京都・美の創造者

伝統が息づく文化都市「京都」を支えてきた職人や文化人の姿に迫る60分。芸術が紡いできた1200年の伝統を学び、文化の防人(さきもり)が後世へ受け継ぐ瞬間を感じてください。

京都の伝統の系譜。この映像化に挑む異色の番組、それが「京都・美の創造者」です。万世、連綿と受け継がれてきた様々な京都文化。その伝統を担いし「美の職人や文化人」に迫る至極のひととき。生粋の京都人自らが、その雅や趣を視聴者の五感に響かせます。芸能、工芸、建築、華道、茶、画、数えればきりがない京都の伝統文化を総力取材。生活が多様化した現代社会で、伝統を守りながら新たな美の創造する職人や文化人に迫り、第一人者になったまでの足跡、我が子への技術を伝承する様子に密着します。

2012年5月23日

京刃物職人・今井義延

今回の美の創造者は、京都の職人に認められる職人 京刃物職人 今井義延さん です。 京都の伝統工芸を影で支える職人、それが京刃物職人の今井義延さんです。京都の中心部の喧騒から離れた京丹波に工房を構え、京刃物を作り続ける職人。 古くから日本の文化の中心として繁栄してきた京都にあって、仏像などの木工芸や扇子、竹工芸や京大工など、職人の芸術作品には欠かせない京刃物は、職人にとって体の一部のようなもの。今井さんは今日も、職人のために炎と格闘し、刃物を創ります。 「今井さんにまかせておけばよい」、そう職人から全幅の信頼を受ける今井さん。しかし、「お客さんが教えてくれる」と、今井さんは日々、職人から京刃物の真髄を学んでいます。職人のニーズに日々応えること、それが伝統を紡ぐこと。長年、そうした思いを胸に、切れ味を磨いてきました。 今回、番組スタッフが工房にお邪魔し、その作業工程はもちろん、他にも様々な熟練された職人たちを取材し、京刃物を取材しました。 「看板や何代目なんかどうでもよいんです」と話す今井さん。職人の手先を一番に考えてきた今井さんにしか言えない、非常に重い言葉です。京都の伝統産業の名わき役、京刃物。「職人に認められた職人」、今井義延さんに迫ります。


2012年2月25日

唐紙師・千田堅吉

今回の美の創造者は、江戸時代の味わい深い文様を板木を通して現代に伝える唐紙師 千田堅吉さん です。 今回は、江戸時代から先祖代々伝わる味わい深い文様を、板木に込めて現代に伝える、唐紙に迫ります。京都にある「唐長」の11代目当主 千田堅吉さんは、300年以上続く唐長の歴史が生んだ650ほどの板木で、日々新鮮な文様を生みだしています。普段、京都で暮らしているうえで培う感性を、いかに和紙の色に投影するか、千田さんの思いはそこにあります。 京都で感じる「はんなり」とはいったい何なのか。千田さんは作品を作る際、常にこの「はんなり」を表現することに注力します。京都の自然から感じる感覚的な色、そして先祖代々の文様との融合が、新たな現代アートとなり、全国の人々に受け入れられています。 赤、青、黄の三色だけで、頭に思い描く様々な色を創りだしていく千田さん。奥に潜む、深みのあるきれいな色と、みための渋さ、これが「はんなり」につながると千田さんは断言します。 番組では、未来の唐紙を担う11代目の長男、長女の活動もご紹介します。脈々と受け継がれてきた文様に、それぞれが独自のかたちで、日々新たな命を吹き込んでいます。


2012年3月24日

伏見人形職人 大西時夫

粘土で型を取り、窯で焼いて彩色するという、伏見人形の伝統技法を守り続けるひとりの職人。 かつて江戸時代に、ここ京都・伏見界隈を彩った数々の窯元も、現在は大西さんのみ。 それでもこの窯と伝統を継承し続ける7代目、大西時夫さんに迫ります。 時は江戸時代、寛延年間に創業したとされる伏見人形「丹嘉」。当時から先祖代々伝わる人形の命ともいうべき「型」が、そこにはあります。その時代ごとに、職人たち自らの渾身の筆入れにより、型に新たな命を宿し、京都の生活に彩りを与えてきました。 京都だけではありません。かつて政治・分化の中心地だった京都から、これらの人形は全国各地に伝播していきました。伏見人形は、日本各地に定着し、郷土人形の原型となりました。番組では、大西さんと共にその変遷を探ることにしました。そこには以外な事実がありました。 大量生産の時代にひときわ光り輝く職人の技術。そんな大西さんの手先を、真剣なまなざしで見つめる2人の息子にも迫ります。伝統継承を「駅伝のたすき」に例える大西さん。 人々に笑顔と縁起を呼ぶ伏見人形たち。この番組は、命ある人形作りに全力で駆ける、あるひとりの職人の残像です。


2012年2月25日

京瓦師・浅田晶久

今回の美の創造者は、京都の伝統的な瓦屋根を守り続ける京瓦師・浅田晶久さん。 平成の京都に今も残る、味わい深い寺社仏閣、古民家の数々。 瓦に目を転じてみると、京都の守り神、鍾馗(しょうき)が地上を見ていることがよくあります。 今昔変わりない京都の町並みを彩る、伝統的な京瓦。その瓦を家族代々作り続ける職人がいます。 浅田製瓦工場の浅田晶久さんはここ京都で、100年前から何一つ変わらない工法で、京瓦を作り続ける職人です。 魔除けとして京都に根付いている浅田さんの鬼瓦は、その顔面の迫力で、見る者の心を奪う力を持ちます。その瓦づくりに対する並々ならぬ思いを、ディレクターが密着してお話を伺いました。 京都の瓦が持つ力とは、瓦が持つ魅力とは、鬼瓦という芸術とは。普段の生活で、すっかり触れることのなくなった瓦、今改めてその意義を語ります。 さらに、若くして京瓦師になるために入門したお弟子さんにも心境を語っていただきました。 数少ない京都の伝統工芸をいかに若い世代に引き継いでいくか。浅田さんは大学と連携し、様々な取り組みで、自らの技術を伝承しようとしています。職人の飽くなき挑戦は、今後も続きます。


2012年1月21日

箔工芸作家 裕人礫翔

今回の美の創造者は、箔工芸作家の裕人礫翔(ひろと・らくしょう)さん。 京都・西陣で培った箔工芸の伝統技術を土台に、国内外の貴重な美術品の複製や創造的なアート作品づくりを手がける箔工芸作家として世界を翔るその姿に密着します。 京都市街の北西部にあり高級絹織物「西陣織」の産地で知られる西陣。 長い織物の歴史を持つ西陣には、高度な専門技術を持った職人たちが数多くいる。 西陣の一角に工房を構え、「箔工芸」という技法を継承する伝統工芸士であり 作家でもある人物、裕人礫翔さんもその一人。 西陣の帯などの模様を彩る金銀模様箔を製造する父の仕事を受け継ぎ、 伝統工芸士としてその高い技術力のさらなる向上に尽力するも、和装離れの現実に対して 「このままで本当にいいのだろうか?西陣の素晴らしい技術は他の分野でも活かせるのではないだろうか?」と考えた礫翔さんは、西陣の仕事から身を置き、箔工芸の作家、アーティストとしての可能性にかける決断をする。 番組では、西陣の町並みや、箔工芸の伝統技術を紹介するとともに、礫翔さん独自の取り組みとして、西陣で培われた伝統技法と最先端のデジタル技術とを融合して実現させた国内外の貴重な美術品を彩る金箔部分の複製作業や、美しい金銀箔の創造的なアート作品にも触れ、さらには、2011年11月に行われた、世界一とも呼ばれるアメリカの高級デパートでの作品披露の様子にも密着した。


2011年12月24日

華道家 笹岡隆甫

未生流笹岡家元の華道家 笹岡隆甫(ささおか・りゅうほ)さん。今後の華道界を担う若手の第一人者として広く活躍するその姿に密着します。自然を愛し、花を愛でる日本人の美意識。花の移ろいに人の一生を重ね合わせる華道は、日本人の深い精神性をあらわすもの…。大正時代創流の未生流笹岡は、「理論派の華道」と呼ばれる。寸法の入った図面を用いる手法は初心者にも広く受け入れられ、その体系的な教え方が未生流笹岡の大きな特徴でもある。2011年11月27日に未生流笹岡三代家元を継承した笹岡隆甫さんは、科学的な視点でいけばなを解き明かし、理知的で爽やかなそのさまから華道界のプリンスとも呼ばれている。いけあがる過程を舞台で披露する「いけばなパフォーマンス」は、隆甫さんが取り組む活動のひとつで、伝統文化離れの現実に対して独自の視点でその普及に取り組み、新しい舞台芸術としてのいけばなの可能性を追求し、世界に向けても発信している。番組では、いけばなのルーツや美の法則を隆甫さん本人が明快に解説するとともに、華道にゆかりの深い場所でのいけばなの実演や、先日行われたばかりの家元継承披露宴の様子にも密着した。

2011年11月24日

金属工芸作家 植田参稔・千香子

今回の美の創造者は、1枚の金属板から美しい造形をつくりだす「鍛金」の分野で活躍する金属工芸作家 植田参稔さん・千香子さん親子に密着します。 弥生時代に中国大陸や朝鮮半島より日本へ伝わった鏡や剣などの金属工芸品。 その後、祭事に用いる道具を中心に、東大寺の大仏や貨幣の製造にも金属工芸が用いられ日本独自の発展を遂げる。 そして、京都では平安時代の王朝貴族文化の繁栄、茶の湯や仏教の発展などにより独自の優雅なデザインが生み出されてきた。 金属工芸の分野の中でも「鍛金」という技法は、金属がのびたり、拡がったりする性質を利用して加工する技で、最大の特徴は、力感、量感あふれる作品にかかわらず極めて軽量に作ることができ、実用性に富むこと。 近年、生活様式の変化などで、手づくりの金属工芸品の需要が落ち込み技術を継承できる職人が減少している。 そんな中、京都で「手づくりならでは」の作品づくりを続ける植田参稔さんと千香子さん親子。 技術継承が危ぶまれる伝統工芸の分野で「手づくりの良さ」と「伝統の技」を父から娘、そして次の世代へ… 番組では、女性でありながら伝統工芸の世界に飛び込んで独自の世界観を表現する千香子さんと、およそ40年鍛金一筋で、確たる技術を次の世代に継承する参稔さんの強い想いに迫るとともに、1枚の金属板からひとつの作品ができあがるまでの工程に密着する。


2011年11月23日

ガラス工芸作家 石田知史

今回の美の創造者は、ガラス工芸作家・石田知史(いしだ・さとし)さん。 新しい「和のガラス工芸」に挑むその姿に密着します。 「パート・ド・ヴェール」とは、フランス語でガラスの練り粉(ねりこ)を意味し、紀元前16世紀にメソポタミアで発明されたガラス工芸の技法。 しかし、紀元前1世紀に吹きガラスが発明されると量産には不向きなパート・ド・ヴェールは急速に衰退。 1880年代にフランスで復興されるも、その技法が秘密にされたために、伝承が途切れる。 ふたたび途絶えた「パート・ド・ヴェール」の技法は、西陣織などの京都の伝統文化を支えてきた図案家、石田亘さん・征希さん夫婦の手によって研究開発され、緻密で繊細な格調高いガラス工芸品として蘇ることに。 ガラス工芸作家の石田知史さんは、そんな伝統的な図案家の両親のもとに生まれ育つ。 進むべき道に迷い、時には2年にも渡って世界中をめぐる一人旅に出ることで自分自身や京都、そして日本を見つめ直し、やがて自らもパート・ド・ヴェール作家になる決意をする。 西洋の技法に和のテイストを刻みこみ、独自の手法で表現される美は、やわらかく、あたたかい。 番組では、パート・ド・ヴェールの技法やその作品を紹介し石田知史さんの伝統工芸に対する熱い想いに迫る。

  • 1971年、京都府生まれの漆工芸家。京塗師の三代三木表悦の長男。
  • 1995年、京都市伝統産業技術者研修漆器コース本科修了。
  • 1998年、香川県漆芸研究所修了。同年、第45回日本伝統工芸展初入選。
  • 他にも日本伝統工芸展、伝統工芸近畿支部展、煎茶工芸展に入賞・入選。
  • 2010年、京もの認定工芸士に認定。

2011年11月22日

庭師 小川治兵衞

今回の職人は、庭師・小川治兵衞さん。 260年の歴史を受け継ぐ造園「植治」の十一代目として活躍するその姿に密着します。 江戸時代の宝暦年間から260年の歴史を刻む造園「植治」。 施主の想いと、自然を敬う心を庭造りにこめてきた。 武士でありながら造園家を志した初代以降、当主は代々小川治兵衞を襲名し、現在で十一代に至る。 中でも、中興植治と呼ばれる七代目小川治兵衞は日本庭園の作庭のあり方を大きく変えた功績を持つ。 流れる水、いわゆる「生きた水」を庭に取り込みさらには庭全体を明るく開放的にすることで古来の侘び寂びだけではない、新たな庭を創造したのである。 歴代が大切にしてきた想いは七代目のひ孫である十一代小川治兵衞さんにもしっかりと受け継がれている。 小川さんは言う、「自分の庭をつくっているんじゃないんです。あくまで施主さんのお好みに合わせて庭をつくること。そして、失われかけている自然を大切にした庭造りを心がけ、それを、見る人に五感で感じていただきたい。」 番組では、次代を担う長男勝章さんの新たな挑戦や、施主の声なども紹介しながら七代目小川治兵衞が手がけた庭や、十一代小川治兵衞さんが自ら手掛ける庭への熱い思いに迫る。


2011年9月24日

漆工芸家 三木啓樂

今回の職人は、漆工芸家・三木啓樂さん。 父親から京都の漆工芸を受け継き、生生発展させる4代目の姿に密着します。 日本人の精神性を表す伝統工芸、漆器。 国外では「japan」と翻訳されるように、日本の代名詞として世界中で存在感を放ち続けている。 なかでも京都では「京漆器」と呼ばれる独自の技法が、人々の生活に寄り添うように育まれてきた。 漆の家に生まれ、正面から漆工芸に向き合い、その道を究める職人が、京都にはいる。 今回は、三木家の4代目として、京漆器の伝統を守りながらも、独自の世界観を確立する三木啓樂さんに迫る。 江戸時代後期から明治にかけて京都で活躍した漆芸の名工、木村表斎の流れを受け継ぎ、明治から平成へと、わびさびを籠めた漆器を制作してきた三木家。 優れた技術力で、皇室調度品も手掛けた初代・表悦、初代の気風を受け継ぎながらも、より作家性を強めて格調高い作品を創りだした二代、日本の高度成長期につくられた船舶の内装を優美に飾る漆画の分野でも活躍してきた三代、初代から三代まで、それぞれが独特の技法や発想で味わい深い漆器を残してきた。 そして四代目と呼ばれる啓樂さんは、若手時代から京都の外でも漆工芸を学ぶことで、新たなイズムを吸収、発展させてきた。 番組では、古くからの伝統を守る漆掻き(うるしかき)と呼ばれる漆採集の現場の人々、同世代の職人たちなど、彼が漆とともに歩んできた、その半生に迫る。

  • 1971年、京都府生まれの漆工芸家。京塗師の三代三木表悦の長男。
  • 1995年、京都市伝統産業技術者研修漆器コース本科修了。
  • 1998年、香川県漆芸研究所修了。同年、第45回日本伝統工芸展初入選。
  • 他にも日本伝統工芸展、伝統工芸近畿支部展、煎茶工芸展に入賞・入選。
  • 2010年、京もの認定工芸士に認定。

2011年7月24日

数奇屋大工 木下孝一

茶の湯と数寄屋大工には、その昔から切っても切れない関係がある。 安土桃山時代、茶の湯の創始者・千利休は、藤五郎という数寄屋大工に絶大な信頼を寄せた。 時は流れて平成。数々の茶人に引く手あまたの「平成の藤五郎」が木下棟梁、その人だ。 「500年後に評価される仕事をしたい」。その思いを胸に、木下棟梁は遥か彼方を見据え、現場に立つ。 コンクリート建築が主流の現代で数寄屋造りの伝統工法を貫き、後世への伝承に熱意を注ぐ棟梁。 これまで鹿苑寺・金閣や慈照寺・銀閣寺の茶室を担ってきた職人が、その金閣寺・銀閣寺の茶室への並々ならぬ思いを力説。 京都の根底に横たわる茶室の伝統建築と、それを後世に受け継ぐ棟梁が秘める信念とは。 近年、ガンの宣告を受けながらも、ある巨大プロジェクトを進めようとしている木下棟梁。 その驚きの全容にも迫る。

  • 1931年、石川県生まれ。
  • 16歳の時に大工を目指して京都へ。
  • 当時は東本願寺のような大規模な建築にあこがれていたが
  • 仁和寺の茶室「遼廓亭」と「飛濤亭」に感銘を受け、23歳で数寄屋大工の平井滋造氏に師事する。
  • 1966年に数寄屋師として独立。
  • 1989年に数寄屋研究所心傳庵を設立。
  • 酬恩庵一休寺の茶室や大阪城黄金の茶室、金閣寺の茶室「常足亭」などを手掛ける。
  • 京都府伝統産業優秀技術者表彰、「お寺のチタン屋根」2003年度グッドデザイン賞、日本建築学会文化賞、2009年度現代の名工などを受賞。
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