2012年9月16日(日) 深夜0:55~1:50
ずっと、笑顔で生きてゆく
~和歌山県紀伊勝浦町 豪雨災害から1年~

ずっと、笑顔で生きてゆく ~和歌山県紀伊勝浦町 豪雨災害から1年~

番組内容

和歌山県那智勝浦町に、通称・那智谷と呼ばれる集落がある。緑豊かな山々に囲まれた美しい那智谷の姿は去年9月一変した。紀伊半島を中心に大きな被害をもたらした台風12号。那智勝浦町では至るところで土石流が発生し、町内で死者28人、行方不明者1人を出す大災害となった。
岩渕千鶴さんは、一緒に住んでいた孫の紘明くん(当時中学3年生)と夫の三邦さんを亡くし、今は仮設住宅で1人で暮らしている。三邦さんも紘明くんも笑顔の絶えない人だった。だから千鶴さんも、めそめそしていたらいけないと自分に言い聞かせ笑顔で生きていこうとしている。
同じ仮設の住民たちも岩渕さんの笑顔の源だ。みな同じ地区の顔なじみなので、家族のように助け合って生きている。岩渕さんの家に毎日遊びに来る小学2年生の亜久里くんは孫のような存在だ。紘明くんは地元の公式野球チームに所属し野球に打ち込んでいた。紘明くんのグローブを今は亜久里くんが使っている。
9月4日未明、町長室で指揮をとる寺本眞一町長に、妻の昌子さんから、娘の早希さんが流されたと電話が入った。それが昌子さんの最後の言葉になった。早希さんは流された当日結納を迎えるはずだった。2人の家族を亡くした寺本町長。それでも休みを取らず復旧活動にあたり、2人の葬儀を営むことができたのは1か月後だった。
寺本町長は役場の近くに1人住み、この1年遊びに出かけることはほとんどなかった。住民から不安の声が上がれば駆けつけたり、定期的に東京へ行きインフラ整備の要請をするなど仕事に明け暮れる毎日だった。最近ようやく趣味の釣りを楽しむ時間ができた。
災害から1年。岩渕さんと寺本町長は、新しい一歩を亡き家族に誓う。