ザ・ドキュメント

2012年8月4日(土) 深夜1:35~2:30

企画意図

先の戦争で多くの民間船が国に徴用されたことはあまり知られていない。
徴用された船は資源や軍需物資、兵員の輸送などのために、戦地の島々を行き来した。一般の商船のほか、外洋の航行には向かない小さな漁船なども徴用され、戦況の悪化にともない消耗品のように送り出されていった。
戦没した民間船は約7000隻、このうち2500隻が大型の商船で4500隻が小型船である。徴用された船や船員について、政府はこれまで十分な実態把握をしているとは言えない。
戦地に赴き、軍人と同じような危険な任務を強いられても、戦争が終われば忘れられてしまうことに、悔しい思いをしている体験者や遺族も多いという。

番組では、一般には知られていない戦時下での民間船の徴用の実態について知るため、体験者や犠牲者遺族を探し求め取材を行った。当時を知る人たちが年々少なくなる中での証言は貴重なものになるだろう。証言に客観的な資料も照らし合わせながら、民間船徴用の実態の一端を明らかにし、戦争の悲惨さについて思いをいたす番組としたい。

取材を終えて ~豊島ディレクター

取材を進めると、戦争のことをことさら大事件のように言わない小型船の元乗員たちの話しぶりに、不思議な印象を受けました。
取材の中で聞いた体験談は、内容を考えればどれも激烈なものです。しかし、皆さんの語り口は静かでした。朴とつな漁師や機帆船乗りの話を聞いていると、戦争もまた海で起きた一つのできごとに過ぎなかったのかもしれない…、そこまで海とは大きな存在だということなのかもしれない…と、そんなことも感じました。

戦争を軽く見るわけではありません。しかし、多くの人にとって戦争が嫌だと言って始まるものではない時代だったということも本当だと思います。時代の流れに背く術もない小さな存在である自分を静かに見つめているというのが、海に親しみ、戦争も海を通して体験した人たちなのかもしれないと、取材を通して感じました。

スタッフ

撮影:本郷毅
撮影助手:中谷圭佑
編集:日下修平
MA:中嶋泰成
効果:西原長治
ディレクター:豊島学恵
プロデューサー:加藤康治

制作著作:関西テレビ放送

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