ザ・ドキュメント

2007年8月28日(火)

番組内容

『発掘!あるある大事典II』での捏造発覚。その行為が生まれた構造的な背景への不信が募り、その後の対応でも「どこを向いているのか」と厳しく問われた。自社の不祥事を目の前にし、記者も悩んでいた。「普段どおりの報道をすべきだ」「報道といえども経営判断が優先する」「電波はいったい誰のものなのか」。根源的な問いを胸にアメリカのメディア事情を取材した。

●コーポレートメディア

アメリカのテレビは、NBC、ABC、CBS、FOXなどのネットワークのほかに、ニュース専門チャンネルのCNNなどケーブルテレビも幅広い視聴者を持つ。1996年の法改正以来、段階的にメディア所有の規制緩和が進み、今では、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、映画など主要メディアを、6社の巨大企業が牛耳る構図になっている。大手メディア所有の集中は言論の多様性が失われる恐れがあり、アメリカ国民の評判は悪い。人々は大手メディアのことを「コーポレートメディア」と呼んでいる。そして「株主の利益を満たさなくちゃいけないメディアだ」と口を揃えた。

●独立系メディアの健闘-「デモクラシーナウ!」

毎朝8時からケーブルテレビやコミュニティラジオなど約500局で放送されている「デモクラシーナウ!」アンカーを務めるエイミー・グッドマンさんは常にグローバルな視点で内政や国際情勢を伝えている。9・11の直後も愛国主義に流されなかった。エイミーさんは、「独立系メディアは絶対に必要です。必要なのは権力について報道するメディアです。権力のためにではなく。そして草の根活動を世界に広げていく。コーポレートメディアは潤沢な予算があるのにそこに声を与えていない」と語る。「デモクラシーナウ!」の運営はほとんどが寄付で賄われ、企業や政府からの援助は一切受けていない。刑務所の囚人からも5ドルの献金があるという。

●マスコミと市民メディア

インターネットの隆盛で、広告費の分配に変化がおきているのは日米ともに同じだ。このため従来の大手メディアが大衆迎合主義に陥り、人々がますますインターネットに流れるという悪循環を起こしつつある。こうした隙間を独立系の人々が埋めている格好だ。
CBSのエグゼクティブプロデューサー、スーザン・ジリンスキーさんは自問自答する。「確かに私たちは広告と視聴率の強烈なプレッシャーの中にいる。それでも社会問題に取り組んだ番組にも挑戦している。ところが数字がついてこない。テレビの前に人がいない。それじゃあ誰のために作るの?自分のため?」と。大手メディアが良質な報道番組をつくっても、従来と違い、大多数の視聴者の支持を得られない現実がある。
アメリカの大手メディアが抱えている問題は、日本の大手メディアが抱える問題と共通する点も多い。アメリカの人々は、これ以上の合併は認めるなと議会や FCC(連邦通信委員会)に声を上げ始めている。メディアの問題を国民的課題にし、「知る権利」を守らないと他の重要な問題にも響いてくるからだ。

何か言いたいことがあればケーブルテレビの「パブリックアクセスチャンネル」を使っていつでも誰でも発信できる。ブログでもYouTubeでもいい。発信する裾野が広ければ広いほど健全な民主主義を支える屋台骨となる。日本でもこうした考え方が広まりつつあり、市民メディアが盛りあがりを見せつつある。

今回、取材班は多くの人に尋ねた。「電波は誰のものだと思いますか?」と。 こんな当たり前の問いの意味を一緒に考えてみませんか。

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