ザ・ドキュメント

2014年3月22日(土)深夜1:35~2:30

企画意図

定期的な健診を受けないまま出産間際になって病院に駆け込む「未受診妊婦」が、大阪府だけで年間300人を超える(2012年度大阪産婦人科医会調査)。なぜ多くの女性が、リスクの高い妊娠・出産をせざるを得なかったのか?産婦人科の医療現場を取材し、未受診妊婦の様々な実情と、その背景にある進行中の社会問題について考えていく。

番組内容

大阪市西淀川区にある千船病院は、新生児集中治療室を持つ「地域周産期母子医療センター」として、母体と新生児搬送を受け入れている大阪市の準基幹病院のひとつ。年間分娩数は1400~1500件あり、近畿一円の母子救急の受け入れも行なっている。未受診妊婦が搬送されることも多く、去年11月から12月の1ヵ月余だけで、10件以上の未受診妊婦による、いわゆる「飛び込み出産」があった。

同病院・産婦人科の岡田医師は、「妊婦健診を受けてないと母体も胎児も状態が分からない。母子ともに様々な病気や異常が起きるリスクが高いという医療的な問題と、女性たちが妊婦健診を受けられない何らかの背景をもっている社会的な問題がある」という。

取材に応じてくれた当時者が、未受診妊婦になった様々な事情をカメラに語った。
30代の女性は、体を壊してから仕事が見つからず経済的に追い込まれて住居も無くなり、深夜営業の店を転々としながら暮らしていた。そんな中で、たまたま妊娠をしてしまう。しかしお金が無いので、妊婦健診を受けないまま飛び込み出産をした。
10代の未婚女性は、前に妊娠した時、若過ぎるという理由で親の反対があり中絶した。今回2度目の妊娠、妊婦健診を受けると親に知られることを恐れ、中絶できなくなるまで周りに隠していたという。
未受診妊婦たちが、望まない、あるいは望まれない妊娠・出産を孤独に迎えていたことが分かる。

調査結果は、より深刻な現実も明らかにしている。「未受診」と「児童虐待」の関係だ。未受診妊婦が、産んだ子の虐待をするわけではない。しかし、未受診妊婦が抱える貧困の問題や複雑な家庭環境といった背景が児童虐待を生む恐れを、識者は指摘している。
親に子どもの養育が困難と判断されると、新生児は病院から乳児院へ預けられる。乳児院を取材すると、そこは家庭問題やネグレクト・虐待が原因で預けられる子が多く、中には未受診で産まれた子も含まれていた。

望まれず産まれてくる子や、親の愛情を受けられない子たちを無くすには何が必要なのか?尊い“いのち”を授かったにもかかわらず、誰にも見守られることなく、孤独の中で苦しむ女性を救うために何ができるのか?番組の問いかけは続く。



企画・制作協力 インディネットワーク

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