ザ・ドキュメント

2012年3月10日(土) 深夜1:35~2:30

語り

門田裕(関西芸術座)

企画意図

東日本大震災とその影響で発生した、福島第一原子力発電所の事故によって福島県から県外に避難した人は、約4万2千人に上る。それから1年が経とうという中、多くの人たちは、1日でも早く故郷へと戻りたいと考えているが、原発事故の収束に向けた動きは遅々として進まないうえ、放射性物質を取り除く除染作業も十分とは言えず、避難を続ける人は少なくない。

福島第一原発の30キロ圏内の南相馬市を離れ、神戸に避難したある家族は、南相馬市職員の父親だけが地元に残った。復旧・復興への激務に疲れ、日々遠く離れた家族への思いを募らせている。また、避難した家族も、ひとり残る父や故郷への思いが頭から離れることはない。そんな家族にとって、「復興」とは原発事故が収束し、元の生活に戻ることだ。家族が再び一緒に暮らせる日はいつになるのか。
家族の日々と南相馬市の現状を取材することで、震災と原発事故からの復興について考えたい。

企画内容

東日本大震災の直後に発生した、福島第一原子力発電所の事故。鈴木さん家族は、放射線の影響を恐れ、子どもたちを守ろうと原発から30キロ圏内の福島県南相馬市から親戚を頼って神戸に避難してきた。当初は慣れない生活に戸惑いもあったが、神戸の人たちは親切で、近所の人にもよくしてもらい、落ち着いた生活を送ることが出来ている。

家族にとって忘れられないのは、故郷に一人残っている父・規仁さんのことだ。市の土木課に勤務する規仁さんは、その使命感から一人地元にとどまることを選んだ。原発の20キロ圏内に入って道路の補修作業をしたり、除染作業に従事したりと、休みもほとんどとれないまま激務に身を投じている。

小学2年の長女・綾乃ちゃんは幼いながらに父を励ましたいと思い、千羽鶴を折ることを決めた。すっかりなじんだ神戸の小学校で、全校児童の協力を得てできあがった千羽鶴は、故郷の父や友人たちに宛てて届けられた。綾乃ちゃんはいつかまた、地元の友人たちと遊びたいと願っている。

ことし9月には南相馬市を含む、原発から30キロ圏内の緊急時避難準備区域が解除され、学校も再開し、市民が戻ってくるよう条件は整えられ始めた。しかし、現実には市内の放射線量は絶対安心といえるレベルでもなく、故郷に帰ることはできないと考えていた。 そうした中で、母・尚子さんは、南相馬市に留まっている友人から、元の生活に戻ろうと復旧・復興に向けて、みんなで努力をしているという話を伝えられる。故郷から自分たちだけが孤立しているように感じるようになった。

そのころ、南相馬で働く父・規仁さんも悩みを抱えていた。休みもとらず、最愛の家族とも離れて必死で仕事を続けているが、復興に向けた除染などの作業は思うように進まず、市民からの厳しい言葉が届く。同じ苦しみを抱える被災者でも、市の職員に向けられる視線は厳しい。家族を避難させていることもうしろめたく感じてしまうことさえもある。
阪神・淡路大震災の被災地である神戸市に避難してきた、東日本大震災、原発事故の被災者。「故郷には帰りたいが、放射線の不安が無くなるまでは帰れない」というジレンマの中、どのような生活を送り、どういった将来の選択をするのか。

「家族とともに故郷で暮らす」-あの日まで当たり前だった日常を夢見る、ある家族の一年。


協力:福島テレビ
素材協力:FNN

スタッフ

撮影:松田博之、山本和良、高岡淳二、中ツル暢子
VE:山本和良、山下隆司、森本真毅、満木寿夫、増田弘一、俵 海太
編集:片野正徳
MA:中嶋泰成
効果:三浦智子
タイトル:タイトルエイト
プロデューサー:土井聡夫
ディレクター:藤田裕介

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