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18時台の特集/バックナンバー
目次 › 2014年9月5日放送の18時台の特集/バックナンバー
北朝鮮再調査…“日本人妻”たちの帰国は?
特集は、北朝鮮が約束した日本人の再調査です。
今回、注目するのは「日本人妻」です。
「日本人妻」とは、在日朝鮮人の男性と結婚し、その後、夫の帰国に伴って北朝鮮に渡った日本人女性のことです。
こうした「日本人妻」はおよそ1800人いると言われています。
北朝鮮が行う再調査では、拉致被害者や特定失踪者だけでなく、この「日本人妻」も調査の対象に含まれます。
家族たちの声を聞きました。


【田代かず子さん(69)】
「これが姉ですね。笑っていませんでしょう?ひきつったみたいに、顔がね」

日本から北朝鮮に渡った姉は、ことし81歳になりました。

 

【田代かず子さん】
「我慢強いんでしょう。81になるまで存命しているってことは、強い運勢を持っているんでしょう」

田代かず子さんは、姉が日本に帰ってくる日を待ち続けています。
姉の豊田泰子さん(81)が北朝鮮に渡ってから、もう53年になります。

1959年に始まった北朝鮮への帰国事業では、朝鮮総連などが宣伝していた「地上の楽園」という言葉を信じて、在日朝鮮人やその家族およそ9万3000人が北朝鮮に渡りました。

田代さんの姉は、在日朝鮮人の夫とこの事業で北に渡ったいわゆる「日本人妻」の一人です。
田代さんたちは、日本人妻が自由にふるさとに戻れるよう、街頭での署名集めなどを続けてきました。
ようやくその願いが叶う可能性が出てきました。

 

【田代さん】
「日本人を日本に調査して帰すなんていうような北朝鮮側の回答は、かつてないわけです。(日本への帰国を)果たせるかもしれないという千載一遇と言うか最後のチャンスと言いましょうか」

北朝鮮では今、どのような調査が行われているのでしょうか?
東京で日本人妻の支援を続けている沖見泰一さん(60)は先月、平壌の日本人妻に電話をして尋ねました。

【日本人妻を支援する会・沖見泰一さん】
「8月9日に電話をして連絡を取った時の録音テープです」

 

<電話のやりとり>
沖見さん「そちらにいる日本人のこと調べに来たんですか?」
日本人妻・平島筆子さん「私のところには色々こちらの方が自宅に来ました」
沖見さん「それは調査委員会のどこの人が調べに来たのかな?」
平島さん「ここでは日本で言えば区役所とか国家安全保衛部とか、朝鮮労働党の方です」
沖見さん「労働党の」

電話の相手は平島筆子さん、75歳です。

 

平島さん「私の生まれたところからいま現在のことまで全部調べて帰っていった」

平島さんは2002年、家族を残したまま北朝鮮を脱出して、沖見さんたちの支援を受けながら、日本で2年余り暮らしました。
しかし――。

【沖見さん】
「(北朝鮮にいる)長男がもともと肝硬変で肝臓が悪かったんですけれども、亡くなったという連絡が来て、それからガタガタっときてね。神経性胃潰瘍になって胃に穴が開いてね。毎日のように心配で心配でたまらない。残された子や孫たち。帰りたい帰りたいと言い出したわけです」

2005年、平島さんは「北朝鮮にいる家族が中国に来るので、1週間だけ行きたい」と話して日本を旅立ち、突然会見を開きます。

【日本人妻・平島筆子さん】
「私が悪い人にだまされて日本に来たのに、私の国(北朝鮮)では子どもたちに何の差別もなく見守ってくれている将軍様の人徳の大きさを改めて知りました。私は共和国の人民として私の家がある子どもたちの待つ共和国へ、将軍様の元に帰ろうと思います。金正日将軍、万歳」

【沖見さん】
「条件じゃないですけれども、子どもさんはこうしましょう、お孫さんこうしましょう、あなたの生活もこういうところに住まわせてこうしましょうというような折衝・取引がおそらくあって、“(日本に)騙されて連れて行かれたんだ”ということを言わざるを得なかったという状況だったですね」

大阪近郊にある農園で働く脱北者のAさんも、在日朝鮮人の夫と北に渡った日本人妻の一人です。

【脱北日本人妻・Aさん】
「ともかく日本人妻を帰すことになると、家族をみんな帰してもらうようにしなければダメなのよ」

独裁体制が続く北朝鮮で、Aさんは40年にわたって、食べる物にすら困る過酷な生活を強いられました。

【Aさん】
「地上の楽園どころか、地獄だなと思う。(子どもを)かわいそうだって思う暇もないのよ。何を食べさせようなかっていうことばかりで、かわいそうだとかそういうことを考えることもできなかった。(北朝鮮政府は)信用できない。だから本当に日本の政府の人たちは騙されないようにしてほしい」

 

脱北できなかった家族は、北朝鮮に残っています。
その家族のために、70歳を過ぎた今も日本で働き、生活を切り詰めて貯めたお金を送っています。
Aさんは、自らが暮らしていた北朝鮮の地方都市にも「日本人妻がいた」と証言します。

【Aさん】
「私がいた時は22人いて、私の後から(2007年に脱北して)帰ってきた人は“もう6人しかいなかった”って言っていたから、それからだいぶ経っているでしょう。みんな高齢だから、その人たちに一日でも早く日本の土を踏ませてあげたい」

北朝鮮に戻った平島筆子さんがことし7月に書いた手紙が、支援者に届きました。

【平島筆子さんの手紙】「一日も早く実現できればうれしい」

文面には、「もう一度ふるさと日本を訪れたい」という思いがにじんでいます。

<電話のやりとり>
沖見さん「日本へ行きたいですか?と(調査で)言ってた?」
平島さん「そんなことは聞いていないです、聞かないです」
沖見さん「平島筆子さん、日本に行きますかと言われたら、日本に来るよね?」
平島さん「はい。もちろん。もちろんです。調査に来ただけでも、何か希望が持てるみたい」

地上の楽園という言葉を信じて北に渡った日本人妻は、およそ1800人。
高齢化が進んで、次々と亡くなっています。
しかし、今なおおよそ300人が生きていると言われています。
2014年9月5日放送
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