軽に診察を受けられるように、このクリニックを開きました。

 

【中富院長】

「疲れがない方はいらっしゃらないと思います。ただ、程度が広いので(病気かどうかは)判断が難しい。睡眠がとれないとか、疲れがたまっていくのは危険。仕事に影響でるとか月に何度か欠勤するとか、予定していたことができなくなるのは(症状が)かなり進んだ状態」

 

早川八栄さん(45)。

大学卒業後すぐに調子を崩し、今は外出するときに車いすが必要です。

年に数回、大学病院で診察を受けています。

 

 

【医師】

「一番困ってるのは息切れ?」

【早川さん】

「息切れ。あとは強心薬飲むようになってましになったんですけど、冬になって気候においつけず11月からかなり動けていません」

【医師】

「晩御飯はご主人が帰って来てから準備が始まるの?」

【早川さん】

「仕事が遅い時は、車で連れて行ってもらって外で食べたり」

【医師】

「ふだんはご主人が準備する?」

【早川さん】

「そうです」

 

夫の智仁さん(42)は、つねに八栄さんの診察に付き添っています。

病名がわからず精神科に通っていた頃は「妻は怠けているのではないか」と思ったこともあります。

 

【智仁さん】

「しんどいのが当たり前、熱あるのが当たり前と慣れてしまってた。『普通に家事ができないのはなんでやねん』と怒ったり、『しんどい』と言われたら『俺も仕事帰ってきてしんどいねん』と返すようなこともありました」

【八栄さん】

「喧嘩絶えずって感じ」

【智仁さん】

「『なんでこんなことできへんねん』とかひどい言葉を散々かけてきたなと思う」

 

 

八栄さんは、学生時代から憧れていた保育士の仕事に就いてすぐ、発熱などの症状が始まりました。

「慢性疲労症候群」の診断を受けたのは、それから16年も経ってからのことでした。

 

【八栄さん】

「(大阪市大で)特殊検査を受けて、いくつか異常が出て、それで初めて夫が『あっ』て思った感じです」

【智仁さん】「やっぱり病気やったんやということがわかって、それからですね。安静にすることが第一の薬やとわかって。それから家事も、僕ができることは全部しようと思えるようになりました」

 

【八栄さん】

「もっと早くに診断受けていて、積極的な治療はないにしても、安静に保つとか、漢方薬で対症療法的なことするっていう重症化が防げたかもしれないって言うのが一番悔しい」

 

八栄さんの主治医、倉恒弘彦(くらつねひろひこ)教授は疲労研究の第一人者。

倉恒教授によると、疲れて生活に支障が出ている人の中で、とくに次のような症状があれば「慢性疲労症候群」の疑いがあります。

 

【チェックリスト】(研究班の臨床用診断基準より)

□体がだるく、今までできたことがやりにくい

□少し動くだけで強い疲労、だるさに襲われる

□不眠や過眠などの睡眠障害があり、熟睡できない

…これら3つの症状が半年以上続いている。これに加えて…

□思考力や記憶力が低下するか、めまいや立ちくらみがある。

 

 

倉恒教授によると、こうした場合は一度、専門医の診察を受けた方がいいということです。

 

【倉恒教授】

「簡便な臨床診断基準のチェックは、日本のどこの開業医の先生、市民病院の先生、いわゆるプライマリーケアを担っている先生ならできる」

 

また、倉恒教授たちは病気の治療につながる糸口を3年前に発見しました。

黄色く光っているのは、慢性疲労症候群の患者にみられる脳の内部の炎症のようす。

炎症のできる部分と、疲れの強さや記憶力・思考力の低下などが関連しているとわかったのです。

 

【倉恒教授】

「もしも脳神経系の炎症が慢性疲労症候群の患者さんの特徴的な病態であると位置づけることができれば、それに対する診断法・治療法というのは必ず開発できると思う。そうすると大きな前進になります」

 

 

【患者・早川八栄さん】

「1人でもわかってくれる人がいると思うと、それは全然患者にとっては生きていくとき楽になる。支えになる。そういう意味で、たくさんの人に知ってもらいたいです」

 

重い病気を克服しようとする患者たち。

病気への理解が広がることを願っています。

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